ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2012年8月16日

3件の記事があります。

2012年08月16日大合唱

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 大塚 武

先日、洞爺湖パークボランティアの方たちと四十三山のパトロールを行いました。
歩道を進むと耳がおかしくなるくらいのミンミンゼミ(※1)たちの大合唱でした。
木の幹や葉の裏など至る所でミンミンゼミの抜け殻を見つけることができます、
また、セミが歩道や頭上を飛び交い、そのうち数匹のセミは私たちにぶつかってきました。


ボランティアさんの手にとまるミンミンゼミ

ボランティアさんのシャツにとまるミンミンゼミ

他にも四十三山では、支笏湖はアキアカネ(※2)でしたが、コノシメトンボ(※3)が飛び始めました。
アキアカネもコノシメトンボもアカネ属のトンボです。


羽を休めるコノシメトンボ(♀)

アカネ属のトンボは日本では21種類確認されているようで、体が赤いものが多く、種類が違っていてもまとめて「赤とんぼ」と呼ばれています。よく観察すると体の色や羽の模様が違うのでもし見つけたらよく観察してみてください。

※1ミンミンゼミ(学名:Hyalessa maculaticollis)
カメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種
北海道南部から九州、対馬、甑島列島の平地、低山地の林、市街地などに生息しています。
卵→幼虫→成虫の不完全変態(小変態)をおこないます。
幼虫は土中で生活し、成虫大きさは33mm~36mmになります。
声量のある声で、ミーン、ミンミンミンミーンと鳴きます。
※2【参照】2012年8月10日 支笏湖自然保護官事務所 福家AR「自然公園クリーンデー」
※3コノシメトンボ(学名: Sympetrum baccha matutinum)
トンボ科 アカネ属に分類されるトンボの一種
日本全国に分布しています。
成虫は体長38~45mmほどで、羽の先端が黒くなっているのが目立ちます。
平地から低山地にかけての開放的な池沼、水田などで見られます。

ページ先頭へ↑

2012年08月16日パークボランティアを募集します

支笏洞爺国立公園 支笏湖 福家 菜緒

皆さん、こんにちは。残暑お見舞い申し上げます。
お盆も中日を過ぎ空気は秋めいてきました、と思いきや昨夜の大雨でむしむしを取り戻した支笏湖です。

さて支笏洞爺国立公園・支笏湖地区では今年、新しいパークボランティアを募集します。
パークボランティアとは、国立公園の豊かな自然環境をいつまでも残していこうと国立公園の維持管理に携わり様々な活動していただいている方々です。支笏湖地区では現在26名の会員が在籍しており、月1、2回実施している自然観察会や清掃活動、散策路整備、外来植物除去作業などを支笏湖自然保護官事務所スタッフとともに行っています。



↑活動の様子

会員の皆さんには、千歳市、苫小牧市、札幌市などからイベントの際に駆けつけていただいています。札幌から車で1時間ほどの国立公園で、自然解説の手法を学びたい!自然に詳しくなりたい!国立公園で何かしたい!支笏湖がすき!支笏湖きれい! という方、ぜひご検討いただければと思います。支笏湖の自然にも歴史にも詳しいパークボランティアさんたちから、支笏湖1年生の私も毎回色々なことを学んでいます。

パークボランティアになるためには、養成研修会に参加し、環境省北海道地方環境事務所長の登録を受けていただくことが必要となります。その養成研修が今年、約10年ぶりに開催されます。

― 平成24年度支笏湖地区パークボランティア養成研修 ―
日時: 9月8日(土)
9:30 ~ 16:30
場所: 支笏湖ビジターセンター 及び 休暇村支笏湖園地
内容: 国立公園制度、パークボランティア制度の説明、
    観察会を想定した野外研修 等
※参加費は無料です。

応募締切: 平成24年8月27日(月)17時

詳細はこちらのページをご覧ください。
北海道地方環境事務所HP
【お知らせ】平成24年度支笏洞爺国立公園支笏湖地区パークボランティア養成研修会の開催について
(リンク)

ご応募お待ちしております!



↑7月の休暇村園地・散策路整備後のパークボランティアさん

ページ先頭へ↑

2012年08月16日外来種子の防除にご協力ください

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 現在、礼文島南部の桃岩展望台から元地灯台へと向かう歩道の入り口に木の枠に囲まれたマットが設置されています。これは環境省の外来種防除事業の一環として試験的に行っているもので、歩道の入り口にマットを置くことで外来植物の種子が侵入するのを水際で防ごうというものです。


桃岩展望台入り口に設置されているマット

 辞書などによると、外来種という言葉の定義は「もともとその地にいなかったにもかかわらず、人間の活動によって他の地域から入ってきた生物」ということですが、実は私たちも知らず知らずのうちに外来種の侵入に一役買ってしまっている可能性があるのです。特に植物については靴の底に種子をつけて他の場所に移動することが原因の一つとして考えられています。歩道の入り口にマットを設置しているのはそうやって移動してくる種子が高山植生の中へ侵入するのを防ぐという目的があるのです。ただ、このマットは定期的に交換しているため、時にはまったく汚れておらず、踏むのをためらわれる方もいるようです。しかし、このマットは踏まれなければ意味のないものです。遠慮は要りませんので靴底についた種子をマットでしっかり落としてから歩道を歩くようお願いします。


外来種子防除への協力を呼び掛ける貼り紙

 フラワーロードと呼ばれ春から秋にかけて色とりどりの高山植物で埋め尽くされる桃岩歩道ですが、近年はセイヨウタンポポ、ムラサキツメクサ、シロツメクサなど元々礼文島には生育していなかった外来種が侵入してきています。そこでそれら外来種の生育域がこれ以上広がらないようにするため、侵入状況の調査やすでに侵入している個体の除去作業など、在来の植物を守るための取り組みを行っています。そしてそれは礼文島の生物多様性を保全することにつながります。外来種とはいえ、ひとつの種を排除しようとすることは一見、生物多様性の保全とは逆行するように思えるかもしれません。実際、そこで精いっぱい生きている外来種を引き抜くときは申し訳ない気持ちでいっぱいなのですが、こうした外来種の中には侵略的に周囲の植物を駆逐してしまうものもあり、それによってその場所で長い間生きてきた一つの種が失われることこそ生物多様性の大きな損失なのです。そのような事態にならないために、侵入してしまった外来種を地道に除去していくことはもちろんですが、外来種がこれ以上侵入しないようにするための対策も必要であり、そのために皆様のご協力をお願いしたいのです。礼文島の生物多様性保全のためにまずはマットで種子を落とすというだれにでも気軽にできる小さな行動から始めてみませんか?


マットから回収した土。現在このサンプルの中に外来種の種子があるかどうか分析を行っているところです。ちなみに赤い丸で囲った大きな種子は外来種ではないようです(セリ科のオオハナウド?)

【関連リンク】
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/
(環境省生物多様性ホームページ)

http://www.env.go.jp/nature/intro/index.html
(外来生物法)

http://www.town.rebun.hokkaido.jp/ikimono/index.html
(礼文島いきものつながりプロジェクト)

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