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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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利尻礼文サロベツ国立公園 稚内

268件の記事があります。

2011年12月22日モノクロの光景

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 今年の礼文は雪が多いです。
 昨年は年末まで積もっては解けてを繰り返し、新年を迎えるころにようやく根雪(春まで解けない雪)になりましたが、今年はすでに多いところで腰の高さほどの雪が積もっています。地元の方によると数十年前に比べれば雪の量は少なくなったとのことですが、それでも近年ではまれにみる雪の多さだということです。気温も全体的に低い日が続き、島は早くも真冬の様相です。
 礼文島の北限スコトン岬では冬になると強い北西の季節風が吹くことが多く、遮るもののない岬の先端では肌に突き刺さるような凍てつく寒さを体感できます。気温がマイナス10℃を下回ることはあまり多くない礼文島ですが、スコトン岬ではひとたび風が吹くと体感気温がかなり低くなることに加えて、空からの吹雪と地吹雪が合わさりしばしばホワイトアウト状態になります。一面白の世界に囲まれ、前後すらわからなくなることがあります。



左:スコトン岬へ続く歩道背後にうっすらと見えるのがトド島(12/16)
右:礼文島最北限の標識(12/16)

 礼文島屈指の景勝地、澄海岬は現在深い雪に覆われています。展望台へ続く歩道は所によって腰の高さまで積雪があり、展望台までたどり着くのは一苦労です。通常、このような雪道を歩く場合、スノーシュー(西洋かんじき)を使用するのですが、先日巡視を行ったときは降りたての雪で柔らかかったこともありスノーシューは使わず雪をかき分けながら20分ほどかけて展望台に登りました。そこで目にしたのは荒々しい海とあたり一面モノトーンの光景でまるで白黒映画の中に迷い込んだかのようでした。夏は色彩あふれる風光明媚な澄海岬ですが、冬、雪化粧をした山肌の白色とグレーがかった海面の黒色が織りなす光景は夏とは一味違った魅力にあふれています。



左列:モノクロカラーの現在の澄海岬(12/16)
右列:色彩あふれる春・夏の澄海岬(上:7/21 下:4/25)

 以前の記事で礼文島の高山植物の発達には冬の強い風と雪の独特の関係があることを取り上げましたが、それは言い換えれば、夏の色彩豊かなお花畑はモノクロの冬によってはぐくまれているということではないでしょうか。夏と冬で好対照をなすこの二つの色彩は礼文島固有の景観を形作ることに一役買っているように私は思うのです。



礼文島南部の奇岩地蔵岩もモノクロカラーに溶け込んでいます(12/16)

【参考記事】
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2011/01/680.html
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2011/02/694.html

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2011年10月13日ケアシノスリ

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山本 貴之

カラスに追われるケアシノスリ



今月3日、カラスに襲われ路上にうずくまっていたケアシノスリを保護しました。
保護したときは近づいてもほとんど動かず、顔をこちらに向けるぐらいしかできないほどで、もうダメかもしれないな、と思うような状態でした。
保護後は島の博物館学芸員の方に預け、様子を見てもらうことにしました。






数日、経過報告をしていただいていたのですが、自分で餌を食べるほど回復したため、7日に放鳥しました。
高台の樹林帯で放してみたのですが、なかなか飛び立たずに歩きまわるだけでした。
ふたたび捕まえて(簡単に捕まえられてしまったあたりが、非常に心配な点ですが…)、今度は見通しの良い木の枝に乗せて様子を見ましたが、一向に飛び立つ気配がありません。10分ほど見守っていましたが、やはり枝に留まったまま動きません。
4日間保護していたことで羽ばたく筋力が衰えてしまったのか、完全に回復していないのかはわかりませんが、ここから先は自然の成り行きにまかせる事にしました。
そして翌日、近くで飛んでいるのが確認されたようなので、まずは一安心です。



9月末から10月初めにかけての寒波のためか、環境省レッドデータブックで絶滅危惧IB類(近い将来における絶滅の危険性が高い種)に分類されているサンカノゴイなどの野鳥が、利尻島で立て続けに保護されました。

