ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2018年7月 6日

3件の記事があります。

2018年07月06日くしろエコ・フェア2018出展

釧路湿原国立公園 佐野 綾音

 みなさま、こんにちは。

 7月に入りましたが、フリースを着なければ寒い日も時折ある釧路湿原。釧路湿原野生生物保護センターでは、センター内にある車庫の中でハクセキレイが巣を作り、子育てをしていたのですが、先月下旬、ヒナが無事に巣立ちし、現在はハクセキレイの親子が敷地内を飛び回り、餌となる虫を探して、芝生の上をとことこ歩く姿がみられるようになりました。季節の経過を感じられる風景です。

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写真)ハクセキレイの親鳥

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写真)巣立ちしたハクセキレイの若鳥(全体的に灰色で顔は黄色みを帯びています。)

 今回は、毎年釧路市内で開催されている、くしろエコ・フェアに今年も出展したので、ご報告いたします。くしろエコ・フェアとはどんなイベントかというと、地域に住む方々の「くらしと環境」について考える場、共有の場をテーマに環境や野生動植物に関わる様々な活動を行っている団体が集結・展示を行うイベントです。今年は、イオンモール釧路昭和で開催されました。

 私たちは、釧路湿原にまつわる生き物や自然再生事業に関する展示を行いました5W1H

写真)出展ブースの様子①

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写真)出展ブースの様子②

 会場では、クイズラリーが行われ、各出展ブースからクイズが出題されました。一緒に出展したワンダグリンダプロジェクト(湿原ペーパークラフト)の辻野さんが代表としてタンチョウに関わるクイズを2問出題しました!

クイズ1:タンチョウの尾羽の色は何色でしょうか。

① 黒 

② 白 

③ 透明

クイズ2:タンチョウの頭の色が赤いのは何故でしょうか。

① 赤い羽根(羽毛)が生えているから。

② 皮膚がむきだしになっており、血管の色がみえるから。

③ 赤い帽子をかぶっているから

 みなさんわかりますか?

 クイズ1の正解は、白色になります。

 歩いているタンチョウを見ると、一見お尻の方は黒く見えるのですが、この黒い部分は、翼の羽が覆い被さっています。翼を広げると、白い尾羽が見えるので、是非みなさんもタンチョウのお尻にも注目してみてください!

 クイズ2の正解は、皮膚がむきだしになっており、血管の色がみえるからになります。

 遠くから見ると、よく分からないのですが、近くでみると、羽毛が生えていません。ぶつぶつとした感じになっており、血管の色が透けて見えるようになっています。緊張したりすると血液が頭部に流れ込み、赤みが増します。リラックスしているときは、赤みが少ないです。

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写真)タンチョウの立ち姿(翼の羽に覆われて黒く見えますが、その下に白い尾羽が隠れています。)

 クイズラリーに参加してくださった方々の中には、「尾羽は黒だと思っていました!」や「頭が赤い理由はどこかで聞いた事があるから分かった!」といった反応がありました。

 会場には、子供から大人まで多くの方が立ち寄ってくださりました!

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写真)タンチョウのなわばりについて航空写真を用いて説明をしている様子

 

 今後も、このようなイベントに積極的に参加し、釧路湿原や野生動物の魅力など情報を発信していきたいと思います!

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2018年07月06日シレトコスミレの調査に行ってきました

知床国立公園 ウトロ 白石海弥

じめっとした暑さが続き、果たして夏を越すことが出来るのか不安な知床国立公園ウトロ側の白石です。

夏がやってきましたね。

さて、今回はエゾシカによるシレトコスミレの食害調査についてです。6月28,29日の一泊二日で調査に行って参りました。人生二回目の登山です。

展望台まで上がり、採掘跡地までくると硫黄の香りがツンとしてきました。いつ嗅いでも硫黄の香りは慣れないものです。途中、ガレている道や滑落注意のロープの張られている箇所がありますので十分お気を付けください。

そして岩登り。岩登りは楽しくできました。硫黄山好きです。

新噴火口のあたりから地熱の関係か、温度が高くなることが多いのでこまめな水分補給を!

