2020年2月 7日
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2020年02月07日「湿原すごろく」みんなで作ってふりかえろう!
利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 青山留美子
今年度もサロベツでは、子どもパークレンジャーの活動を6月から毎月1回実施し、
先月1月25日の活動を持って、今年度の活動全7回を終了しました。
最後は、今までの6回をふりかえる活動にしました。
まずは写真で活動をふりかえると、
「あれした」「これした」「こうだった」など、言葉が飛び交います。
手帳のメモを見返す子や当日の資料がカバンから出てきた子もいました。
しっかり記憶に残っている様子を見聞きし、とても嬉しくなりました。
一通りふりかえった後からが本番です。
このふりかえりをゲームにした「湿原すごろく」を完成させるべく、まずは、子どもたちに各マスの絵を描いてもらいました。
お題は「スタート」「泥炭は燃えるか?」「木道にゴミを捨てた」などなど11枚あります。
どんな絵を描いたらいいのか悩みそうですが、子どもたちはスラスラどんどん描いていきます。時間が余りそうだったので、より色を塗ってもらうなどしたので、とても良い仕上がりになりました。
出来た絵を含めてすごろくをサロベツ湿原センター内に設置し、早速ゲーム開始です!
各マスには、今年行った活動に関係するクイズや指令、活動に参加していた子が得をする「何マス進む」もあります。
そして、クイズに答えたり、声真似などの指令に挑戦すると、"1Wet(ウェット)"がもらえます。"Wetland"から取りました。
ゴール後、このWetをいっぱい持っている子が、「湿原にいっぱい関わった大賞」になるというすごろくです!
早くあがればいい訳ではないため、普通なら「何マス戻る」は嫌ですが、このすごろくではWetを貯めるチャンス到来で喜んで戻ります!
もちろん、もらえるだけでなく、Wet没収もあります。
クイズに間違えたら"1Wet"没収、湿原でやって欲しくない「ゴミを捨てる」「木道から降りる」などのマスでは"2Wet"没収されます。
進んでは戻るを繰り返し、なかなかゴールできない子が、Wetをたんまり貯めてゴールする時は、みんなで一喜一憂し、とても盛り上がりました。
終わった直後「もう一回やりたい!」という声が聞こえ、用意してきた大人たちはみんなとても嬉しくなりました。
また、スタートの絵はエゾカンゾウが1本だけでしたが、ゴールの絵は湿原に咲くお花がたくさん描かれていました。「湿原すごろく」の意図をわかっていたような、にくい演出がされていて、子どもたちの感性に脱帽です。
最後は、世界湿地の日のポスターにサロベツの生き物を付け足し、記念写真を撮りました。
1年間使ってきた手帳と共に写る子もいて、何かが伝わっていたのかな~と感じた最終回でした。
1年間お疲れ様でした。
またサロベツ湿原で会いましょう!!
今回は、自然を好み自然に興味を抱く登山者のみなさまに野生生物への配慮をいただきたいというお話しです。
東大雪地域には、登山口まで舗装路が続き広い駐車帯があり登山時間が短い、とある山岳があります。そうして山頂の少し先の岩場にナキウサギが生息しています。山頂を往復するだけでなく、その岩場まで足を延ばす方が大勢いらっしゃいます。
2019年3月30日(土)から11月2日(土)までの218日間を調査したところ、標準的な登山時間を1時間以上超える登山者が761人いらっしゃいました。入下山時刻を把握できた1584人の48%に当たります。滞在時間の最長は9時間余りでした。
ナキウサギの生息域に登山者が滞在したと考えられる日数は66%の143日に及びました。平均では3日に2日ですが、最長では18日間続きました。
生活の場所へ毎日のように人が訪れるというのは、ナキウサギにとって異常な状態とはいえないでしょうか。ナキウサギは静かで穏やかな暮らしを望んではいないでしょうか。
特に人数が多く22組49人が滞在した9月21日(土)について、滞在時間の分布を調査しました。
パーティごとに人数と滞在時間帯を調べ、時間帯を20分ごとに区切り、滞在人数を集計しました。8時20分から18時まで登山者が滞在し、11時20分から13時20分までは20人を超え、最多は12時から12時40分の32人でした。
ナキウサギは草食動物です。岩場周辺の植物が食べ物です。冬を過ごすための貯蔵なのか、ベッドの巣材なのか、巣穴へ運び込む光景も目にします。ナキウサギの愛らしさに目を奪われ、知らず知らずに周囲の植物を踏みつけていませんか。掘り巡らされた巣穴の上をゴトゴトと踏み鳴らして歩き回ってはいませんか。
然別湖ではウチダザリガニが持つザリガニかび病(ザリガニペスト)によりニホンザリガニが見られなくなってしまいました。同じように、人にはなんともなくてもナキウサギは堪えられない菌やウィルスがあるかもしれません。人が持ち込んだものは、食べ物のひとかけら、飴の包み紙一枚も残してはいけません。
入山前にはトイレを済ませ、携帯トイレも準備しましょう。
観察は双眼鏡などを利用して十分に距離を置き、撮影には高い倍率の望遠レンズを用いたいものです。
ナキウサギに代表される愛らしい野生生物たちが、これからも穏やかに暮らしていけるよう優しい心遣いをお願いします。