自然の営みに人がどこまで手を出していいものなのか…。
考えても答えは出ないままですが、弱っている生き物を助けたいと思う心は大事にしていきたいなと思うのです。

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2011年08月18日礼文岳登山道

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 礼文島の地形は周氷河地形というなだらかな丘陵地帯が続くことが特徴としてあげられます。そのため、島の最高峰も礼文岳の490mとあまり高くなく、お隣にそびえる利尻山(標高1721m)とは対照的です。この礼文島最高峰礼文岳へは登山道が整備されており、桃岩歩道や礼文林道と比べると花の数は少ないものの、海抜0mの海岸から山頂まで高度によって様々な変化が楽しめるコースとなっています。今回は礼文島の中でも他のコースとは一味違った魅力のある礼文岳登山道をご紹介します。
 礼文岳の登山口はフェリーターミナルのある香深から北に向かって海岸線を15kmほど行った内路(ないろ)地区にあります。登山口の目の前は海岸なので、ほぼ海抜0m地点から登ることになります。登り始めはつづら折れの道が続き、ここでは礼文島の他の地域でも見ることができるヨツバヒヨドリ(キク科)、カンチコウゾリナ(キク科)、キンミズヒキ(バラ科)、ハナイカリ(リンドウ科)、ネジバナ(ラン科)などの花が見ごろを迎えています。



上段左:ヨツバヒヨドリ 右:キンミズヒキ
下段左:ハナイカリ 右:ネジバナ(8/11)

 つづら折れの坂道を抜けるとトドマツ(マツ科)やダケカンバ(カバノキ科)などの樹林帯に入ります。礼文では珍しい森の中の道は傾斜が比較的緩やかなことに加えて夏でも涼しくとても快適なのですが、虻(あぶ)などの虫が大挙して襲ってくるので、ちょっとでも立ち止ると一瞬のうちに虫に囲まれてしまい、ゆっくり写真を撮るのも一苦労です。しかし、森の中では小さな小さな野生のランであるアリドオシラン(ラン科)、アリドオシランと同じく小さな白い花のウメガサソウ(イチヤクソウ科)、黄色い花がつり下がっているようなキツリフネ(ツリフネソウ科)、細長い柄の先に散形に白い花をつけるイケマ(ガガイモ科)など桃岩周辺の風衝草原とは異なる植生がみられます。森の中では上に挙げた花のほかにも小さな花、目立たない花が多く咲いていますので、じっくり観察しながら歩いていると思わぬ発見があるかもしれません。



左:涼しい森の中の道
右上段:アリドオシラン 下段:イケマ(8/11)

 森の中の道を1時間半ほど登っていくと突然森が途切れ視界が開けます。このあたりが森林限界でここから先はハイマツ(マツ科)などが生い茂る高山帯になります。そして森林限界から少し登ると第一のピーク(通称偽ピーク)に到達し、ここではじめて礼文岳山頂の全容を一望することができます。ここから少し下って山頂を目指すのですが、この辺りの道はレキ質で浮石が多くなっているので、特に下るときは浮石に乗って転倒しないよう注意が必要です。そして第一のピークから山頂まで15分ほどやや急な上り坂を登るといよいよ礼文岳山頂です。360度遮るもののない山頂からは礼文島全域だけでなく、海の向こうにそびえる利尻山や空気が澄んでいるときはサハリンまで見渡すことができます。この日はサハリンこそ見えなかったものの、利尻山の美しい姿を望むことができました。山頂付近では数が少なくあまり目立たないものの、エゾムカシヨモギ(キク科)、ヤマハハコ(キク科)、チシマワレモコウ(バラ科)などの花が一番美しい時期を迎えていました。



上段左:礼文岳山頂の看板 右:山頂から望む利尻山
下段左:エゾムカシヨモギ 右:ヤマハハコ(8/11)

※登山の際の注意事項
 
 礼文岳の標高490mはお隣の利尻山と比較すると相当低いように感じますが、山頂付近で森林限界が見られるように高山帯の気象条件は厳しいです。また、山頂付近では360度遮るものがないため、非常に風が強く、時には吹き飛ばされそうなほどの強風が吹くこともあります。ふもとは無風で暑くても、山頂に近付くにつれて風が強くなり、気温も下がるということが多いので、登山の際はレインウエアに加えて長袖のシャツを持参するようにしてください。長袖を着ていると森の中で虫の襲来にあった時にも役立ちます。(さらに虫よけグッズがあると便利です!)また、標高490mとはいえ、山頂への道は登山道であり、登りはおよそ2時間、下りはおよそ1時間半の行程になりますので、決して楽なコースではありません。加えてところどころ滑りやすい場所やぬかるんで歩きにくい場所も見受けられます。とはいえ、準備さえしっかりしていれば、半日で往復できる行程ですので、ぜひ皆さんにもトライしていただきたいと思います。しっかりとした装備で天候を見極めながら、ご自分や同行者の体力にあった登山を心掛け、山頂からの絶景を楽しみましょう。

