ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2012年11月22日

3件の記事があります。

2012年11月22日ヒグマの動き<2>

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

知床五湖の閉鎖が25日に迫っています。本日は観光客の方はちらほら確認できるものの、足元は既に雪。そんな中、登録引率者の方7名に、ヒグマのデータをもっている知床財団、環境省で研修を行いました。どのような研修かというと、「ヒグマの動きを実際に確認してみよう」というもの。
知床五湖は地形が複雑。遊歩道でヒグマに遭遇した際、引き返して入り口に戻るか、そのまま前に進むか、登録引率者の方が判断します。そこで、ヒグマの動きが把握することができれば、さらに的確な判断ができるようになります。また、地形がわかれば、さらに判断材料が増えるでしょう。



発信器を装着したヒグマの軌跡をたどることにより、知床五湖のどのポイントで遭遇する可能性が高いか確認を行いました。また、移動経路を知ることで、次に遊歩道上で遭遇する場所を知ることができました。
 雪の上に残された親子ヒグマの足跡を見つけ、GPSデータのルートとほぼ同じルートを利用しているのを発見。これは、発信器を装着したヒグマに限らず、他のヒグマも同じ場所を利用することもあるのですね。
 ヒグマだって歩きやすいところを歩く方がいいですもんね。



私たちの歩いたすぐ横に新しい親子ヒグマの足跡が・・・

遠くに見えるは、高架木道。今シーズンは高架木道からヒグマを多く確認しました。

 また、来年度以降、このルート上にセンサーカメラを設置することで、個体の識別やヒグマの利用時間を把握することができるようになるでしょう。ヒグマと、五湖を上手に一緒に利用していければいいですね。


※登録引率者とは・・・
ヒグマが出没した際に的確な判断と対応ができるか筆記試験と実技試験の合格者。5月10日から7月31日までの間は、ヒグマ活動期とされている。この時期に地上遊歩道の散策をするには、この登録引率者と一緒にでないと散策できない。(高架木道は利用可)

ページ先頭へ↑

2012年11月22日知床学 ‐ぼくたち、わたしたちの知床‐

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

前回の日記で報告した「知床学」出張授業の二日目をお届けします。
↓一日目の様子↓
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2012/11/994.html

「知床の自然を守るために必要なこと、自分たちにできること」を考えてくる、という宿題を渡して終了した授業一日目から一晩、
さて、子どもたちは宿題をやってきてくれたでしょうか。

二日目の授業のテーマは、「ぼくたち、わたしたちの知床」です。

一日目にみんなでつくった「知床の生態系」に貼られている、それぞれが描いた絵。山の生きもの、海の…、川の…、自分の絵があるグループに分かれて話し合ってもらいました。
それぞれが考えてきた「知床の自然を守るために必要なこと、自分たちにできること」をグループ内で発表しあい、紙にまとめてもらいます。



そして、みんなの前で発表してもらいました。



「ゴミをすてない・ひろう(動物がすめなくなる!)」
「やせいの動物にえさをあげない」
「生ゴミの味をおぼえさせない」
「水をむだにしない」
「どうぶつをいじめない(びっくりさせない)」
「どうぶつのすみかをたいせつにする」
などなど…。
子どもたちは、しっかり考えてきてくれました。



みんなからのたくさんの意見はどれも素晴らしいもの。
その内容ももちろんだけど、知床で生まれ育ったみんなが、知床のことを一生懸命考えた、そのこと自体が素晴らしい。
海にクジラがいるのも、川にシマフクロウがいるのも、美味しい魚がたくさん食べられるのも、毎日のことだと当たり前になってしまう。
だからこそ、みんなが考えるってことが素晴らしいということ。


