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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

ヒグマの目覚め

2008年04月08日
東川
東川自然保護官事務所がある東川町は3月下旬頃から暖かい日が続いており、町には春の訪れを告げる花、福寿草やクロッカスが咲き始めました。
「今年は雪解けが早いね~」が、最近会う人との合い言葉のようになっています。
春の陽気に気分もすっかり浮かれ気味の4月3日は、人通りのほとんどない場所でパトロールの予定が入っていました。
 朝起きてすぐ、「この陽気ならもしかしてそろそろ出るかな」と、あることが頭をよぎり、準備しなくてはと思いましたが家を出る時にはすっかり忘れ、現地に到着し車を降りたときに思い出しました。「クマスプレーも鈴も忘れた!」これは歌でも歌いながら歩くしかないと思い、誰もいない林道を大声で歌いながら歩いていると、前方に明らかにそれとわかる大きな跡が付いていました。近づいて見てみるとドキッとするほど新しいヒグマの足跡で、風にのってほんのり獣臭もしてきました。
その後も林道上や沢沿いに、つい最近付いたと思われるものから1週間くらい前のものまで10カ所以上で足跡を確認しました。この地域では昨年より10日ほど早い目覚めのようです。
 これから山などに入られる方、お気を付け下さい。もう目覚めていますよ、ヒグマ達は。
 ところで、この日のパトロールの目的はというと、スノーモビルが乗り入れ規制区域を走行していないかの確認でした。
スノーモビルは冬場に目的地まで短時間で移動できる便利な乗り物でスピード感なども楽しめる冬ならではの魅力ある乗り物ですが、国立公園内の特別保護地区、車馬等乗り入れ規制区域、原生自然環境保全地域に、許可なく乗り入れる事は禁止されています。(自動車、オートバイ、飛行機などや馬などの動物に乗っての乗り入れも同様です)自然環境の優れた地域でのこれらの使用は自然環境に悪影響を与えることから乗り入れを禁止しており、東川自然保護官事務所ではスノーモビル等の乗り入れ規制区域に繋がる林道入り口などで定期的にパトロールを行っています。
今回は美瑛町俵真布林道を6時間ほど歩き、この日の乗り入れ跡は確認できませんでしたが、林道や山の雪が解けるまでもうしばらくスノーモビルパトロールは続きます。
雪国にはスノーシュー、スキー、スノーモビル等、雪のある時期ならではの楽しい遊びが色々ありますが、ヒグマなどの野生動物が生息できる豊な自然がいつまでも残るように、ルールとマナーを守った上で楽しんで欲しいと思います。







雪解け後すぐに咲くクロッカスは春の訪れを視覚で感じさせてくれる。



ヒグマの左前足。横幅18cm、縦27cmで雄の成獣のものと思われます。(横に置いてある携帯電話は縦10cm横5cmです)



沢の周りは沢山の足跡が残っていました。よく見ると爪痕まで確認できます。