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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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利尻礼文サロベツ国立公園 稚内

268件の記事があります。

2011年06月13日レブンアツモリソウ満開です!

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

現在、礼文島では島を代表する花、レブンアツモリソウ(ラン科)がようやく見ごろを迎えています。

6/8 アツモリソウ群生地

鉄府(てっぷ)地区のレブンアツモリソウ群生地では例年5月の下旬頃に開花し、6月中旬頃には咲き終わるのですが、今年は5月から6月にかけて気温の低い日が多かったため、成長が悪く、遅い開花となった昨年よりもさらに大幅に遅れて6月の開花となりました。6月に開花するというのは長年レブンアツモリソウを見守ってきた地元の方々でも記憶にないとのことです。


6/8 アツモリソウ群生地

ただ、開花が遅れたことに加え、寒さの影響からか全体的にやや小ぶりではあるものの、花の数は昨年と同じぐらいということでひとまず安心しました。
 例年ですともうすぐ花期が終わってしまうところですが、今年は6月の下旬ぐらいまでは咲いている姿を見られそうです。その頃に島を訪れた方はレブンアツモリソウとの思いがけない出会いが待っているかもしれません。


6/8 アツモリソウ群生地

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2011年05月26日一斉外来種駆除に参加しました!

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山上佳祐

毎年5月22日は、『国際生物多様性の日』となっております。この日は国連によって、生物多様性の重要さと、それに関わる諸問題に対する認識を広めるために記念日として設定されています。ここ道北では、『国際生物多様性の日』に合わせて、外来生物の除去作業が5カ所で一斉に行われました。利尻礼文サロベツ国立公園のパークボランティアは5つのグループに分かれております。そのためこの行事は、外来種を取り除き、在来種中心の植生に戻すという意味合いだけでなく、5つのパークボランティアのグループが足並みを揃えて活動するという点でも大きな意義のある行事となっております。
今回私は稚内(浜勇知のコウホネ沼)・豊富(稚咲内の開運橋付近)の活動に参加しました。
今年は一般参加も含め、18名の方が参加してくれました。



駆除する前に、パークボランティアの方が外来種の特徴等を説明しています。
最初はオオアワダチソウ・メマツヨイグサ・アメリカオニアザミを除去しようとしましたが、総出で探しても殆ど見つからず、ヘラオオバコ・セイヨウタンポポを中心に駆除することになりました。
黙々と除去作業中・・・・・・
最後に集合写真を撮りました。今回の成果である外来種の入った袋を纏めたところ、40Lの袋9個分 (重さは約90キロ!!) になりました。




午後からは場所を移し、豊富(開運橋)で活動を行いました。除去したのはオオハンゴンソウという特定外来生物に指定されている植物です。
この場所では一昨年から除去作業を行ってきたそうですが、今年はとても数が少ないとのこと。(10Lの袋1つで済みました)
NPOの方によると、従来まで繁茂していた外来植物が目に見えて少なく、着実に成果は出ているようです。私は今年度の状況しか知りませんが、地域の人々の参加により、このような状態を維持できるよう、少しでも貢献していきたいと思います。

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2011年05月25日春到来

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山本 貴之

ようやく利尻島でも桜が咲き始め、春がやってきました。
麓ではあちこちで花が見られるようになってきました。

下の写真は右上から時計回りにエゾキケマン、オオバナノエンレイソウ、クロユリ、エゾエンゴサクです。

沓形岬周辺にて(2011.5.22)

沓形岬のクロユリは22日時点ではまだ開花を確認できませんでしたが、もうそろそろでしょう。

そして利尻山はといえば、5月に入ってからの降雪もあり、まだまだ雪に覆われています。
この日(5月22日)は沓形コースを見てきましたが、登山口から積雪があり、夏道もほとんど出ていない状態です。登山にはアイゼン、ピッケルを忘れずに。道迷いにもご注意を!


