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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上川

159件の記事があります。

2009年08月11日自然観察講座~南ペトウトル山~

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

8月8日(土)に環境省と上川町公民館の共催で自然観察講座を開きました。
今回は、「東大雪の自然を体験」がテーマで、南ペトウトル山に行きました。


こらから山頂向かいます!!

天気が良すぎて熱中症など心配なことがありましたが、樹林帯が広がる斜面を歩いたので、アカエゾマツやトドマツの針葉樹が暑い日差しを遮ってくれました。ガイドブックの一文には「登りで高度を一気に稼いで」と書いてあるように、パンチの効いた登りが途中にありましたが、時折見える然別湖や対岸の山々を眺めながら息を整えながらゆっくりゆっくりと山頂を目指しました。


木々の間から然別湖を眺めながら歩きました。
ぐんぐん湖が小さくなっていきます。

上川の町からは黒岳から当麻岳までの通称「表大雪山」が一望できますが、いつもみている大雪山とはひと味違った東大雪の一部を知りました。
大雪山もいろいろな山があって奥深くて、またこういった山も良いです。


山頂で周辺の展望を楽しみました。

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2009年08月06日共有した時間

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

以前から会ったという噂を聞いていたユニ石狩の林道で、8/5、山の神(キムンカムイ)のヒグマに会いました。

巡視途中で突然雷雨に遭い、カッパ着用が間に合わず、びっしょりに濡れて、テンションが下がった帰り途中。
緑が濃い林道の先で黒い三角が二つ目に入りました。
もしかして・・・。
テンションが一気に上がって、好奇心と恐怖で少し車を近づけ確認すると、
やっぱりヒグマ。
こちらの車に気がつき、林道に出てきて、ゆっくりゆっくりと横断していきました。






確かに、おじゃましているのは私の方でした。
ヒグマのゆっくり歩く姿を見て、悠々とした自然の流れを感た一時。







ヒグマと時間を共有できてるということを、近くで見られて嬉しい。
でも、野生動物との距離は慎重に保たねば、いつまでもいい関係でいられないですね。



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2009年07月02日ウスバキチョウ

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

大雪山の高山帯にいる蝶の中で人気の高いウスバキチョウ。
残雪と小さい春の花がポツポツ咲いている中を黄色い羽を輝かせながら舞っている姿はとても優雅です。大雪山を代表する蝶ですが、限られた環境でしか生活が出来ないので、国の天然記念物に指定されています。しかし、心ない人による盗採が絶えないので、環境省やパークボランティアでは盗難パトロールを行っています。


パトロール中に、岩の上でじっとしている不思議な虫をPVさんが発見。
近くにいた登山者を含め4人でその虫をのぞき込んだら、わずかに赤い斑点が見えたので、ウスバキチョウの羽化したてのものだとわかりました。


羽化してすぐはこんな格好。


しばらくじっとしていましたが、突然早足でウロウロ歩き出し、岩陰でじっととまりました。どうやら、風をしのぐ場所を探していたようです。観察していると、じわじわと羽が伸びていき、すこしずつ体を動かすようになりました。


ただいま羽を伸ばし中。


途中、アリにちょっかい出され、しつこい攻撃にも耐えながらも、1時間半後にやっと飛び始めました。貴重なものを見られてそして無事飛び立ってくれて嬉しい1日でした。


飛び立って一休み。


【ウスバキチョウとは】
・過去の氷河期に大陸から渡って来て、その後の温暖化に向かったときに、陸地が大陸と完全に分離されてしまうと、北方へ帰ることができなくなり、寒冷な気候条件を求めて高山へのぼりつめていったと考えられる生物が大雪山には多くいます。ウスバキチョウなどの高山蝶もそういった生物です。

・ウスバキチョウは、1年目の冬は卵で過ごし、翌年5月~6月頃孵化し、繭になり、2年目の冬は蛹で越します。まる2年、足掛け3年目にようやく羽化します。

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2009年06月23日高山蝶パトロール~緑岳~

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

PV行事のシーズン1番始めの活動の高山蝶保護パトロールを6月21日に行いました。

赤岳、美瑛富士岳、緑岳の3箇所で行い、私は緑岳の方へ、9人のPVと一緒に行きました。(美瑛富士岳編は東川ARの宮崎さんが報告しています。)

大雪山は6月に入って気温が上がらない日が多く、そのことが雪解けをおくらせているようで、残雪が多いところが多数有ります。もれなく、緑岳も、白雲小屋周辺もたっぷりと雪が残っていました。


板垣新道から白雲岳


この日は、久しぶりに太陽が顔をだし、時折日差しを浴びての山歩き。その日差しに誘われたのか2,3頭ウスバキチョウを確認することが出来ました。まだ黄色い羽が初々しかったです。


黄色が鮮やかなウスバキチョウ。
この美しさは大自然の中にあってこそ!!


