ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年5月16日

2件の記事があります。

2020年05月16日5月10日~16日 愛鳥週間

苫小牧 大久保 智子

 こんにちは、野鳥に魅せられている大久保です。

 愛鳥週間は、1894年にアメリカで小鳥を守る「バードデー」を定めたのが始まりです。日本では1947年に「バードデー」が410日に定められましたが、北国にはまだ雪が多く残るとして、1950年から510から16日までの1週間を愛鳥週間として定められました。

 生態系の食物連鎖の頂点にいる鳥類は、鳥を取り巻く生態系の変化が人間生活に影響を及ぼす環境変化の指針になるのではないかと考えられており、愛鳥週間は、野鳥の活動が活発になるこの時期に野鳥を通してそれを取り巻く環境の自然保護の大切さを知り広めていくことを目的としています。

 近年では、地球温暖化や外来生物の侵入といった野鳥の生存を脅かす新たな問題も生じており、そのため鳥が置かれている現状や保護の必要性など幅広い情報を発信し、愛鳥思想の普及啓発を充実していくことが一層重要になっています。

 とにかく人間生活の身近にいる野生動物である野鳥は、美しい羽色、美しい鳴き声など魅力的な一方で、その生態は謎が多く、生き物としての興味は尽きません。

 四季を感じさせてくれる野鳥は、特に春は季節移動や繁殖の時期でもあり、身近なところで鳴き声を奏でているので、外の空気を吸うタイミングで、鳥の声に耳を傾けてはいかがでしょうか。

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2020年05月16日春、マガンが集まる季節

苫小牧 大久保 智子

 こんにちは。野生生物課の大久保です。

 新型コロナ・ウイルスの爆発的な感染拡大によって、世界中の人々が活動の停止を余儀なくされ、出口の見えない落ち着かない日々が続いています。一日も早く終息して、平和な日常が戻ることを願うばかりです。

 そんな人間界の大騒ぎを知ってか知らずか、渡り鳥たちの生活はこれまでと変わりなく、宮島沼周辺の上空は例年通り、キャハハン、キャハハンと賑やかです。

マガンが繁殖地のロシアへ向かう途中で宮島沼に集まる季節になったのです。

 季節ごとに生活する場所を移動する鳥を渡り鳥といいますが、その渡り鳥であるマガンは、移動ためのエネルギー補給と安全な休息の場として、春と秋に宮島沼に立ち寄ります。

 

 宮島沼に立ち寄るマガンの1年の暮らしをご紹介します。

 

 春の移動では、宮島沼には4月頃、不思議なことに沼の氷が融ける(沼開け)と同時にやってきます。

今年は、3月26日の沼開けのその日に25,000羽が集まってきたそうです。沼の氷が融ける数日前から、沼に入れるかどうかを偵察に来ているとか来ていないとかで、前日の25日は600羽だったそうなので、宮島沼周辺にいるマガンの間ではそういった情報交換が行われているのかもしれません。

 

 宮島沼にたどり着いてからは、昼間は周辺農地で主に落ち穂を食べて、休憩をしています。

 

 夢中で採餌

 口元にはたくさんお弁当つけて

 夜は敵に襲われないように沼の中央に集まって(ねぐら入り)休み、

夜が明けるころ、餌を食べる場所へ移動するために一斉に飛び立ちます(ねぐらだち)。

 たまに夕方早めにねぐら入りしたみんなで、ガァガァクワクワおしゃべりしてるところに、猛禽類が近づくと驚いて一斉に飛び立ったりすることもあります。

 飛び立つときの地響きのような羽音と空を埋め尽くす様子は迫力があります。

 そうやって約40日ほど、宮島沼及び周辺でエネルギー補給と休息を繰り返し過ごしたあと、繁殖地であるロシアに旅立っていきます。

 私は、毎年、マガンが集まるこの時期を楽しみにしています。

今は、ぜひ宮島沼に来てほしいとは言えない状況ですが、秋になったら、子供を連れたマガンが集まってきた様子を見に来てもらえるようにお知らせができるようになっていればいいなと思うばかりです。

※現在、宮島沼水鳥・湿地センターは新型コロナウィルス感染拡大防止のため休館しています。

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