沓形コース登山口付近(2011.5.22)


鴛泊港沖から見た利尻山。右手前の小ピークが長官山(2011.5.23)

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2011年05月13日着任のご挨拶

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山本 貴之

はじめまして。5月より利尻地区担当のアクティブ・レンジャーに着任しました、山本貴之です。
これから、この日記を通してアクティブ・レンジャーの仕事や、利尻の魅力を紹介していきたいと思っています。
よろしくお願いします。

さて着任後早々、利尻島をぐるっと一周してきました。
「利尻礼文サロベツ国立公園」のシンボル的存在である利尻山は島のどこからでも望むことができ、その雄大さに息をのむばかりでした。
これから季節ごとに、利尻山のいろんな表情を見れると思うと楽しみですね。


仙法志崎から望む利尻山(2011.5.11撮影)

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2011年05月12日利用者カウンターを設置しました!

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山上佳祐

 ゴールデンウィークが過ぎましたが、皆さんどのようにしてお過ごししたでしょうか。サロベツ原野の周辺施設もGWを皮切りに、サロベツ湿原センター新オープン、幌延ビジターセンターオープンと、始動を始めました!

 今月末ごろからの本格的なシーズンに向け、サロベツを訪れる人達の人数を把握するため、11日に木道の脇に利用者カウンターの設置を行いました。

 カウンター設置後の木道の様子。

 地盤が泥炭(腐敗していない植物遺体の固まり)なので、あっさりズボッと入りました。初めてのことばかりで手間取ったものの礼文島担当の中野AR(写真右の青い人です)、地元NPOの方にも協力して頂き、無事設置できました。天気はとても良く、久々の小春日和でした。

 カウンター設置後に自然観察も行いました。上の写真は左側がエゾノリュウキンカ、右側がミズバショウです。特にミズバショウは今がピークのようで、写真をとった場所でも一面咲き誇り、伝えきれない程の緑と白のコンストラストで満たされていました。
 サロベツ湿原センタースタッフによれば、夏になるにつれ更に色鮮やかになっていくとのことなので、夏休みには是非サロベツへどうぞ!!

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2011年04月28日春到来!!礼文島 歩道編

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 春の訪れとともに花々が咲き始めた礼文島。そんな花々にはどうすれば会えるのか、今回は春の花たちに会いに行くための歩道の状況をお伝えします。
 
桃岩歩道
 巡視を行った4/25現在、道道元地~香深線から桃岩展望台まで登る歩道はまだかなり雪が残っていました。桃岩展望台から知床まで続く桃岩歩道は雪はほとんどなくなりましたが、いくつか雪の上を歩かなければならない箇所が残っていました。そのため、長靴や防水性のトレッキングシューズをはきレインウエアを携行することをお勧めします。また、積雪箇所を避けて植生に踏み込むとこれから芽を出そうとしている植物を傷めてしまいますので、決して歩道外に出ることのないようお願いいたします。歩道全体としては雪が残っている場所以外はぬかるみも少なく、比較的歩きやすい状況です。



右:まだ雪が残る桃岩展望台周辺 左:雪がほとんど解けた通称キンバイの谷(4/25撮影)

スコトン岬~鉄府(てっぷ)
 礼文島の北限スコトン岬からゴロタ岬を経由して鉄府に至るコースは南部に比べて開花が早く、しかも多くの種を見ることができます。スコトン岬から江戸屋山道を経て、ゴロタ山登山口までの区間は雪が解け車両の通行が可能になりました。ゴロタ山登山口から鉄府までの歩道は雪はほとんどなくなっていますが、ゴロタ浜の海岸沿いでは雪解けの水で大きな水たまりができているため、トレッキングシューズよりも長靴の方が便利です。現在のところ歩道全体としては歩きやすいですが、ゴロタ岬から海岸へ降りるルート上は非常に風が強いので、通行の際は風にあおられることがないよう注意して下さい。



ゴロタ岬から鉄府へ下る階段:ものすごい強風が吹いていました(4/25)

久種湖周遊歩道
 ミズバショウ群生地から久種湖畔キャンプ場まで湖を半周する久種湖周遊歩道はミズバショウをはじめとする花々を観賞できるおススメのコースですが、まだ、雪が残っていて歩きにくくなっているところがありました。しかし、群生地駐車場から木道を歩いて5分ほどのところにミズバショウの大きな群落がありますので防寒対策をしっかりしていれば気軽に散策を楽しむことができます。



