2020年12月
14件の記事があります。
2020年12月25日固有種リシリヒナゲシ②
利尻礼文サロベツ国立公園 室田 雄飛
こんにちは、利尻島AR室田です。前回の続き「栽培ヒナゲシ」「野生(wild)ヒナゲシ」の比較、2種のなかで起きている問題・影響についてお伝えします。
・栽培ヒナゲシの播種
前回の投稿で「利尻山の土壌侵食」による個体数の減少を話しましたが、もうひとつの問題として、「栽培ヒナゲシ」の播種(はしゅ:種をまくこと)があります。1980年代から2000年までに、何度か平地で栽培されていたヒナゲシの種子が利尻山の高山帯に播種されました。利尻山高山帯のリシリヒナゲシが少なくなったのを憂いて、善意で行ったとはいえ、高山帯にいるリシリヒナゲシと異なる種を播いてしまったのです。播種されたヒナゲシはDNA検査の結果、チシマヒナゲシ由来のヒナゲシと推測され、自生種とは別種と判断されました。固有種リシリヒナゲシをほかの種との交雑による「遺伝子の攪乱」土壌浸食による「生育環境の変化」などから守るための活動が現在も続けられています。
・富良野岳にリシリヒナゲシ?
実はリシリヒナゲシが大雪山国立公園の富良野岳の登山道横に花を咲かせていたことがあります。なぜ、何百キロと離れた地に咲いているのか?と話題になったそうですが、結果はもちろん、栽培ヒナゲシです。自然公園法に基づき採取されDNAの検査が行われました。その結果チシマヒナゲシに由来する個体、栽培ヒナゲシとして判断され除去が行われました。
・リシリヒナゲシを守るために
2008年から環境省事業で利尻島情報センターと北海道大学の協力の下、利尻山の自生地にある全ての個体をDNA解析し、種の識別をするとともに、栽培ヒナゲシの除去を行ってきました。現在まで多くの方々の協力により栽培ヒナゲシの除去は続き、確認される数も減ってきました。持ち込まれるときは一瞬、元の環境に戻すには数十年単位でかかります。二度と同じ過ちを繰り返してはいけません。
◇除去作業に尽力された地元の方々
利尻山は多彩な高山植物が生育する秀峰です。変わらぬ魅力を後世に楽しんでもらうため、登山の際は植生を踏み込まない、携帯トイレを使用するなど自分たちが出来る範囲で保全に協力しましょう^^
2020年12月25日空の広さを実感
支笏洞爺国立公園 當山真貴子
みなさん、こんにちは。支笏湖アクティブ・レンジャーの當山です。
さて、支笏湖商店街周辺の「電線の地中化」の工事が完了しましたので、その様子をご報告します。
電線が埋設されたことにより、今まで遮られていた景色が一気に開き「空はこんなにも広かったのか!」と実感しました。
今年の支笏湖園地は、電線の地中化を含めて、展望デッキの新設やアスファルト舗装、街路灯のLED化、側溝の整備などなど・・・大規模な整備の一年でした。
来年以降も一部の整備は続きますが、地元の方々や来訪者が快適に利用できるように取り組んでいきたいと思います。
2020年12月25日オオワシの保護
大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一
12月に入り雪が平地にも積もり始めました。
北海道を越冬地としている渡り鳥達も、冬の訪れと共に海を越えて北海道へやってきています。
12月10日道北地域で傷病鳥獣ありとの報告があり、収容に行ってきた時の様子をお伝えしようと思います。
大雪山国立公園管理事務所に連絡が入ったのは、午前11時頃でした。
事務所がある上川町から約100km程離れた線路付近で、怪我をした猛禽類が見つかったということでした。
事故現場付近までは車や徒歩では行けないので、JRの職員さんの協力を得て最寄り駅からは線路保守用の軌道自転車を使って現場まで移動します。
列車の通る前に個体を回収し、安全な場所まで待避しなければいけません。
事故報告があってからすでに数時間が経過していて、安否が心配されます。
現場から10mほど離れた場所まで、辺りに点々と血の跡がついていた先に、ワシと思われる塊を見つけましたが、見たところ動かないので、もしや・・・と思いましたが、近づくと頭をこちらに向けて威嚇してきました。まだ息があったことに胸をなでおろしました。
怪我をしたのはオオワシの幼鳥で、初めて北海道へ渡ってきたと思われる個体でした。
