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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

傷病鳥放鳥!

2019年10月09日
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

夏になる前の事です。犬の散歩をしていた稚内市民の方から連絡が入りました。

「ずっと動かないワシがいる」と。

その連絡を受け、捕獲し、獣医さんがいる釧路へと運ばれました。外傷はありませんでしたが、なぜかずっと動かない剥製のような姿で運ばれて行ったのはオジロワシでした。

それから数ヶ月後、運ばれて行った先の獣医さんから「元気になったので放鳥について相談しましょう」との連絡がありました。

「ケガをしているオジロワシがいる」や、「ずっと同じ場所にいるオオワシがいる」などの通報を受け、捕獲し搬送することは珍しいことではありません。しかし、その後元気になって帰ってくる対応をするのは、私にとっては初めてでした。

釧路の獣医さんが、上士幌自然保護官事務所まで運び、上士幌事務所から名寄まで来てもらい受け取る、リレー形式で稚内まで戻ってきました。

稚内を出た時は、まったく動かない剥製のようだったオジロワシが、若い元気なオジロワシになって帰ってきました。ゲージの外からでも元気になっている様子が伝わってきました。

そして、捕獲された場所から離れすぎない川沿いで、放鳥することになりました。

入り口を開けることにもビクビクしながらの私に反して、ゲージを開けた直後、オジロワシは勢いよく飛び出しました。

勢いよく出たものの、しばらくじっとして動きません。

車酔いでもしたのか、捕獲した時の様子が頭をよぎり、少し心配になりました。

その次の瞬間!

そして、あっという間に丘の向こうへ飛んで行きました。

このオジロワシは、捕獲した時に発信器をつけていました。調査のため、環境省に申請された上でつけられたもので、情報提供をしていただけました。

その情報により、このオジロワシが2018年に稚内で生まれた雄であることがわかっています。

稚内で生活している同じ市民として、帰ってきてくれた事をとても嬉しく思いました。

これからも、ここ稚内で元気に過ごしてくれることを願います!

最後になりますが、見つけて連絡して下さった市民の方、回復するまで対応して下さった獣医さん、搬送に関わったみなさん、ありがとうございました。