久種湖周遊歩道(4/21)

 以上、比較的歩きやすく現時点で開花を確認できた3つのコースを紹介させていただきました。ただ、雪が少なくなり、花々が咲き始めたとはいえ、この時期の礼文は非常に風が強く、気温よりも体感ははるかに寒く感じます。万全の防寒対策の上で歩道を散策し、礼文の春を楽しみましょう。

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2011年04月28日春到来!!礼文島 花情報編

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 礼文島に待ちに待った花の季節が到来しました!
 礼文島北部久種湖(くしゅこ)周辺では現在ミズバショウ(サトイモ科)が見頃を迎え、礼文島に春の訪れを告げています。また久種湖周辺では同じサトイモ科のザゼンソウも開花しており、ミズバショウと並んで咲く姿を見ることができます。さらに、黄色い花を咲かせるエゾノリュウキンカ(キンポウゲ科)がつぼみになっており、開花を待っていました。



左:ミズバショウ 右:ザゼンソウ(4/21 久種湖にて撮影)

さらに北部、鉄府(てっぷ)の海岸線や江戸屋周辺ではエゾエンゴサク(ケシ科)やキバナノアマナ(ユリ科)が開花しています。ゴロタ岬~鉄府間の歩道では少ないながらヒメイチゲ(キンポウゲ科)の開花も確認できました。


左:紫 右:白 下:空色 エゾエンゴサクはカラーバリエーションが豊富です(紫:4/25 桃岩歩道 白:4/25 鉄府 空色:4/22 江戸屋)



キバナノアマナ(4/25 ゴロタ岬)

南部桃岩周辺ではエゾエンゴサク、キバナノアマナ、ザゼンソウなどが開花していますが、まだ数は少なく満開になるのはもう少し先のようです。ただ、5月ごろに開花するキジムシロ(バラ科)のつぼみを見つけることができたので、季節は着実に夏に向かっているのだと実感することができました。
 今はまだ花の数も種類もあまり多くありませんが、これから夏に向けて色とりどりの花が次々に開花していきます。そんな花々の情報を今年もどんどん発信していきますので、次回以降をぜひお楽しみに!!

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2011年04月22日今年から新しく着任しました。

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 山上佳祐

今年から稚内事務所のサロベツ地区を担当します山上 佳祐と申します。

室蘭生まれで札幌、釧路と道内を転々としており
道北地方も、アクティブレンジャーの仕事も初めてですが、
稚内名物の強風にも、前任ARである賀勢さんのサロベツへの想いにも負けないよう全力で頑張っていきたいと思います。これから、どうぞよろしくお願いします。


初巡視の際に撮った、長沼周辺の木道の様子です。
こちらでも雪はもう見あたらず、春が訪れたことがわかりますね。





と思いきやまだ雪も降るのですね。まだまだ寒い日が続きます。
(上の写真は4月16日に行われたパークボランティア総会会場の翌朝の様子です。)

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2011年03月30日利尻山の登山道補修 その6(最終回)

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 岡田 伸也

山には、その土地ごとの色々な環境があるので、まずはその土地の特徴をよく観察する必要があります。前回は、利尻山山頂部の登山道荒廃の特徴について、詳しく書きましたね。今日は、その続きで、利尻山の山頂部で実際に行われた登山道補修の事例について紹介することで、このシリーズの最終回としたいと思います。

さて、山にいろいろな環境があるのなら、登山道づくりもそれに合わせて様々な手法を考えなくてはなりません。しかし案ずる事なかれ、登山道づくりの基本はどこでも一緒です!木柵階段にしても、石組工にしても、ポイントはこれまで書いてきたとおり、「水」と「人」という登山道にとっての2大インパクトをいかに処するかにあります。
ただし、山ごとの固有の条件のうち、弱点がある場合は、そこをカバーした上での、人と水のインパクト削減対策を取らなければなりません。その検討過程が加わることが、いわゆる普通の工事とは異なるのです。