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2011年08月09日「利尻山登山情報」

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山本 貴之

8月に入り、時折、秋の空になってきたなぁと思うこの頃です。
花の季節も終盤に差し掛かってきています。

夏休みということもあってか、お子さん連れの登山者も多く見られます。
大人でももちろんそうなのですが、お子さんに無理をさせず、熱中症にも十分に気をつけてください。
汗をかいて体から失われるのは水分だけではありません。スポーツドリンクなどを用意して、塩分や糖分をうまく補給しましょう。
また、夏場の利尻登山では水を最低2リットルは持つように勧めていますが、晴天続きだった7月中旬以降、それでも水が足りず「水を分けてほしい」とおっしゃる方も少なくありません。
ちなみに私は、水2リットル+スポーツドリンク2リットルの、計4リットルの水分を持って登っています。
利尻山は標高差1500m(富士山5合目-山頂間と同じ)を往復する、厳しい山であることをお忘れなく。

9割以上の登山者が利用する「鴛泊コース」の他に、利尻山にはもうひとつ「沓形コース」がありますが、こちらは上級者向けと考えて下さい。特に一番の難所である、急斜面のガレ場をトラバースする「親不知子不知」は以前よりは浮石が落ち着いてきましたが、急斜面で足場が悪いのは変わりありません。踏み込むごとに砂や石がずり落ちていきます。



親不知子不知(おやしらずこしらず)

また、親不知子不知前後の登山道は藪に覆われていて足元が非常に分かりづらい上、道も細いので足を踏み外したり、転倒の危険があります。



親不知子不知に向かう、急斜面の道。

先週には沓形コースで捻挫し、自力下山できずにヘリで搬送された方がいましたが、「思ったより険しい山で、疲れていた」と言っていました。
登山の前には正確な情報を得て、ご自分や同行者の体力・装備に合わせた計画を立てるようにしてください。

花は、山頂付近でエゾイブキトラノオが見頃を迎えています。
登山道からは他に、(写真左上から時計回りに)ミソガワソウ、リシリブシ、エゾイブキトラノオ、リシリリンドウなどが見られます。




なお、利尻山登山にあたっては「※利尻ルール(・携帯トイレを使う・ストックにキャップを付ける・植物の上に座らない、踏み込まない)」を守っていただきますよう、お願いします。

※詳しくは利尻礼文サロベツ国立公園HP(http://www.env.go.jp/park/rishiri/guide/view_3_3/index.html)をご覧ください。

●そのほか、登山情報お問い合わせ先●
利尻町役場商工観光係  0163-84-2345
利尻富士町役場商工観光係  0163-82-1114

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2011年07月26日浜辺の植物たち

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 皆さんの中には「礼文島=高山植物の楽園」というイメージをお持ちの方も多いと思います。もちろん礼文島は海抜0mから高山植物が咲くというまれにみる特殊性を有しているのですが、実は浜辺を主な生息地とする海岸性の植物もたくさんあります。今回は一見見落としてしまいがちな海岸性の植物を取り上げてみました。
 礼文島の西海岸は海蝕崖と呼ばれる海面からそそり立つような断崖絶壁が続いており、海岸線の多くの場所は人が立ち入ることのできない文字通りの秘境なのですが、北部の鉄府(てっぷ)海岸や8時間コース終盤のアナマ、南部の礼文滝など一部通行可能な場所もあり、そこでは砂地や岩場に生息する海岸性の植物を見ることができます。現在、それらの場所では海岸性の植物が見ごろを迎えています。中でも西海岸を歩いていて最も目を引くのが、赤色の大きな花をつけるバラ科の低木ハマナスです。実はこのハマナス、花は美しいのですが、枝には無数の鋭いとげを隠し持っており、触るとものの見事に返り討ちにあいます。やはり美しいものにはとげがあるということでしょうか?



鋭いとげを隠し持つハマナス(7/21 ゴロタ岬付近)

 アナマ周辺、礼文滝、元地付近では青紫色の花と緑白色の葉が美しいハマベンケイソウ(ムラサキ科)、黄緑色でつやのある葉が特徴的なハマハコベ(ナデシコ科)、全体を白い毛でおおわれたシロヨモギ(キク科)、ピンク色で5角形の花を咲かせるハマヒルガオ(ヒルガオ科)などが見られます。また、海岸付近にはヨツバシオガマ(ゴマノハグサ科 礼文のものはサイズが大きく、レブンシオガマとも呼ばれます)やカラフトゲンゲ(マメ科)、チシマキンレイカ(オミナエシ科)など高山性の植物も生息しており、海岸性の植物と高山性の植物が並んで咲く不思議な光景を見ることができます。これらの花はどれも砂地や海岸沿いの岩場など条件が厳しい場所に生息し、山に咲く花とは一味違った力強さを感じさせてくれます。



