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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上川

159件の記事があります。

2021年01月05日大雪山の絶景ベスト3

大雪山国立公園 岩城大洋

みなさん、こんにちは。大雪山国立公園管理事務所の岩城です。

突然ですが、私の日記は今回で最終回となります。

20164月に当事務所に配属され、4年10ヶ月が経ちました。

大雪山国立公園へはさまざまな業務のため入山し、登山道の巡視を行いました。

在職中どれくらい歩いているかをざっと計算したところ、年間約260㎞。

トータルでは1300km分の軌跡を公園内の登山道に残したことになります。

(たぶんもっと歩いていると思います)笑

その中でもっとも思い出に残っているのは2018年の10月に実施した姿見から愛山渓温泉登山口までのピストン(往復すること)。

その距離なんと21.5km。移動時間9時間。天気は時々雪。

大雪山の圧倒的なスケールに心が折れそうになった唯一の山行。でも辛い巡視であったからこそ、今では良き自慢の思い出となっています。

最後の日記では何を書こうかと悩みましたが、最後は私の1300㎞の景色の中のベスト3を紹介したいと思います。

3

「黒岳山頂からの展望」

黒岳7合目から約1時間半登ると大雪山の大パノラマが眼下に。

ここでのんびり雄大な大雪の山々を見ながら食べる昼食が好きでした。

黒岳から足を延ばせばお鉢平展望台があります。

そこからの景色も好きなのでおまけに載せておきますね。

 

2位「大雪高原沼めぐり登山コース緑沼の紅葉」

 

 

良い紅葉の年の沼めぐりコースは格別です。

緑沼で見た青と赤と白のコントラストは最高でした。

1位の前にいろんな大雪山。

 

 

ニセイカウシュッペから黒岳方面。

 

 

ヒサゴ沼付近。

 

 

秋の草紅葉。

 

大雪山の中間地点。

 

 

沼ノ原大沼。

 

銀泉台のナナカマド。

 

 

トムラウシ山。

 

 

10月中旬の黒岳。

 

次はいろんな山頂。 

黒岳。

化雲岳。

トムラウシ山。

赤岳。

お待たせしましたがいよいよ第1位の発表です。

♪ダラララララ・・・・・♪ジャン♪

 第1位「青い南沼」

 

トムラウシ温泉短縮口から天人峡までを12日の日程で巡視を実施した時の夕日が沈む前の南沼はほんとに神秘的で今でも心に残っています。

 

以上が私の思い出の大雪山ベスト3です。

みなさんも是非訪れてみてくださいね。

最後に

僕の人生の中で大雪山はいつもそばにありました。

初夏には母と山登りをし、紅葉時期には旭岳ロープウェイで紅葉狩りをし、冬には白金温泉でスキーをするのが毎年の決まりごとでした。

そこにはいつも違う風景があり、未熟だった僕は雄大な大雪山に触れながら成長しました。

大人になり、実際に大雪山国立公園の管理運営に携われたことは僕にとって誇りでした。

今後はこの経験を生かし新たな職場でもチャレンジし成長したいと思っています。

みなさん、長い間ありがとうございました。

また、いつかどこかでお会いしましょう。

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2020年12月28日層雲峡の核心部 Part2 to3

大雪山国立公園 岩城大洋

こんにちは。大雪山国立公園管理事務所の岩城です。

前回の日記をUPしてから、随分と月日が経ちました。

続編を楽しみにしていた方々へ、更新が遅くなって「ごめんなさい」。

今回は今年の初夏に実施した小函の現地調査の様子と、現在、環境省で進めている層雲峡再活性化に向けた、小函地域の活用の可能性についてお伝えします。

現地調査は6月下旬に、廃道となった国道を現在管理している上川町に許可を得て実施しました。

まるでジャングルへと探検を行うような格好で総勢5名で出発です。

駐車場に車を停めて準備しいよいよ出発です。みんなが見上げているのは銀河の滝。

それでは小函へとツアーの開始です。

歩き出して15分ほどすると天城岩が姿を見せます。ドローンから撮影した写真と地上からのを紹介しますね。

天城岩を越えると、覆道が。

THE旧道。

 

