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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2012年8月13日

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2012年08月13日サロベツの自然再生について

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山上佳祐

 

 サロベツには、低地における日本最大の高層湿原が広がっています。湿原にはエゾカンゾウやツルコケモモ、日本では宗谷地方の湿原にしか生息していないコモチカナヘビなど貴重な動植物が数多く生息し、サロベツの豊かな自然や風景を彩っているのです。
しかし、近年では湿原の乾燥化が進んでササの分布が広がるなどの問題が生じています。そこで、これらの問題を解決すべく、平成17年から上サロベツ自然再生事業がスタートしました。環境省をはじめとして、各関係機関や団体、地域に住む人達、サロベツが大好きな人達などたくさんの人々が協力し、農業と共生しながら湿原の豊かな自然を取り戻すための取り組みが進められています。

 自然再生は、各関係機関による事業や、専門家による科学的な調査や議論だけではなく、地域の人達による自然観察会や植樹イベントなどといった地道な広報活動や保全活動も行われており、自然再生事業を進めていくためには、地域の方々と協力を深めていくことは欠かせません。
そこで、より多くの人達に自然再生への関心をもっていただこうと、地元豊富町のお祭りであるホッキ祭りをとおして自然再生のPR活動を行いました。


 PR活動では、サロベツの自然再生に関係する地域活動(通称サロベツ・エコモー・プロジェクト)の紹介や、自然再生事業のパネルによる解説、マスコットキャラの塗り絵や野鳥カルタなどが催され、来場された皆さんにサロベツの自然や自然再生事業などの取り組みについて知ってもらいました。
 「エコモー」とは、エコロジー(=自然)とモー(=牛の鳴き声=農業)をかけあわせた造語で、サロベツの自然と農業が共生し、地域と自然が元気な、そんなサロベツにしていきたいという願いが込められています。


 また、子供の来場者を集めてネイチャーゲームを行いました。ネイチャーゲームとは、五感を使った自然体験プログラム(ゲーム)のことで、写真はミステリーアニマルというゲームを行っている様子です。 
 講師の「大きい目が2つあります。体は細長く・・・」といった説明だけを頼りに、大人も子供も楽しみながら想像して、個性的な動物の絵を描いていました。

 サロベツの湿原は約6000年という長い年月をかけて形成されました。サロベツの自然再生は国立公園に指定された1974年当時の自然を取り戻すことを目標にしていますが、そのためにはとても長い年月を要します。この取り組みをこれからも続けていくためには、地域内外の多くの人々の理解と協力が必要不可欠なのです。

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