ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2012年7月20日

2件の記事があります。

2012年07月20日協働作業

大雪山国立公園 東川 宮崎 浩

 広大な面積を誇る大雪山国立公園。維持管理作業等に関わっている方々は多方面にわたります。地区ごとに、「どのような人たちがどのような作業を行っているのか」、これらを共有していこうという事で現在大雪山では協働による登山道維持管理の仕組み作りを行っています。山岳会、関係市町村、北海道、森林管理署、それにパークボランティアも含め一体となって大雪山の保全活動に携わり、お互いの作業状況を共有することで、ロープ張りやマーキングなどに関しても各地域バラバラでなく、統一感を図り、またお互いの長所を取り入れることによって、今後大雪におけるより良い維持管理の仕組みが整っていく事を目的としています。

 旭岳周辺において、地元関係者が「協働」で作業を行おうという趣旨で昨年から始めた行事の一つが登山道のササ刈りです。
 7/18に北海道(上川総合振興局環境生活課・南部森林室)、東川町産業振興課、ひがしかわ観光協会、旭岳自然保護監視員(NPO法人ねおす大雪山自然学校)、個人参加の方、そしてパークボランティアも集まり、旭岳天女ヶ原登山道においてササ刈り作業を行いました。多忙中にもかかわらず参加していただいた関係者の皆様へは深く感謝いたします。中には夏休みとして参加して下さった方もいました。
 ここ天女ヶ原登山道はロープウェイを利用する人たちが大半を占める中で、利用者が比較的少ない登山道です。しかしながら維持管理が行われなければ荒廃が進む→さらに登山者が減るという悪循環にもなりかねません。
「地元の登山道維持に貢献したい」と集まってくれた有志はこの日合計16名。時折雨のぱらつくあいにくの天気となりましたが、普段はなかなか顔を合わせることも少ない面々ながら参加者一体となって作業に携わっていただくことが出来ました。


作業前に参加者へ本日の注意事項並びに作業手順の説明。

作業の様子。単なるササ刈りとあなどるなかれ。険しい登山道を登りながら太く丈夫なササを刈る作業を半日もしていると腕がパンパンなってくることもあるのだ。

登山道上におけるササ刈り一つをとっても、刈幅や刈り方、刈ったササの処理方法などを共有していこうという趣旨で昨年から始めたこのイベント。今後も地元有志で継続して協働作業を行っていく事により、維持管理の方法の統一化が図られていくことが望まれます。
 この日は旭岳温泉登山口から旭岳4合目上(姿見の池園地)手前までの作業。実は初めてこのルートを歩いたという方もいたようです。
 これからの時期はタチギボウシなどの湿原植物、秋は紅葉が素晴らしいルートでもあるので皆さんにもその良さを知っていただくいい機会になったかもしれません。


 ササ刈り作業も無事終わり事務所への帰路の際、何気なく旭岳への国立公園入り口のエントランス看板を見ると、こちらも周りに草が生い茂り大変なことに・・・。
 使い終えたと思っていた剪定バサミを再度取出し、再び作業開始。
 いやいや、やはり下界は暑かった。旭岳山麓とはいえ、やはり標高が1000mもある旭岳温泉と下界とは別世界ですね。山は涼しくて快適だったと改めて実感しました。
 登山道ももちろんですが、こちらの看板も国立公園入り口の大事な「サイン」ですからね、あまりにもみすぼらしい姿では・・・。
 このような雑務も我々の大事な作業です。

ページ先頭へ↑

2012年07月20日天人峡~トムラウシ山ルート その2(作業編)

大雪山国立公園 東川 宮崎 浩

 今回ベースとしたヒサゴ沼野営指定地からトムラウシ山までのルートは大雪山を縦走するにあたっての大動脈ルートの一つですが、「道が分かりにくい」という声が多いのもこちらのルートの特徴です。
 大雪山の象徴ともいえる強い風が吹きつける稜線部分は過去に付けられたマーキングや道標の文字等も年と共に消えて行ってしまう箇所が多いため定期的な作業が望まれるところですが、なんといってもここは大雪山の核心部であるためなかなかその手が入りにくいのが現状です。
 今回の山行中は天候もまずまずで、マーキング作業には絶好の一日。これまでしばらくの間出来なかった作業をようやく行うことが出来ました。


天沼~北沼間の登山ルートの中でも特にルートを見失いやすいと言われるところが、通称「ロックガーデン」付近。マーキングが色褪せてしまっている箇所への塗り直し作業を行いましたが、それでも視界不良時は要注意箇所であることは間違いありません。じっくりとルートファインディングが出来るよう、時間に余裕を持って行動したいものです。

 ただ、マーキングや道標だけを頼りにするのは非常に危険な行為です。常に地図を見ながら自分の現在位置を確認する。これは大雪山縦走にあたっては最低限必要な技術といえるでしょう。あくまでもマーキングは補助的なものと捉えて下さい。
 何といってもここ大雪山の奥座敷は数少ない「原始的な山岳風景」が残された場所です。

 そして今回の最も大きな仕事といえばこちらかもしれません。


すっかり色褪せてしまっていたトムラウシ山山頂標識が見事にお色直しされました。我々の作業後に到着された方は、塗り立てホヤホヤの標柱での記念撮影が出来たことでしょう。

 以前のAR日記において上士幌三浦ARが「見た目って大事ですね」とコメントしていましたが(平成24年5月23日の「公園看板破損 before after」より)、全く同感です。きれいに手直しされたものは何とも気持ちの良いものです。
 誰もが憧れる大雪山の代表的な「トムラウシ山」の山頂があまりにもみすぼらしいというのは何とも恥ずかしいことですから。

 最後に残雪の状況です。(7月8日撮影)

このように、大きな雪渓を登行する箇所はヒサゴ沼周辺のみとなりましたが、雪渓歩きに慣れていない方などはやはり軽アイゼンなどがあった方が安心できるかもしれません。気温の低い早朝などに出発される際は特に滑りやすくなっているので十分注意してください。(写真はヒサゴ沼からの登り始めの箇所)
また、雪渓の端では踏み抜きに注意です。

 この日も全行程は10時間近くにわたりました、作業に同行していただいたパークボランティアの皆様、大変お疲れ様でした。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