 

 

覆道を過ぎると羽衣の岩が少し見えてきました。

 

 

長年の道路の閉鎖でアスファルトからは雑草が。

 

 

木々も背丈くらいに成長していました。

 

 

羽衣の岩です。こちら側に若干傾いている影響で押し迫ってくる様な錯覚に陥りそうに。

 

 

余りに美しく迫力満点だったので、みんなで記念撮影をしました。

 

 

20年前に閉鎖を決定づけた神削壁の崩落現場。

ものすごい量の岩が道路を埋め尽くしていました。。。

 

 

注意しながら先へと進みます。

看板も年代物な雰囲気。

 

 

 

層雲峡方面から進むと神削壁の看板がある場所付近が小函地域の終着点。

 

私の子どもの頃の思い出だった小函は―――みなさんはいかがでした?

その圧倒的迫力の柱状節理をみなさんも見に行きたくなったのではないでしょうか。

しかし、現時点では立入りは禁止されていますので、くれぐれも無断での立入りはしないでくださいね。

この素晴らしい景観が再び日の目を見る日はくるのでしょうか。

私はきっとくると思います。

現状では自由な立入りには崩落のリスクが限りなく大きいなハードルとなっています。

そこで、ある一定のルールを設け、人数制限の中でのツアーの実施が立入り可能な有力な手段になると私は考えています。

令和2年度の環境省の事業で実施している「層雲峡再整備再活性化検討会」の中でも小函地域の活用は提案され、現在議論中です。

リスクを全く取らずこの素晴らしい景観をこのままお蔵入りにするのか。

それとも、リスク管理の中で感動を体験させるのか。

私は、後記の展開がなされることに期待しています。

今回の日記はここまで。

良いお年を。

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2020年12月25日オオワシの保護

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

12月に入り雪が平地にも積もり始めました。

北海道を越冬地としている渡り鳥達も、冬の訪れと共に海を越えて北海道へやってきています。

1210日道北地域で傷病鳥獣ありとの報告があり、収容に行ってきた時の様子をお伝えしようと思います。

大雪山国立公園管理事務所に連絡が入ったのは、午前11時頃でした。

事務所がある上川町から約100km程離れた線路付近で、怪我をした猛禽類が見つかったということでした。

事故現場付近までは車や徒歩では行けないので、JRの職員さんの協力を得て最寄り駅からは線路保守用の軌道自転車を使って現場まで移動します。

列車の通る前に個体を回収し、安全な場所まで待避しなければいけません。

事故報告があってからすでに数時間が経過していて、安否が心配されます。

現場から10mほど離れた場所まで、辺りに点々と血の跡がついていた先に、ワシと思われる塊を見つけましたが、見たところ動かないので、もしや・・・と思いましたが、近づくと頭をこちらに向けて威嚇してきました。まだ息があったことに胸をなでおろしました。

怪我をしたのはオオワシの幼鳥で、初めて北海道へ渡ってきたと思われる個体でした。

線路の近くで鹿の死肉を夢中で食べていたところ、電車の接近に気づくのが遅れて接触してしまったようです。

保護した後は獣医さんに診察をしてもらい、応急処置を受けました。

猛禽類医学研究所(Institute for Raptor Biomedicine Japan)のドクター齋藤さんが診てくれています。はるばる釧路からドクターカーに乗って駆けつけてくれました。

見たところ左の翼が折れているようです。

炎症を抑える薬や血止めの薬を投与され、折れた翼は包帯を巻いて固定します。

一見たいした怪我ではなく、元気そうに見えても、頭を強く打っていたり内蔵に深刻なダメージがあった場合、様態が急変して助からないことがあるとのことでした。

応急処置を施した後、人間の赤ちゃんが使う保育器で酸素を吸入しながら釧路湿原野生生物保護センターに輸送され、内臓や脳など見えない場所に怪我がないか、さらに詳しい検査を受けます。


