ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2012年11月 2日

2件の記事があります。

2012年11月02日国指定浜頓別クッチャロ湖鳥獣保護区

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 日本の最北端宗谷岬から南へ約60km、オホーツク海に面した浜頓別町にクッチャロ湖はあります。南の大沼と北の小沼という二つの沼からなる周囲約27kmの汽水湖で、コハクチョウなど水鳥類の重要な渡りの中継地となっているほか、四季を通じて多様な野鳥が訪れる絶好の野鳥観察スポットです。特にコハクチョウについては日本で越冬する個体のほとんどがこのクッチャロ湖を経由しており、春と秋には数千羽のコハクチョウで湖畔がにぎわいます。


クッチャロ湖畔(10/31)

 クッチャロ湖はコハクチョウのほかにも多くの水鳥類が生息すること、渡り鳥の日本における玄関口として重要な役割を果たしていることなどから、1983年、国指定浜頓別クッチャロ湖鳥獣保護区(面積:2,803ha、うち1,607haが特別保護地区)として指定されました。また、1989年には日本で3番目のラムサール条約登録湿地に指定されるなど国際的に重要な湿地として認知されています。


湖畔の水鳥観察館。ここで水鳥や湿地についての情報を得ることができます。(10/31)

 現在、クッチャロ湖大沼南東の湖畔では300羽ほどのコハクチョウ、オナガガモなどのカモ類、ユリカモメなどのカモメ類を観察することができます。この時期コハクチョウをはじめ、クッチャロ湖を経由する水鳥類の大部分は本州で越冬するため南へ渡っていきますが、中にはクッチャロ湖で越冬する個体もいて現在残っている個体のほとんどはこのまま越冬し、春の渡りの時期まで留まるのだそうです。

【野鳥を観察される方へ】
 クッチャロ湖の魅力は何と言っても野鳥を至近距離でじっくり観察できることですが、鳥インフルエンザ等の感染症を予防するため、湖畔には防護ネットが設置されています。必要以上に近づくことで野鳥へストレスを与えてしまうことにもなりますので、野鳥観察の際、防護ネットの内側へ立ち入ることのないようお願いいたします。


上段左:コハクチョウ(カモ目:雌雄同色 10/22)
上段右:ヒシクイ(カモ目:雌雄同色 10/31)
下段左:オナガガモ(カモ目:オス 10/31)
下段右:湖畔に設置されている防護ネット(10/31)


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2012年11月02日雪の使者

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 大塚 武

洞爺湖湖畔の四十三山の紅葉は終演を迎えようとしています。
夏にたくさん飛び回っていたミンミンゼミたちの姿はもうありません。
あるのは木にくっついたままの抜け殻だけです。
木の下の地面に目を向けると様々な形のキノコがはえています。


<ミンミンゼミの抜け殻>


<四十三山のキノコたち>

歩道を歩くと木の側面を歩くふわふわした白いワタを持つユキムシ発見しました。
北海道に10種類ほどいる小さなアブラムシの仲間をユキムシと呼び、
中でも一般的なのは大きな種類のトドノネオオワタムシ(※)です。


<白いワタを持つユキムシ>

ユキムシが飛び交うと雪が降ると言われ、雪の使者として知られていますが、
大量に飛び交うと歩くだけで体にくっついたり目や口や鼻に入ることもある少々迷惑な面もあります。ただ、手で触ることはもちろん、白いワタが取れたら死んでしまう繊細な生き物です。
洞爺湖に雪が降るのももうすぐかもしれません。

※トドノネオオワタムシ(学名:Prociphilus oriens)
カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ科に属する、体長は最大で4mm程の元々は羽の無い飛ばない昆虫。
季節に合わせて樹液を吸う木を変えるためトドマツとヤチダモを移動します。
雪が降る前に羽をもった個体が生まれ卵を産もうとヤチダモの木を求めて飛びます。
白い部分はロウの様な物質で水分から身を守るためや、空を飛ぶ時に漂いやすくするためと言われています。

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