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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年10月27日

2件の記事があります。

2021年10月27日ペンケトー・パンケトー自然探勝会

阿寒摩周国立公園 鈴木達郎

 こんにちは。阿寒湖アクティブレンジャーの鈴木です。

 今回は、10月10日に開催された自然ふれあい行事「ペンケトー・パンケトー自然探勝会」についてご紹介します。

●ペンケトー・パンケトーとは

 ペンケトーとパンケトーは、阿寒湖の北東に位置する2つの湖で、それぞれアイヌ語でペンケトーは「上の沼」、パンケトーは「下の沼」を意味する言葉です。二つの沼に至る林道は私有地であるため、普段は一般の方の立ち入りが禁止されています。

 「ペンケトー・パンケトー自然探勝会」は、そんな手つかずの自然が残る阿寒の森の奥深くに特別に許可を得て入ることができる、年に一度きりの非常に貴重な機会でもあります。

 阿寒湖の北側を通る林道を1時間ほど車で移動すると、ササ原の中にペンケトーへと続く道が見えてきます。

 森の中では、倒れた木の上に美しく並んで生えるエゾマツ・トドマツの稚樹(倒木更新)や、葉の裏に神秘的な模様を描く粘菌の仲間、オシロイシメジ・ホコリタケ・ボリボリ(ナラタケ)といった多種多様なキノコなど...原生的な森の住人たちが私たちを出迎えてくれました。

自然公園財団スタッフによる自然解説 一列にならんだトドマツ・エゾマツの倒木更新

▲スタッフによる自然解説      ▲一列に並んだ倒木更新

 ガイドスタッフによる自然解説をはさみながら、森の中をのんびり一時間ほど歩くと、目的のペンケトー湖畔が見えてきました。

 この時期のペンケトーは、エメラルドグリーンの湖面と対岸に並ぶ針葉樹の緑、広葉樹の赤や黄色が美しいコントラストを形成します。辺りはわずかに木々のさざめきが聞こえるだけで、皆さん静かで穏やかな水面を眺めてゆったりとした時間を過ごしていました。

エメラルドグリーンのペンケトー湖面と紅葉 湖畔を歩く参加者のみなさん

▲ペンケトー湖畔          ▲湖畔を歩く参加者の皆さん

 滅多に来ることのできないペンケトーに後ろ髪を引かれる思いですが、林道を戻って次の目的地のパンケトーへと向かいます。

 パンケトーは、ペンケトーの下流に位置する大きな湖です。湖畔からは、晴れていると森の向こうに雄阿寒岳が見えるのですが...。この日はお昼前頃から流れてきた雲で、すっぽり隠れてしまっていました。

 パンケトーからは、阿寒湖へ向かって「イベシベツ川」と呼ばれる川が流れ出ています。川沿いの林道を少し歩いたところには、阿寒でも有数の紅葉の名所である「乙女の滝」もあります。

 乙女の滝から川の底を覗くと、大きな黒い塊のようなアメマスの群れのほか、冷たく綺麗な水でしか生息できない様々な生き物の姿も見られました。

 続いて訪れたのは、イベシベツ川河口にある阿寒湖漁協の養魚場です。

 養魚場では、ちょうど産卵の時期を迎えたアメマスが、急流を次々に遡上していく様子が間近で観察できました。なかなか他では見られない迫力満点の姿に、参加者のみなさん大興奮でした!

乙女の滝の紅葉風景 遡上するアメマス

▲乙女の滝             ▲遡上するアメマス

 最後に、マリモの生育地であるチュウルイ湾を訪れました。ここでは、釧路市教育委員会マリモ研究室の職員の方に、マリモの解説をしていただきました。

 ちょうど湖岸に大きなマリモが打ち上げられていたため、まじまじとマリモが観察でき、その不思議な生態について参加者からは、色々な質問が飛び交っていました。

 参加者の中からは、「マリモの中が空洞ということは図鑑的な知識として知っていたが、こうして水槽越しでない生のマリモが打ち上げられて自重でひしゃげている様子を見ると、より実感を持って知識が身についた」などの声も聞こえました。

チュウルイ湾にてマリモ研究室職員によるマリモ生態解説 マリモ

▲マリモ研究室職員による解説    ▲打ち上げられたマリモ

 普段は立ち入ることのできないペンケトー・パンケトーで、阿寒の秋の美しい自然が堪能でき、参加された皆さん大満足のご様子でした。

 ペンケトー・パンケトー自然探勝会は毎年紅葉が一番美しい10月頃に開催されます。阿寒湖畔エコミュージアムセンターの公式HP・SNS等で募集していますので、ご興味を持たれましたら、来年是非ご参加ください。

 阿寒湖地域での次の自然ふれあいイベントは、来年1月にひょうたん沼のスノーシューハイキングが予定されています。積雪期のイベントは10月までとはガラリと変わって、厳しい冬の森に息づく自然の営みが楽しめます。こちらも是非ご参加ください。

■阿寒湖畔エコミュージアムセンター

HP:http://business4.plala.or.jp/akan-eco/index.html

Facebook:https://m.facebook.com/pg/AKankohanekomyujiamusenta/posts/?__nodl&ref=external%3Awww.bing.com

Instagram:https://www.instagram.com/p/CEfnTAlnuRs/

■(過去記事)アクティブレンジャー日記『ひょうたん沼スノーシュー』

http://hokkaido.env.go.jp/blog/2021/02/post-587.html

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2021年10月27日下サロベツ園地でササ刈り活動

利尻礼文サロベツ国立公園 福井翔太

サロベツ担当アクティブレンジャーの福井です。
緊急事態宣言に伴い、パークボランティア活動が実施できずにいましたが、久しぶりにパークボランティア活動を行うことができました。

今回のパークボランティア活動は10月7日に幌延町の下サロベツ園地にてササ刈りを行うものです。
サロベツでは湿原の乾燥化などに伴う、ササの生育地の拡大が問題視されており、ササの生育地の拡大を防ぐことは湿原植物の生育を促します。

活動当日は雨の予報で心配でしたが、皆さんが集まった時には無事に晴れていました。
そして、パークボランティアの皆さんは久しぶりの活動にやる気に満ちあふれていました。
ササを刈る範囲を決めて湿原に降り立ち、その中でひたすら刈っていきます。

刈り取りをしていると足下にショウジョウバカマと思われる葉が確認できました。
このまま、冬を越し来年の春に再びピンクの花を咲かせてくれるのでしょうか。

生い茂るササの下には見えていなかったサロベツで生きる植物の姿がありました。
ササを回収するために用意をしていた袋はあっという間に満杯になり、今回はササを21kg刈りました。
それでもまだササが目立ちます。

今回のササ刈り活動は2005年から継続して行っています。
ササ刈りを行った場所と刈り取っていない場所を見比べると、刈り取りを行った場所では湿原植物の姿が目で確認できるようになっています。
今後も継続が大切です。

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