これからこの幼鳥は野性に帰るための訓練を受けることになるのでしょう。

また海を渡って北へ帰れる日は来るのでしょうか。

齋藤先生によると、このような列車への接触事故は年に50回ほど起きているとのことでした。また、道北地区では鹿の死体があると、猛禽類もいる可能性が高いので列車にも徐行運転をお願いしているとのことです。

折れた翼が回復して無事にまた空を飛べるようになることを祈るばかりです。

ドクター齋藤さんとオオワシ

猛禽類医学研究所(IRBJ 

希少猛禽類の保護、治療、リハビリテーションを行っている機関です。

今、猛禽類に起きている現状を知ることが出来ます。

オオワシ

国の天然記念物に指定される日本最大級のワシで、アイヌ語では「カパッチリカムイ(ワシの神)」といいます。

カムチャッカ半島、アムール川下流域、サハリン北部で繁殖し、冬の渡り鳥として主に北海道東部、知床半島や根室半島にやってきます。

世界的に見ても希少な鳥ですが、交通事故による近年猟銃の鉛弾を要因とした鉛中毒、風力発電施設へのバードストライクによって個体数を減らしています。

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2020年10月13日生まれ変わった白雲岳避難小屋

大雪山国立公園 忠鉢伸一

こんにちは。

大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

今年の6月から建替工事が行われていた白雲避難小屋は、10月8日に工事が終わりました。

9月29日に工事の最終チェックをする為、北海道地方環境事務所と大雪山国立公園の各管理事務所で白雲岳避難小屋へ行った時の様子をお伝えしようと思います。

9月26日に初冠雪となった大雪山は所々に雪が積もっていて、晴天ではありましたが冬のような冷たい空気でした。

【 9月29日 赤岳から白雲岳分岐 】

白雲岳避難小屋は建て替え工事中のため利用が自粛となり、寂しい思いをした方もたくさんおられると思います。

まだ片付けは完全に終わっていませんが、新しく生まれ変わった白雲岳避難小屋を紹介します。

【 9月29日 白雲岳分岐から白雲岳避難小屋へ降りる途中から 】

1階部分は管理人室の場所が変わりました。前の避難小屋1階よりも広い感じがします。

入口も建物の東側になりました。

2階部分はあまり変わっていませんが、窓が増えて明るいです。屋根、床、壁には断熱材が入り、以前よりも暖かく快適になるのではないでしょうか。

冬用の入口は変わらず建物の東側2階です。

 

【 建物外観、2階部分、1階部分写真 】

歴代の白雲岳避難小屋の看板です。

一番下が一番古く、新しい看板は前回の看板の文字をモデルに作られました。

大雪山の短い夏山シーズンは終わり、いつ雪が積もっても不思議はない季節になりました。

白雲岳避難小屋は来年の春からの運用になりますので、今期は一般登山者の宿泊はできません。

白雲岳避難小屋は夏山シーズンである6月~9月は管理人が常駐するので、周辺の状況などは管理人から最新の情報が得られると思います。

大雪山縦走の中継地点として重要な場所にあるため、この避難小屋が利用できることによって色々なルートを使って山歩きできるようになります。

来年の春は白雲避難小屋に泊まって、日帰り登山では見ることのできない太陽や星空や山を楽しめたらいいですね!

【 9月29日 白雲岳避難小屋から見た高根ヶ原方面 】

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2020年09月24日大雪高原温泉沼めぐり登山コース 携帯トイレブース設置

大雪山国立公園 忠鉢伸一

こんにちは

大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

【緑沼 9月17日撮影】

紅葉の季節が高原温泉にもやってきました。

日を追う毎に色づいていく紅葉を見ていると、大雪山の短い登山シーズンも終わりに近づいているのを感じます。

昨年から紅葉時期に携帯トイレブースを設置していた大雪高原温泉沼めぐり登山コースですが、今年は9月17日から緑沼、エゾ沼の2カ所にブースを設置しています。

緑沼のトイレブースは従来のテント型ブースになります。軽くて設営も簡単です。

ですが、強度はそこまで強いとは言えません。強風には耐えきれないでしょう。

(昨年、赤岳山頂に設営したテント型ブースは、強風によって壊れてしまいました・・・)