沢出合いから雪渓がありました。それでも例年に比べると雪渓は少ないそうです(笠井AR談)

そしてでました、雪渓。羅臼岳の大沢よりなだらかですが、これまた長い長い。

どうにも雪渓は苦手です。ひぃひぃ言いながらなんとか登りました。これで少ないほうだというから驚きです。

硫黄山頂上に向かう途中でかなり急な雪渓をトラバースすることになりますのでアイゼン・ピッケルを装備していくと良いかもしれません。

ようやくたどり着いた頂上からは濃霧により何も見えませんでした。現場からは以上です。

一日目は第一火口でお泊りです。第一火口は9月まで雪渓が残ります。今回も一面真っ白でした。

夜ご飯は大定番カレーライスです。山の上で食べるご飯は格別においしいですね!!

さて二日目は調査に出かけます。テントを置いていざ調査地へ。知円別分岐まで大変良い尾根でした。落ちたらどうなるんだろうと考えると非常にワクワク感が増してとても楽しかったです。

お目当てのシレトコスミレは硫黄山の尾根大岩から少しずつですが咲き始めていました。

登山者の皆さんもぜひご覧になってください。

小雨のためか少ししょんぼり気味です。

道中エゾシカの足跡が確認されました。やはり食べに来ているようです。

調査地ではコドラート法を用いシレトコスミレの調査を行います。

今年もわずかですが被食株が確認されました。

硫黄山ではシレトコスミレ以外にも羅臼岳とはまたちょっと違った花々も見られます。ただ、くれぐれも植生を壊さないよう登山道を外れて歩かないようお願い致します。

展望台まではヒグマ出没の可能性が高いので十分注意してくださいね!

         ミネカエデ               カラフトイソツツジ


おまけ

今回は余裕を持って頂上にたどり着けました。硫黄山制覇です!

下りの際、新噴火口から晴れ、きれいな青を見せてくれました。

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2018年07月06日知床・羅臼の身近?な植物1

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 7月、知床・羅臼はこの時期天候が落ち着くことが多いのですが、今年は停滞前線が北海道に伸びてきてしまい、毎日雨が降っております。まるで梅雨の様です。そんな天気の悪い日でも山に登ろうとする人を見かけると、シーズンなのだなと思います。
※羅臼岳等を利用される際は、ヒグマに遭遇することも踏まえ、天候判断は厳しく行っていただけたらと思います。

 さて、先月、シーズンを迎える前に知床岬まで現地状況確認のため歩いて行ってまいりました。今回はその途中で出会った植物を一つご紹介します。身近とは言い難いですがご覧ください。

全体的に淡い緑色をしていて白い5つに裂けた花をつけるカマヤリソウ(2018年6月撮影)

 こちら、カマヤリソウです。ビャクダン科カナビキソウ属という何とも聞き慣れないグループに分けられている植物です。海岸の風当たりが強い風衝地で確認されています。(今のところ)羅臼で見るには相泊から10km以上海岸を歩いていかなければなりません。

細長く槍先の様な葉身と2枚の苞葉という独特の印象を受ける葉を付けるカマヤリソウ(2018年6月撮影)

 白く小さな花(花弁はなく、白く見えるのはガクです)をぽつぽつと咲かせ、細長く独特の印象を受ける形をした葉っぱをつけています。毎年現地確認の時期(6月中旬)が開花の時期と重なるため、ここ数年連続で花を見ることができております。

他の植物に囲われ、確認が難しいカマヤリソウ(2018年6月撮影)

 背丈は大きくても20cm程度。他の植物に覆われてしまいそうです。見落としやすいこの植物を毎年見付けるのが現地確認の一つの楽しみになりつつあります。

切り立った岩壁をトラバースする職員。足下には深い溝があり、海水で充ち満ちている。(2018年6月撮影)

 知床岬に向かう道のりは、厳しい行程ではありますが海岸特有の植物を沢山見つけることができます。(個人的には2007年に日本新産種として報告されたチシマコゴメグサを一目見たいところです。)自然が生み出した造形美を背後に見る植物の姿は本当に素晴らしいです。この夏、見に行かれては如何でしょうか。

※知床岬を含む知床半島先端部地区は利用を推進している箇所ではありません。

 そのため、登山道等は一切設置されておりませんのでご注意ください。

※カマヤリソウは礼文島やアポイ岳などでも見ることができます。

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 知床先端部地区をご利用の方はこちらをご覧ください。

  シレココ

   →https://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/

  ルサフィールドハウス

   →http://shiretoko-whc.jp/rfh/

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