線路の近くで鹿の死肉を夢中で食べていたところ、電車の接近に気づくのが遅れて接触してしまったようです。
保護した後は獣医さんに診察をしてもらい、応急処置を受けました。
猛禽類医学研究所(Institute for Raptor Biomedicine Japan)のドクター齋藤さんが診てくれています。はるばる釧路からドクターカーに乗って駆けつけてくれました。
見たところ左の翼が折れているようです。
炎症を抑える薬や血止めの薬を投与され、折れた翼は包帯を巻いて固定します。
一見たいした怪我ではなく、元気そうに見えても、頭を強く打っていたり内蔵に深刻なダメージがあった場合、様態が急変して助からないことがあるとのことでした。
応急処置を施した後、人間の赤ちゃんが使う保育器で酸素を吸入しながら釧路湿原野生生物保護センターに輸送され、内臓や脳など見えない場所に怪我がないか、さらに詳しい検査を受けます。
これからこの幼鳥は野性に帰るための訓練を受けることになるのでしょう。
また海を渡って北へ帰れる日は来るのでしょうか。
齋藤先生によると、このような列車への接触事故は年に50回ほど起きているとのことでした。また、道北地区では鹿の死体があると、猛禽類もいる可能性が高いので列車にも徐行運転をお願いしているとのことです。
折れた翼が回復して無事にまた空を飛べるようになることを祈るばかりです。
ドクター齋藤さんとオオワシ
希少猛禽類の保護、治療、リハビリテーションを行っている機関です。
今、猛禽類に起きている現状を知ることが出来ます。
国の天然記念物に指定される日本最大級のワシで、アイヌ語では「カパッチリカムイ(ワシの神)」といいます。
カムチャッカ半島、アムール川下流域、サハリン北部で繁殖し、冬の渡り鳥として主に北海道東部、知床半島や根室半島にやってきます。
世界的に見ても希少な鳥ですが、交通事故による近年猟銃の鉛弾を要因とした鉛中毒、風力発電施設へのバードストライクによって個体数を減らしています。
2020年12月25日世界一の雪質、旭岳。
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ
こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。
旭岳スキーコースは、大雪山国立公園の中にあり、スキーコースの下地は、夏は高山植物が咲いていたり、"天女ヶ原湿原"という高層湿原の一体となっており、それらの希少な自然環境が圧雪車やスキーヤーによって損なわれないよう、一定以上の積雪がなければオープンできません。
【積雪量検査中】
今年は順調に雪が降り積もり、昨日、東川町・北海道上川総合振興局南部森林室・旭岳ロープウェイを運行するワカサリゾートと環境省で積雪量チェックを行い、無事に本日12月25日(金)にオープンすることとなりました。
旭岳は「雪質世界一」と呼ばれるパウダースノー。近年では、その雪を求めて、日本中はもとより、欧米からもたくさんのスキーヤー、スノーボーダーが訪れ、冬の観光資源ともなっていますが、今年は新型コロナウィルスのため、欧米からのお客様がほとんどおらず、観光業の方にとって大打撃となります。
「雪質世界一」と呼ばれる理由は、日本海の湿った空気を含んだ雪雲が日本海沿岸の山にあたると日本海地方は豪雪となり、その雲は水分を落としながら移動し、大雪山に到着する頃には、雲に水分はなくなり、乾燥した空気と寒冷な気温がぶつかり、大雪山にとても乾いた雪(結晶)を降らせます。
旭岳はロープウェイで一気に標高1600mまで上がることができるので、大雪山の中でも最も身近に、
超!軽い雪に出会うことができます。
その雪はまるでホイップクリームの上を滑り降りているかのような浮遊感を味わえる、とても珍しく希少な雪質で、はじめて滑ったときの感覚、驚きは今も覚えています。
東川町が誇る、世界一の雪質旭岳。国内・道内の方、感染状況が落ち着いたら滑りに来てください。
美しい冬山の側面には、厳しい自然環境があります。
大雪山は毎冬、雪崩事故や、視界不良・悪天候による道迷いが多発しています。
自分の身を守るのはもちろん、仲間を守るための装備、知識、経験をフルに活用し、長いようで短い冬山を満喫しましょう。
良いお年をお迎えください。来年もよろしくお願いします!