【9月17日 緑沼携帯トイレブース】

強度もあるしっかりとしたブースになると、値段が高く簡単には設置できません。

今期エゾ沼に設置されるのは、簡単に手に入る材料で補修もできて、安価で、人力で運べるトイレブース。ヒグマ情報センターを管理運営している、北海道山岳整備が作成した、オリジナル携帯トイレブースになります。

設営前に広い場所でテスト設営を行いました。5人がかりで約40分ほどで完成しました。

  

大雪山国立公園管理事務所からも、材料の運搬と設営のお手伝いをしに行きました。

総重量約150Kg。皆で分担して運びます。

作業場所は登山道。前日に広くて平らな場所で設置した時のように簡単にはいきません。

水平な場所は無いので石を組んで基礎として組み立てていきます。

 

 

ヒグマ情報センタースタッフ、当日手を貸してくれたボランティアさん達と力を合わせて設営できました!

とても快適な個室となっております。

 

今後改良を重ねていくことによって、エゾ沼以外の場所にも設置されるかもしれません。

大雪高原温泉沼めぐり登山コースは10月9日まで歩くことができます。

紅葉を見に訪れたときは、皆で設置した携帯トイレブースを是非利用してみてください。

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2020年09月10日旅する蝶

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

97に登山道を巡視中、珍しい蝶を発見しました。

春には南から北へ、秋には北から南へ、海を越えて日本を縦断する、旅をする蝶。

最近、層雲峡黒岳でも撮影されて話題になっていたアサギマダラという蝶です。

アサギマダラの学名は「parantica sita(パランティカ・シータ)」

マダラチョウ亜科に分類される蝶で、「シータ」という名前は蝶が発見されたインド・ヒマラヤ山地

にちなみ、ヒンドゥー教の女神の名前から名付けられたとのことです。

そのうち日本に分布するアサギマダラは「parantica sita niphonica

(パランティカ・シータ・ニッポニカ)」とされています。

202097 高原温泉付近にて撮影

「旅をする蝶」アサギマダラは、日本列島で北上と南下を繰り返していて、その距離は

2000kmにも達します。

この個体にはついていませんでしたが、羽にマーキングをして放蝶するという方法で調査活動がおこなわれており、遠くは台湾までの移動記録があるそうです。

羽化後45ヶ月位が寿命とされていて、その与えられた時間の中で2000kmを移動し産卵するのです。

202097 高原温泉付近にて撮影

この1gに満たない身体でなぜ2000kmもの距離を移動できるのか?

鳥のように繁殖地という目的地を目指しての旅という訳でもなさそうですし、海を渡るというリスクを冒してまで移動するのはいったいなぜなんでしょうか?

今のところは謎のままです。

謎を秘めた蝶故に、愛好者を魅了し続けるのでしょう。

偶然出会えたこのアサギマダラが、冬が来る前に無事に南へ旅立てる事を祈るばかりです。

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2020年09月10日日本一早い紅葉のはじまり

大雪山国立公園 忠鉢伸一

こんにちは。大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

今年の北海道は雨も多くなく、暑い夏だったように感じます。

終わってしまえばあっという間の、長いようで短かった夏も過ぎてゆき、

日本一早いと言われている大雪山の紅葉が今年も始まろうとしています。

9月だというのに暑い日が続いている北海道です。

9/7に赤岳へ行ったところ、まだ緑が多いですが所々色づきが始まっています。

今年の紅葉はいったいどうなるのでしょうか。

2020年9/7撮影(赤岳)

紅葉が綺麗に色づく為には、気温、日照時間、適度な湿気の3つの条件があると言われています。

日中は天気が良く夜になると急激に寒くなるような気候で、乾燥して枯れてしまわないように適度な雨が降るのが理想的とされています。

毎年色づき具合も違うし、その日の天候によっても見え方は違います。

今年も最高な景色に出会えるのが楽しみです。

2019年9/18撮影(赤岳)