雪や気温と関係する植物や動物たちの生態に、この残雪の多さがどのように影響してくるのでしょうか?今シーズンの今後が楽しみです。


エゾコザクラが咲き始めました。
うしろは、後旭岳と旭岳


そして・・・この日も見かけました。
緑岳に上がる途中で、高根ヶ原の方をみると、黒いものを発見。
ヒグマです。
やっと確認できる程度の距離で、肉眼でみると米粒程度の大きさでしたが、こちらの騒ぎに気がついたのか、雪の上を歩いていたところを走り出し、ハイマツ帯に入り、しばらくして、ハイマツをぬけ、雪の斜面を少し上がり、さぁーっと滑りおりていきました。
滅多に見られない光景を見られて、10人大興奮でした。

他にギンザンマシコなどの動植物を観察することができて、おまけがたくさんついた、高山蝶パトロールでした。
高山蝶パトロールは、今週いっぱい(6/21~6/26)赤岳で行います。

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2009年06月18日備えあれば患なし

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

黒岳の向かい合わせにそびえ立つ山、ニセイカウシュッペ山。名前の由来はアイヌ語で、直訳すると、「断崖の上にそびえる山」で、この断崖とは、層雲峡付近の柱状節理を指したものだそうです。

そのニセイカウシュッペ山、いろいろな花が咲くこの山の今の状況は、1500mを超えると残雪が多くなり、大きい残雪をトラバースするところが3,4箇所有りますので、軽アイゼンやピッケルなどの装備が必要です。山頂近くは雪が無く、ハクサンイチゲが咲き始め、キバナシャクナゲが斜面を彩っています。


たっぷりと水滴をつけたキバナシャクナゲ。


小雨が降るなか山頂まで行った帰り、ちらっと目に入った私の右足横にあった、くっきりした大きい足跡・・・ヒグマの足跡!!しかも凄く新しい!!
一瞬すべてが硬直し、そのあと口から心臓が飛び出そうになるほどの、ド迫力。
必要以上に鈴を鳴らし、手には誤発射防止ピンを外したヒグマスプレーを手に持ち、時にはかまえて振り返りしながら、下山しました。大雪山にクマはいることも知っているし、遠くで見かけたこともあります。いろいろな痕跡も見てきましたが、こんなに新しいものとこんな近くで会うのはやはりどきどきします。

「備えあれば患なし」クマ鈴にヒグマスプレーがどんなに心強かったことか・・・


ヒグマスプレーの3倍はある!?ヒグマの足跡


さて、今シーズンから、巡視で得た大雪山情報を、事務所前の掲示板で紹介しています。また一緒に、層雲峡ビジターセンターやヒグマ情報センターで出している情報誌の最新版も一緒に紹介しています。
是非参考にして下さい。


どんどん情報を更新して充実させていきます。

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2009年06月16日沼巡りとバードウォッチング

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 6月13日(日)に、「沼巡りとバードウォッチング」の自然観察会を高原温泉沼巡りコースで行いました。

 講師の磯清志先生の、鳥の生態や行動についての話を聞きながら、やっと水芭蕉が顔を出し始めた早春の樹林帯を、鳥たちに会おうと散策しました。


コース内では、雪解けしてぽっかりあいた空間に、びっしりと水芭蕉が咲いています。

 あいにくの小雨模様で、鳥たちは控えめな行動でなかなか姿を見せてはくれず、数種類しか目視できませんでしたが、それでもこの時期は繁殖期ということもあって、あちらこちらでさえずりも聞こえましたし、ウソのオスがメスにエサをあげる求愛行動を観ることもできました。
 本日観察した野鳥は、鳴き声だけというのも含めて、16種でした。

 鳥の声に耳を傾けてゆっくりと散策するのもいいものです。
しかし、息を殺しすぎて、ばったりヒグマに出会う事のないように・・・

※コース内は残雪が多いです。緑沼もやっと、2、3割顔を出した程度の雪解け具合です。


鳥の声の主を捜して・・・


途中で、エゾライチョウのフンを見つけました。
違う場所では、ヒグマのフンもありました。

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2009年06月11日緑岳

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 緑岳、高原沼巡りコースの登山口に繋がる高原温泉までの道路は、冬期間積雪の関係で閉鎖していましたが、先日6月6日(土)から、8ヶ月ぶりに道路を通行できるようになりましたので、巡視に行ってきました。