知床の自然を守り、残し、伝えるために、大人たちもみんなで手分けをして色々なことをしている。
知床で暮らす人々、政府や役所、役場の人、専門家などたくさんの人が集まって、会議をして話し合っている。調査や研究をして、ダムなどの河川工作物を改良してサケが行き来できる川にしたり、海の資源を大切にするために魚を獲る量などを決めたり、増えすぎたエゾシカから植生を守ったり…。自然を大切にしながらたくさんの人に知床の自然の良さを体感してもらうためにルールを決めたり、ヒグマと共に生きていくための道を考えたり…。美味しい魚貝類など、知床の恵みをたくさんの人にPRして知ってもらったり…。
魚を獲っているお父さんも、それを手伝っているお母さんも、知床の恵みをたくさんの人に食べてもらいたいと、きっと思っている。知床の恵みは素晴らしいって知っているから。
みんなのふるさとは素晴らしい。


二日間にわたる授業は、こうして終えたのです。
授業の最後に、アンケートに答えてもらっていました。
そこには、
「いつもたべてる魚も命のつながりだった」
「知床がこんなにすごいところだと知らなかった」
「世界の人に自まんしたい」
などと書いてくれていました。


目をキラキラさせて話を聞いてくれ、問いかけにも競争のように元気いっぱい大声で発言してくれる、そんな羅臼の子どもたちと一緒につくった「知床学」の授業は、私にたくさんのことを教えてくれました。
世界に誇る自然遺産の町に暮らす子どもたち。
そして、彼らが担う将来。
この子たちのためにも、私にできることを考え続けていきたいと思います。

ページ先頭へ↑

2012年11月22日野鳥と冬芽の観察会を開催しました

支笏洞爺国立公園 支笏湖 福家 菜緒

皆さん、こんにちは。
寒いですねぇ。

今日は『シリーズ支笏湖の山』は小休止。先日開催された、今年最後のPV観察会『野鳥と冬芽の観察会』のご報告です。

11月11日(日曜日)、連日雨の支笏湖でしたが、この日は素晴らしい快晴。
12名の方に参加していただき、PVが2名解説を担当、そして9名のPVにサポートをしてもらいながら、休暇村周辺~千歳川~支笏湖園地を散策しました。葉が落ちて見通しのよくなった木々の間に、たくさんの鳥を見ることができました。そして樹木の『冬眠』のかたち、冬芽の様子もじっくり観察できました。



【1】朝から快晴、気持ちよく開始しました 【2】ツルウメモドキの黄色と赤のかわいい果実 【3】熱心にメモをとったりPVに質問を投げかける皆さん 【4】コゲラが出入りしていた樹洞 おうちでしょうか 【5】ツルリンドウの赤い果実。誰かにかじられたような跡が

-----

そして次は千歳川沿い。ここでは、キンクロハジロ、マガモ、アビなどが泳いでいる姿が見られ、皆さん、双眼鏡片手に盛り上がっていました。

ちなみにキンクロハジロ Aythya fuligula は冬になると日本にやってきて、水に潜り、貝や甲殻類、小動物などを獲って食べながら暮らしています。支笏湖では他にもカルガモ、オシドリなどが生活していますが、藻場や小魚などの餌が少ないことから水鳥類の種類、数は少ないそうです。
参照:支笏洞爺国立公園管理計画書・支笏洞爺国立公園及び各管理計画区の概況



【1】一列に並んで泳ぐキンクロハジロ 【2】それをほぼ一列になって覗く参加者の皆さん 【3】湖畔橋から千歳川をのぞき込んだり、青い空に映える恵庭岳を眺めたり

-----

そして湖畔に接近し、真っ青な初冬の支笏湖を堪能。支笏湖園地ではエナガの群れも飛んでいました。落ち葉の道をのぼって行き、休暇村園地に戻りました。



【1】真っ青な支笏湖と恵庭岳 【2】ハウチワカエデの冬芽について解説するPV 【3】休暇村へ続く落ち葉の道。空気は冷えていましたが、日差しがあたたかいです


次回、支笏湖地区パークボランティアによる観察会は、来年2月9日(土)を予定しています。
また来年のご参加、お待ちしております。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