9月12日から9月22日まで、銀泉台へのマイカーでの立入りが制限されます。

アクティブレンジャーと大雪山国立公園パークボランティアは、シャトルバス運行期間にあわせて、携帯トイレブースを設置するとともに、利用者指導を行います。

山頂付近では風が強い恐れがあるので注意が必要です。麓は秋でも山頂は冬のような気温になる場合もあります。

防寒対策もしっかりとして、日本一早い紅葉を楽しんでください。

※マイカー規制についての詳細は上川町のホームページをご覧ください。

 →上川町HPへLINK

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2020年08月20日高層湿原のモウセンゴケ

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

高山植物は沢山ありますが、その中でも私の一番好きな植物

食虫植物モウセンゴケについて紹介したいと思います。

植物なのに生きている虫を捕まえて食べるという不思議な生態と、

ずば抜けて個性的なその姿に、モウセンゴケを見る度に心奪われてしまいます。

モウセンゴケ 学名 ドロセラ・ロツンディフォリア

【7月1日撮影 沼の平】

コケのように群生しますが、花も咲くので、実際にはコケの一種ではありません。

モウセンゴケの特徴は、第一に食虫植物であること、湿気があり、やせた酸性土壌を好む湿生植物であるということです。

食虫植物であるモウセンゴケは葉の上にとりもちのような粘液を出して虫を捕え、消化酵素を出して養分を吸収します。

大雪山では主に沼ノ平、沼ノ原、原始が原などで見られます。

【7月30日撮影 沼の原】

どうしてモウセンゴケは植物なのに虫を捕えるのでしょう?

それは植物に不可欠な栄養分が不足している場所にモウセンゴケがはえているために、虫を捕らえて栄養をおぎなう必要があるからです。

では虫を食べないと枯れるのかというと、しっかり光合成も行っているので枯れません。

植物の成長に必要な、リンや窒素が豊富な虫を食べて栄養をとっているのです。

ナガバモウセンゴケ 学名:ドロセラ・アングリカ

【7月30日撮影 沼の原】

ナガバノモウセンゴケは文字どおり葉の長いモウセンゴケで、日本では北海道と尾瀬に自生しています。日本では限られた地域だけにみられる非常に珍しいモウセンゴケです。

虫を捕らえると、長い葉が丸まって虫を逃さないように巻き付きます。

大雪山では沼の原で見られます。沼ノ原はモウセンゴケの生育地でもあるのですが、

ナガバモウセンゴケとの自然雑種の、サジバモウセンゴケという種類もあるようです。

【7月29日撮影 沼ノ原】

7月末に沼ノ原巡視に行ったときに、咲き始めのナガバモウセンゴケの花を見つけました。

つぼみも沢山ついていたので、今頃は沢山の花を咲かせているでしょうか。

見れば見るほど不思議な植物です。

あの粘液がキラキラと輝く姿をまた見たいと思いました。

【7月30日撮影 沼ノ原】

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2020年08月06日白雲避難小屋(建替中)