2020年12月24日令和3年度 環境省 北海道地区 アクティブレンジャー募集
苫小牧 大久保 智子
こんにちは、野生生物課の大久保です。
札幌でも本格的に雪の季節になりました。しんしんと雪が降る静寂な空気が気持ちよいです。
さて、環境省北海道地方環境事務所では現在、アクティブレンジャー(AR)の募集を行っています。
この日記でも度々、北海道各地で様々な業務に奮闘しているARの活動報告を日記としてお伝えしていますが、全国の国立公園等で、国立公園の保護管理や野生生物の保全に自然保護官とともに取り組んでいるのが、私たちARです。
事務所によって行う業務は様々ですが、植物が好き、動物が好き、だからより生き物たちが暮らしやすい自然環境を守りたい、より多くの人に国立公園の素晴らしさや自然環境の大切さを広めたいという思いで活動しているところは共通しています。
具体的な業務としては、たとえば、管内の国立公園の自然環境や利用状況の把握、利用者指導やビジターセンターなどの維持管理、自然観察会や環境教育の企画・運営、動植物の保護活動や、外来生物対策など、屋外作業からデスクワークまで多岐にわたります。
北海道の自然を未来へ引き継ぐためにも、ARに応募しませんか?
詳細は募集要項の募集している勤務地ごとの業務内容をご覧ください。
http://hokkaido.env.go.jp/pre_2020/post_136.html
また現在、オンラインでAR写真展を開催しています!!
活動時に撮影した写真と業務内容を紹介していますので、是非参考にして下さい。
令和2年度環境省アクティブ・レンジャー写真展 ~北の自然の舞台裏~
◎環境省北海道地方環境事務所HP http://hokkaido.env.go.jp/post_92.html
◎Instagram https://www.instagram.com/hokkaido_active/
2020年12月23日身近に暮らす動物たち
支笏洞爺国立公園 當山真貴子
気温の低い日や雪の降る日が多くなり、一面銀世界となっている支笏湖。アパートの水道管が凍結してしまい、冬の洗礼を受けている當山です。
さて、環境省では今年9月に、利用者のみなさんが、より快適に滞在できるよう、支笏湖ビジターセンターの南側に展望デッキを整備しました。冬になって落葉が進んだことから、展望デッキからの景観を良くするために、危険木伐採に合わせて一部の木の伐採や枝払いを行いました。
危険木(きけんぼく)とは、基本的に枯れ木や腐った木等のことです。
倒木の恐れがあるため、定期的に専門業者と一緒に園地内の樹木の診断をする危険木調査を行い、未然に園地利用者への危険を防ぐ取り組みを実施しています。
作業の様子
その作業中に、業者さんから「伐採した木に巣穴があり、そこからエゾモモンガが出てきた」という連絡があり、現場に行ってみると・・・
伐採した危険木の側面に巣穴を発見!
倒木する前に対応ができて良かったとホッとしつつ、エゾモモンガは、すでに別の木の巣穴に移動していたようで、姿を見ることはできませんでした。しかし、毛玉のような痕跡から彼らのぬくもりを感じました。
ビジターセンタースタッフの情報によると、巣穴は他にもたくさんあり、移動しながら暮らしているそうです。
お休みのところを邪魔してしまい申し訳ない気持ちもありましたが、人通りが多い身近な場所に、彼らが生息していることに感動しました(^^)
展望デッキからの眺望は、10月と比べ、風不死岳と支笏湖が綺麗に見られ、とても良くなりました。
単純に「綺麗だな~」と思うだけではなく、エゾモモンガや様々な野生動物たちが暮らしていることを思い浮かべてみてはいかがでしょうか。
私たちが気付いていないだけで、この周辺には多数の動物たちが暮らしており、彼らの存在を感じながら過ごしてみるのもオススメです(^^)
※展望デッキの利用について
冬季期間中は閉鎖となっていますので、来年、是非ご利用ください☆
ちなみに、展望デッキの工事から完成までの様子を下記の支笏洞爺国立公園公式SNSで公開中です。ご興味のある方は、ご覧下さい♪
Instagram→https://www.instagram.com/shikotsutoya_nationalpark/
Facebook→https://www.facebook.com/ShikotsuToya/
2020年12月22日固有種リシリヒナゲシ①
利尻礼文サロベツ国立公園 室田 雄飛
こんにちは、利尻島AR室田です。今日は利尻山の固有種である「リシリヒナゲシ」について、利尻山高山帯の環境との関わりを交えお伝えしていきたいと思います。
・「リシリヒナゲシ」とは?
