北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
当日は関係行政機関や地元山岳会、山岳ガイドなど幅広い方々に参加していただきました。ご多忙中にもかかわらず参加していただいた皆様、有難うございました。参加者の中には過去にこの場所の工事を手掛けた方などもおられ、久々に自分の施工した場所を見るのは非常に感慨深いものがあったかもしれません。
「近自然登山道工法」という言葉はこのAR日記でもよく挙げていますが、今一つピンとこない方のために一言で言うと。
「出来るだけ現地にある資材を使い、自然景観に溶け込むような登山道整備」
とでも言ったら何となく分かるでしょうか?
この手法は元々河川工事に用いられていた工事で、この技術を「登山道は川である」という考えのもと、それを応用し登山道の整備に用いるようにし、平成17年度より大雪山でも環境省直轄整備事業の手法の一つとして取り入れられるようになりました。
これまでの登山道整備においてはまず「登山者の歩きやすさ」という事を第一に考え、単純にぬかるみに木道を設置したり、土留め階段を作るなどが多く取り入れられて事が多かったのですが、根本的な登山道浸食の原因を解決しない限りは、これらのものは時間と共に崩壊していってしまう→それらの補修をまた行うという事の繰り返しでした。
これらの過去の事例を踏まえて、近自然登山道工法においては
「登山道の浸食原因を理解し、なおかつ生態系復元のための環境を整える」
事をコンセプトにし、施工物は自然の構造から学び、作業機械を使わず伝統技術を用い、併せて登山者の行動にも配慮するという事が重要になってくるのです。
例えばこのように浸食が進んでしまっている登山道。単純にこの部分に木柵階段などを設置して歩きやすくするのは簡単な事ですが、それだけでは根本的な解決にはなりません。どのような原因でこれだけ浸食が進んでいるのかを考えることが重要です。
当日の様子。
現場に出る前にまずは座学から。これまでの整備事例などを用いて近自然登山道工法について参加者に詳しく説明しています。
こちらは石組みによる水流抑制のための施工箇所の説明ですが、大雨の際などは予想以上の大水が流れる(青いライン)ことによって、両脇の部分の浸食が進んで行ってしまっているという事例の紹介。
これらを実際に現地で見てもらい、その原因を考え、対処方法を考えて行こうというのが今回の狙い。現場において皆さんどのように考え、施工することが出来たのでしょうか?
現地での様子についてはその2において紹介したいと思います。