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

こんにちは!大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

大雪山を縦走する上でとても重要な拠点である白雲岳避難小屋ですが、今年の6月から建替工事が行われています。

今回は白雲岳避難小屋の歴史と現在の状況を紹介しようと思います。

白雲岳避難小屋は1954年(昭和29年)に建設されました。資材は現地で採取した石材を使って作った石室でした。その他の資材は旭岳温泉から人力で上げていたようです。

当時は旭岳ロープウェイも開通していなかったので、山麓から歩いて荷を上げたとするとかなりの労力だった事でしょう。

建設された後も、とても過酷な環境のため屋根が飛ばされたり、壁が崩れ落ちるなど、風雪の被害が多かったようです。

大雪山国立公園管理事務所に保管されていた古いスライドに、一枚だけ当時の記録が残っていたのでご覧ください。

【1969年9月23日白雲岳石室】

1976年(昭和51年)に新しく避難小屋が新設されました。

こちらも建設されてから40年以上が経過し、建物が傾くなど老朽化が進んだため、ついに建て替えられることになったのです。

【旧白雲岳避難小屋】

7月24日に建設中の白雲岳避難小屋の様子を調査に行った時の状況です。

建て替え工事中の為、工事資材や作業員の宿舎となるプレハブ小屋が設置されていて、

それらがテント場のほとんどを占領しています。

金土日祝日と休前日は利用できません。今年利用しようと思っていた方には不便をかけております。

新しい白雲岳避難小屋は、周辺の登山道の整備や維持管理の拠点としても活用していく予定です。

【白雲岳避難小屋基礎部分】

昼間の太陽の光に満ちた景色や植物も魅力的ですが、夕焼けや星空や、登った朝日に照らされる山々は宿泊しなければ見る事ができません。

完成した白雲避難小屋に泊まるのが今から楽しみです。

今年は白雲避難小屋管理人が情報を発信しているので、新しい情報はこちらで確認してください。在りし日の懐かしい白雲岳避難小屋の写真もあるようです。

<白雲岳避難小屋管理人のページへLINK>

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2020年07月28日層雲峡の核心部 Part1

大雪山国立公園 岩城大洋

 こんにちは、大雪山国立公園管理事務所の岩城です。

私には、忘れられない風景が層雲峡にあります。そこは、今では立ち入りが禁止されており、

見ることはできません。私の脳裏には今でも子どもの頃に見たそのダイナミックで壮大な情景が、

近くを通るとよみがえります。

 思い出の中の層雲峡の絶景について、今回は3部構成でお伝えします。

     層雲峡小函地域から銀河流星の滝方面

        旧国道沿いの小函地域

 

層雲峡と言えば、柱状節理が有名です。

節理とは、主に火山性の岩石に見られる現象で、岩石の露出部分に見られる規則性のある割れ目を言い、熱いマグマが冷却固結する過程で形成されます。

節理には主に柱状節理や板状節理、方状節理があり、岩石の種類も玄武岩や安山岩など様々です。

層雲峡地域においては、約3万年前の大雪山の噴火により堆積した熔結凝灰岩が石狩川の浸食により削られ長い歳月をかけ現在の姿となりました。

全国では兵庫県の玄武洞や福井県の東尋坊などが有名ですが、層雲峡の柱状節理は規模が違います。石狩川沿いに約25kmあまりにわたり峡谷が続いているスケールなのです。

その中でも、銀河流星の滝から小函、大函までの間は、層雲峡の核心部と呼ばれ、高さ200m前後の天城岩や天柱岩、岩の形が独特な羽衣岩、切り立った岩壁の神削壁などの絶景が点在しています。

 

 

 

この区間は多くの人がその美しさと迫力を見に来る特別な場所でした。

しかし、1985年には天城岩で小規模な崩落が発生。

その2年後の1987年(昭和62年)69日早朝、記憶に残っている方も多いと思いますが、天城岩が大規模な崩落を起こしました。

(この事故は「層雲峡小函天城岩崩落災害」と呼ばれています)

崩落した岩の総量はなんと11,000㎥に及び真横を流れている石狩川を完全に埋め尽くし、対岸の国道上にも岩盤は到達しました。この崩落により岩盤の直撃を受けた3名が亡くなり、6名が重軽傷を負いました。

 

赤枠は天城岩崩落部分(岩肌の色が赤錆びた部分が崩落箇所)

 

 

この崩落災害を受け、小函地域の景観は観光名所から、危険な箇所だと認識されるようになり、銀河トンネルが接続され、1995年(平成7年)には、小函地域は車両では行けない場所へとなりました。ただし、絶景は、しばらくの間、自転車・歩行者専用道路として解放されていましたが、1998年(平成10年)頃から神削壁で落石が頻発したため、その後は、一切の通行が禁止され現在に至っています。

今年に入り、新型コロナウィルスが全国的に猛威をふるい、層雲峡には観光客がいないという状態が続きました。旅館やホテルでは休業が相次いでいました。

そんな折りに、層雲峡再活性化の議論が始まり、層雲峡の歴史を見つめなおす機会がありました。そのような中、注目されたのが、現在では立入りが制限されている層雲峡景観の核心部「小函地域」だったのです。

 

       層雲峡温泉(後方は黒岳)

 

通行止めとなってから約20年余り。

思い出の中の情景がリアルな景色としてよみがえるお話は次回の日記でお伝えします。。

今回のAR日記はここまで。

また、次回をお楽しみに。。。

 

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