上段左:ハマベンケイソウ(7/21 アナマ付近) 右:ハマハコベ(7/20 礼文滝)
下段左:シロヨモギ(7/20 礼文滝) 右:ハマヒルガオ(2010/7/8 鉄府)
 
 礼文に咲く花のうち、高山植物は冬の寒さに耐える力強さを持つ一方で夏に花を咲かせる姿は可憐で繊細さを感じますが、浜辺の植物は砂地や岩場で潮風に耐えながら生きている姿そのままのたくましさと力強さがみなぎっているように感じます。そしてその両者が同じ場所に咲くという不思議。これぞ、礼文島の奥深い魅力だと私は思うのです。



左:カラフトゲンゲ(7/13) 右:チシマキンレイカ(7/13)

 皆さんも礼文島の西海岸を散策するときは高山植物とともに、浜辺の植物にも注目してみてはいかがでしょうか?

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2011年07月25日ウミネコ

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山本 貴之

世界有数のウミネコ営巣地がある利尻島。
毎年、研究者や地元の人達が協働してウミネコの個体数調査を行っています。
近年その数は減少傾向にあるものの、今年の調査では去年より1万羽ほど多い約4万羽のウミネコが利尻島に繁殖にやってきていると推定されます。

そして今は子育て真っ盛り。先月11日に調査を行なった時はまだ卵だったヒナたちが、親鳥に餌をねだる姿が見られます。8月の巣立ちの時まで、ヒナたちはずっと巣の近くで過ごすことになります。営巣地は鴛泊―沓形間の道路沿いに集中しているので、利尻島にお越しの際はちょっと立ち止まって、ウミネコの子育てを観察してみてはいかがでしょうか。

ここで注意してほしいことがあります。
営巣地付近ではよく道路上をウミネコが歩いています。その上、他の鳥より逃げるのが下手なように感じます。実際はねられて死ぬ個体も少なくありません。自動車やバイクはゆっくり運転でお願いします。
観察したり撮影する時は、あまり近づいてウミネコを驚かさないようにしてくださいね。双眼鏡や望遠のレンズがあると便利ですよ。
あとは、「糞爆弾」にも気をつけましょう!



ウミネコの卵(6月)。カラスなどに食べられてしまうことも多い。



数あるコロニーのひとつ。鴛泊―沓形間



餌をねだる雛鳥。


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2011年07月14日曇天のサロベツ湿原センターを歩いてきました。

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山上佳祐

 夏が訪れてから早半月近く経ちました。内地では30度を超える猛暑日が続いているそうですが、サロベツではこの頃雨天が続いており気温も20度をようやく超えたくらいです。先日私がサロベツ湿原センター前のペンキ塗りの補助に訪れた時も、どんよりとした曇り模様で作業は中止になりました。

雨天にもかかわらず原生花園を利用するお客様は多く見受けられたものの、それでも晴天の時と比べると数は控えめでした。

湿原センターで最近咲き始めた花々も、どこかおとなしめな気がしました。しかし見方を変えると、晴天の時にはないしおらしさに、どこか愛おしさを感じさせてくれます。
(上記で取り上げた花々はほんの一部です。まだまだ沢山の種類の花が咲いております。)


最後に、エゾカンゾウの黄色い地平線の写真を締めとしたいと思います。春先に寒かった影響かエゾカンゾウの開花も遅れており、7月中旬頃までならサロベツのエゾカンゾウを楽しむことができます。晴天でも曇天でもその表情の違いを楽しめるサロベツ湿原に是非お越し下さい。7月はサロベツでもっとも見所が多い月ですので、道北への旅行等を計画している方がおりましたらお早めに訪れることをお勧め致します。

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2011年07月01日地元の自然を学び、味わおう ~サロベツの場合~

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山上佳祐

 日本最北端の国立公園である利尻礼文サロベツ国立公園。春の開館当初は寂しげだったサロベツ湿原センター周辺の大地も、すっかり緑色に染まりました。

天気も良く、思わず引き込まれそうになる風景と一緒に写っているのは、地元の豊富小学校の小学生たちです。本日、遠足でサロベツ湿原センターを訪れており、新しくなった湿原センター内の施設見学や質問コーナーなどの後、木道散策や植物観察へと臨みました。

上の写真は、私が湿原の土壌(というと語弊があるのですが・・・)である泥炭を手に持って、公園を利用する際のルールを説明しているところです。踏みつけられて1㎝縮められた泥炭が、元の厚みに戻るのには10年程度かかってしまうことなどを説明しました。小学生の関心も高く、きちんとルールを守って湿原に咲き誇る花々や野鳥を楽しんでいました。