ケシ科ケシ属の一種で、日本に自生するケシ属としては唯一の種であるとともに、利尻山の高山帯にのみ生育する利尻山固有種です。また、環境省絶滅危惧IB類とされています。
つぼみの時は下を向きますが、開花時になると空を見上げるように咲きます。薄い花弁は雨水や露で濡れた後、太陽光に照らされることでガラス細工のように透き通った姿を見せてくれます^^厳しい環境下でも一際可憐に咲く姿が私は好きです^^
△リシリヒナゲシ
・利尻山の崩壊とリシリヒナゲシ
最北の百名山で知られる利尻山はきれいな円錐状の山ですが、高山帯に入ると山体の浸食が進んでいます。浸食の要因については「自然的」「人為的」と様々ありますが、それは長くなるのでまた別の機会で書きます。
話を戻し、利尻山の浸食がリシリヒナゲシに与える影響として、生育環境、自生地の変化があります。リシリヒナゲシは他の植物が入り込めない環境を好み、不安定な準崩壊地にて生育する特徴があるため、山体の浸食がすすむことで生育地を失ってしまう個体も多くいます。
△ヒナゲシの生育地(準崩壊地)
次回は利尻山上部に播種された「栽培ヒナゲシ」と「野生(wild)ヒナゲシ」の比較、二種のなかで起きている問題・影響についてお伝えしていきます!
※リシリヒナゲシは希少な植物です。踏み込み・不用意な接触に気をつけましょう。
2020年12月17日アクティブ・レンジャー写真展in支笏湖~北の自然の舞台裏~開催中!
支笏洞爺国立公園 當山真貴子
こんにちは。支笏湖アクティブ・レンジャーの當山です。
さて、現在、12/2(水)より支笏湖ビジターセンターで「アクティブ・レンジャー写真展~北の自然の舞台裏~」を開催中です!
※開催期間:12/2(水)~12/27(日)
本写真展では、国立公園や国指定鳥獣保護区、野生生物保護センターなどで、アクティブ・レンジャー達が、現地巡視や自然ふれあい活動、野生生物の保護活動など日頃の業務を通じて撮影した写真と業務を紹介するポスターを展示し、北海道各地の自然が持つ素晴らしさと環境保全活動について紹介しています。
写真展を通して、自然環境への関心と理解を深め、私たちの活動を知っていただけると幸いです。
※アンケートに回答するとオリジナルのしおりをプレゼント!
支笏洞爺国立公園公式SNSでも動画を配信していますので、是非、ご覧いただき、フォローもお願いします(*^^*)
☆Facebook:https://m.facebook.com/ShikotsuToya
☆Instagram:https://www.instagram.com/shikotsutoya_nationalpark/
また、令和3年1月に札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)で開催を予定していたアクティブ・レンジャー写真展inチカホは、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、札幌第一合同庁舎1階に変更し、開催することとなりました。
オンラインでも写真を掲載していますので、こちらもどうぞご覧ください(*^^*)
※詳細はこちら↓↓
2020年12月17日サロベツのアイドル争い
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子
秋には数え切れないほどのオオヒシクイやマガンがいた場所に、今はぽつんとオオワシがいるのを見て、
季節の移ろいをしみじみ感じた、サロベツ担当の青山です。
サロベツでは、夏鳥が姿を消した10月以降、夏鳥について知る機会が増えます。
それは、10月にチュウヒの、11月にシマアオジの報告会がそれぞれ行われたからです。
チュウヒとシマアオジは、夏鳥として飛来し、サロベツで繁殖している鳥です。
どちらも、日本では数が減ってきていると言われており、共に、2017年に「国内希少野生動植物種」に指定されました。
指定後に調査が始まり、二種とも国内で一番の繁殖地がサロベツだという事がわかってきたところです。
希少な鳥がいることやサロベツが繁殖地として大切な場所だという事などを多くの方に知ってもらいたいとの思いから、その年に行った調査の報告会が行われるようになりました。
今年は、三密にならないよう会場を広くし、間隔を空け、マスク着用や検温など、できうる限りの対策を行った上で開催しました。
「チュウヒ報告会」は10月31日(土)に行われました。
チュウヒは、日本では唯一湿地で繁殖する猛禽類で、サロベツでは春から秋にかけて、海岸線や牧草地などでよく見ることができます。
報告会では、サロベツでの繁殖状況と地域との関係についてだけでなく、サロベツ以外で調査されている方の報告もあり、他地域の様子や繁殖へ影響している問題などについても知ることができました。
ヨシ原やササ原で営巣しているチュウヒと、そこで行っている人間の活動とがぶつかることがしばしばあるようです。
営巣地が国立公園外に多いことが、頭を悩ます原因の一つともなっています。
私たちには、ただただ草原が広がっているようにしか見えない場所でも、違う生き物にとっては最高の生息環境になる事を教わりました。
続いて、「シマアオジ報告会」は11月28日(土)に行われました。
シマアオジは、現在、サロベツでも限られた場所でしか確認されていません。
湿原のお花が最高潮の頃、大きなカメラを携えシマアオジを探している方々の様子を多く見かけます。
大きなカメラでも出会う事は容易ではないため、小さなカメラや双眼鏡しかない私は、さえずりが聞こえただけでも、宝くじに当たった級の幸運だと思っています。
報告会では、サロベツでの繁殖状況と普及啓発の取り組みについてのお話や座談会が行われました。
シマアオジは、ユーラシア大陸で繁殖し、大陸を通って東南アジアなどで越冬しているため、国際的な保全活動についての報告もありました。
1980年代までは、北海道全体でシマアオジはよく見られる鳥の一種だったそうです。
その後、90年代から急激に減ってしまい、今ではサロベツが国内では唯一の繁殖地との事です。
今見られているものが今後も変わらず見られるかはわからない、普通に見られるという事がどれだけ貴重かを、教えられました。
チュウヒやシマアオジについて知り、サロベツの貴重さを感じ、そこからどうしていけばいいのか?