 緑岳は、登山口から山頂までの半分のところのガレ場まではずっと雪で、一応雪の上にはマーキングがしてありますが、ガスがかかると周囲がわからなくなる危険性がありますので、ご注意下さい。
ガレ場から上は春の花、ウラシマツツジやミネズオウ、コメバツガザクラやキバナシャクナゲ、ミヤマキンバイが咲き始めています。6月9日の巡視では、ガレ場途中で会ったキンザンマシコが、山頂まで誘導してくれたり、山頂では足下までシマリスが様子をうかがいに来たりと、動物たちも姿をみせてくれました。


 高原沼巡りコースは、施設は12日(金)に開く予定ですが、コース整備は13日から始めるようです。この場所はヒグマの生息地ですので、コースに入る前には、必ずヒグマ情報センターにて、レクチャーを受けてからの入山になります。

 夏山シーズンの到来です。
 今シーズンも様々な大雪山の姿をお伝えしていきます。

第一花園、第二花園は雪原が広がっています。

ミヤマキンバイが春の日差しに当たって輝いていました。
後ろは高根ヶ原。

ギンザンマシコのつがい。

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2009年05月19日2009大雪山パークボランティア

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

 5月16、17日に、大雪山パークボランティア連絡会の総会を行いました。
大雪山パークボランティアは、会員113名(09年4月現在)の大所帯で、今回の総会は73名が参加しました。

 昨年度は、創立20周年を迎え、新しい会員を増やし、登山口レクチャーを始めてみるなど、新しい一歩を踏み出しています。昨年度は一人当たりの活動実数が9.48日で前年や前々年よりも約3日増えました。20年たっても活発な活動をしています。今後も変化、進化し続ける大雪山パークボランティアであってほしいと思っています。

 また、春山研修として、三段山、十勝岳避難小屋、安政火口、上富良野岳の4コースに分かれて残雪のある十勝岳連峰を歩きました。大雪山の自然や歴史を勉強したり、久しぶりの登山で体を慣らしたり、ロープが緩んでいないか、看板のペンキがはげていないか等を確認したりと、活動の準備を始めました。

 今年度も6月から10月までの夏山シーズンが早足で駆け抜ける大雪山の山々で、様々な活動をしていきます。


十勝岳温泉で総会を行いました。

※今回私が歩いた上富良野岳コースは、雪の上をほとんど靴のままで歩ける状況でしたが、場所によってはアイゼンが必要な場所もありましたので、アイゼン・ピッケルの装備をしてください。

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2009年01月09日霜の花を身にまとい

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

日差しが暖かくなり、雪解けが進むと、ひょっこり顔を出す、ふきのとう。
ふきのとうを見ると、春を思い、気が緩むような感じがします。

その、ふきのとう

気温が下がった今朝(上川の8時半で-12℃)、スノーモビルパトロールで愛山渓の道路を歩いていたら、ぱらぱらと10株ほど、ふきのとうが顔を出しているではありませんか!!

「寒いでしょう?」と思わず声をかけてしまうほど、キレイな霜の花をつけて、凍えているように見えました。
季節外れに顔をだして、この寒さにびっくりしたことでしょう。

七十二候(気象の動きや動植物の変化を5日ごとにくぎったもの)によると、1月20から5日間は款冬華(かんとうはなさく)で、「ふきのとうが出始めるころ」という意味です。北海道ではもう少し後だと思っていたのに、それよりも早く、ふきのとうの顔を見るとは、驚きました。

 今回は、ふきのとうを見て、気が緩むどころか、逆に、ぐっと身が引き締まりました。


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2008年10月10日大雪山の冬期通行止め

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

山の上は雪が降って、あっという間に紅葉シーズンが過ぎていった大雪山の山。
今では、山の上の景色はすっかり冬山に装いを変え、すべての生き物に厳しい季節になりました。

雪の関係で、登山口につながる道路(愛山渓線、銀泉台線、高原温泉線)が冬期通行止めになります。ご注意下さい。

①愛山渓線:平成20年10月23日~平成21年4月24日
②銀泉台線:平成20年10月3日~平成21年6月19日
      ※積雪の関係で予定より閉鎖が早まりました。
③高原温泉:平成20年10月11日~平成21年6月6日

積雪の関係で、予定が変更されることがあります。お気をつけ下さい。
詳しいお問い合わせ先は、
①②:旭川土木現業所事業課→0166-26-4461
③ :上川町建設水道課→01658-2-1211




渋~い晩秋の風景。緑岳第一花畑。(10/10)

高根ヶ原、忠別岳の様子。今日は特に天気が良くなかったので、ちょっと荒れています。

今は、上川から層雲峡までの国道沿いの紅葉が綺麗です。

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