最後に、現在サロベツに咲いている花々についての写真です。鮮やかなカキツバタやエゾカンゾウ、白く可憐なイソツツジやホロムイイチゴなどが、サロベツの大地一面に拡がる緑のキャンバスを彩っていました。

ホロムイイチゴなど、目を凝らしてはじめてわかる花々の美しさ。
エゾカンゾウのような、サロベツ原野に壮麗に刻み込まれた花々の彩り。
2つの美しさが整然と両立している点も、サロベツ原野の良さの1つなのではないかな、と思いました。

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2011年06月24日フラワーロード

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 礼文島南部の景勝地桃岩展望台から最南端の知床(しれとこ)まで続く桃岩歩道は別名「フラワーロード」と呼ばれその名の通り季節ごとに色とりどりの花々を楽しめるほか、東側は利尻山、西側は急峻な断崖と青く澄んだ海が望める礼文島屈指の絶景コースです。フラワーロードでは現在初夏の花々が見ごろを迎えています。まず、桃岩展望台近くでは小さな花が集まって咲くレブンコザクラ(サクラソウ科)の群落が見られます。。花期は終わりを迎えつつありますが、同じサクラソウ科のサクラソウモドキとともに歩道にピンクの彩りを添えています。



左:レブンコザクラ(6/12)
右:サクラソウモドキ(6/22)

コース中盤、通称キンバイの谷と呼ばれるエリアでは名前の由来になっているレブンキンバイソウ(キンポウゲ科)や同じキンポウゲ科のミヤマキンポウゲ(キンポウゲ科)の黄色が鮮やかです。さらに、チシマフウロ(フウロソウ科)、カラフトハナシノブ(ハナシノブ科)ミヤマオダマキ(キンポウゲ科)、ハクサンチドリ(ラン科)の紫や赤、ネムロシオガマ(ゴマノハグサ科)やエゾノハクサンイチゲ(キンポウゲ科)の白などそれぞれの色が競い合って咲いています。また、明るい色の花が多い中で渋い色が際立つクロユリ(ユリ科)もいいアクセントになっています。



上段左からレブンキンバイソウ(6/22)、ミヤマキンポウゲ(6/21)、チシマフウロ(6/19)
下段左からカラフトハナシノブ(6/12)、エゾノハクサンイチゲ(6/12)、クロユリ(6/19)

さらにここ数日の間にオレンジ色が鮮やかなエゾカンゾウ(ユリ科、エゾゼンテイカ、ニッコウキスゲとも呼ばれます)、蝶形の花をつけるセンダイハギ(マメ科)が開花し始めました。7月の上旬、エゾカンゾウが満開になるころフラワーロードを歩くと色彩あふれる最高に美しい光景に出会えます。多くの方に訪れていただきたい私のイチ押しです。



キンバイの谷より利尻山を望む

今年の6月、礼文島は強い風が吹き、霧がかかる日が多くなっています。気温もあまりあがらず寒い日が続いています。また、日照時間が短いことで、歩道が乾きづらく、ぬかるんで滑りやすくなっているところもあります。花の散策を楽しむ際は寒さを防げる上着と足元のしっかりした汚れてもよい靴を用意し、万全の装備で花々に会いに行きましょう。

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2011年06月23日笠雲

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山本 貴之

先週末に、南西よりの暖かい風が吹きました。
かなりの強風だったのですが、空はすっきりとした青空。
ふと利尻山を見上げると、不思議な形をした笠雲がかかっていました。


僕には烏賊のようにも、龍のようにも見えるのですがどうでしょう?

笠雲といえば富士山が有名で、主に悪天候の予兆として観天望気の指標とされてきました。ここ利尻でも、笠雲がかかると天気が悪くなると言われているようです。
この日は北東の上空(写真の左側)に、さらに雨の確率が高くなると言われている「吊るし雲」も出ていました。

そして案の定、土日はすっきりとしないぐずついた天気となりました。
とはいえ、利尻島では山を挟んで「こちらは晴れ、あちらは雨」ということも珍しくないので、僕の住んでいる場所の反対側は意外と晴れていたかもしれないのですが・・・。

今後、利尻山の笠雲と天気の関係を観察していこうと思います。



さて、その南西の風で急に気温が上がったせいか、姫沼では一斉にエゾハルゼミが鳴き始めました。
セミの声を聞きながら姫沼を散策すると、一足早く、ちょっとだけ夏気分になったのでした♪


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