いつも考えさせられる報告会です。
どちらも、サロベツを代表する種ですが、
ここ数年、毎年チュウヒとシマアオジの報告会が立て続けに行われているので、サロベツのアイドルの頂点を争っているかのように感じています。
見つけやすいチュウヒか、見るのは難しいけれど日本ではここだけのシマアオジか。
V字飛行でわかりやすいチュウヒか、鮮やかな黄色と心地よいさえずりのシマアオジか。
報告会の参加者数から見るとチュウヒの方が人気ですが、
サロベツのアイドルをどちらかに決めるのは、とても難しいです。
更にここ数年、繁殖が確認され、サロベツでも少しずつ増えてきているタンチョウが頭角を表してきており、三つ巴の戦いになりつつあるように感じます。(タンチョウの報告会が12月に予定されています)
サロベツの鳥界のアイドル争いは、なかなか熱い戦いになってきています♪
こんにちは。大雪山国立公園管理事務所の岩城です。
前回の日記をUPしてから、随分と月日が経ちました。
続編を楽しみにしていた方々へ、更新が遅くなって「ごめんなさい」。
今回は今年の初夏に実施した小函の現地調査の様子と、現在、環境省で進めている層雲峡再活性化に向けた、小函地域の活用の可能性についてお伝えします。
現地調査は6月下旬に、廃道となった国道を現在管理している上川町に許可を得て実施しました。
まるでジャングルへと探検を行うような格好で総勢5名で出発です。
駐車場に車を停めて準備しいよいよ出発です。みんなが見上げているのは銀河の滝。
それでは小函へとツアーの開始です。
歩き出して15分ほどすると天城岩が姿を見せます。ドローンから撮影した写真と地上からのを紹介しますね。
天城岩を越えると、覆道が。
THE旧道。
覆道を過ぎると羽衣の岩が少し見えてきました。
長年の道路の閉鎖でアスファルトからは雑草が。
木々も背丈くらいに成長していました。
羽衣の岩です。こちら側に若干傾いている影響で押し迫ってくる様な錯覚に陥りそうに。
余りに美しく迫力満点だったので、みんなで記念撮影をしました。
約20年前に閉鎖を決定づけた神削壁の崩落現場。
ものすごい量の岩が道路を埋め尽くしていました。。。
注意しながら先へと進みます。
看板も年代物な雰囲気。
層雲峡方面から進むと神削壁の看板がある場所付近が小函地域の終着点。
私の子どもの頃の思い出だった小函は―――みなさんはいかがでした?
その圧倒的迫力の柱状節理をみなさんも見に行きたくなったのではないでしょうか。
しかし、現時点では立入りは禁止されていますので、くれぐれも無断での立入りはしないでくださいね。
この素晴らしい景観が再び日の目を見る日はくるのでしょうか。
私はきっとくると思います。
現状では自由な立入りには崩落のリスクが限りなく大きいなハードルとなっています。
そこで、ある一定のルールを設け、人数制限の中でのツアーの実施が立入り可能な有力な手段になると私は考えています。
令和2年度の環境省の事業で実施している「層雲峡再整備再活性化検討会」の中でも小函地域の活用は提案され、現在議論中です。
リスクを全く取らずこの素晴らしい景観をこのままお蔵入りにするのか。
それとも、リスク管理の中で感動を体験させるのか。
私は、後記の展開がなされることに期待しています。
今回の日記はここまで。
良いお年を。