利尻山にとっての弱点は、前回書いたとおり火山性の脆い地質にありますから、何とかして脆い土壌を安定させる必要がありましたが、スコリア土壌における登山道補修は、これまでほとんど事例がなく、有効な工法を見つけるには、慎重な現地観察と現場での試行錯誤が必要でした。利尻山の山頂部では、2005年度から様々な工法による試験的な施工を行っています。
今日紹介する「ジオセル工」も試験施工のひとつです。


写真:ジオセル多段積み工(施行前→施工中→施工後)


ジオセル工は、蜂の巣状に見えるポリエチレン製の「ジオセル」と呼ばれるものに、現地の土砂を充填し、セル内の土砂を拘束する(動きを止める)工法で、特に軟弱地盤の安定化に効果を発揮します。


写真:ジオセル多段積み工の効果(流水と踏圧への耐性の向上)


まず水が流れている写真を見てください。
階段状にジオセルを積み重ねることで、小滝が一段一段に生まれ、流水の勢いを削いでいるのがわかるかと思います。
前回、スコリアが降り積もった土壌はルーズで締まりが悪いと、その負の側面を書きましたが、逆に空隙が多いので透水性が良く、よほど強い雨が降らない限り表面流が流れないという良い特徴も持っています。ジオセル工によって生まれた平坦面は、帯水時間を長くすることで、さらにスコリア土壌の透水性の良さを生かすことに成功したのです。

次に、人が歩いている写真を見てください。
施行前には斜面に転がるスコリアに足を取られていたのに、蜂の巣状のセルに充填された土壌は、人が蹴り込んでもビクともしないので、登山者は直立して普通に歩くようになりました。浮石になったスコリアはスリップの元ですが、平坦面に安定させれば逆に水はけが良くグリップ力の高い良質な路盤になるのです。

“見方を変えれば味方に変わる”とは、まさにこのことですね!
(↑北海道の人にしか分からない??)
ジオセル工自体は、利尻の地質条件に合わせた特殊工法と言えますが、こういう発想は、どの山でも通じることでしょう。どんな条件においても、「人」と「水」の両方に配慮した登山道づくりが必要だということも、なんとなくお分かりいただけたかと思います。


また、空隙の多いスコリア層は、意外なほどに早い植生回復も見せてくれています。
施工3年目時点での回復種は、ジンヨウスイバ(マルバギシギシ)やスゲの類など限られているので、「効果アリ」と判定するには、まだモニタリング不足ですが、空隙の多いスコリア層における種子の定着しやすさや、風や低温からの保護といった効果があるのかと推測しています。

利尻山における登山道補修の目的は、「歩きやすさの向上」でも「水が流れても大丈夫な道にすること」でもありません。それらはむしろ、植生の回復という最終目標を達成するための手段に過ぎないのです。
この目標の達成には長い年月がかかることでしょう。ひとりの人間の人生では、時間が足りないかもしれませんが、目的と手段を取り違えること無く、一歩一歩、作業とモニタリングを継続していかなければならないでしょう。

今後の見通しは必ずしも明るいものばかりではありませんが、予算の不足、担い手不足、技術不足と様々な問題を、広い視点から解決していかなければなりません。
特に今一番、登山道の補修に欠けているのは、作ったものの適切な維持管理です。
“登山道らしい登山道”を維持していくためには技術が必要ですが、現状では、技術不足な上に、安定的な担い手を確保することは非常に難しいと言わざるを得ません。

山を治すためには、とにかく、山をよく見ることです。
それが、この5年間、アクティブレンジャーとして利尻山と関わってきて学んだ一番大きなことですが、どこまで見続けることが出来るか・・。
私は、3月いっぱいでアクティブレンジャーを退職しますが、今後も引き続き利尻山の維持管理に携わる仕事につきます。今後も目一杯、山の具体的な保全策をPRしていきますので、どうか皆さまにも山に注目を持ち続けていただきたいと思います。

大きな地震があり、今は目の前のことだけに精一杯の方も大勢いると思います。私は、山なんかに携わっているだけでよいのか、と思うこともありますが、やがて落ち着きを取り戻し、私たちを包む自然に目が向けられるようになったときのことを思い、一歩一歩、作業を続けていきたいと思います。

今後も、利尻山でこのような人を見かけたら、是非声をかけてください!!!

写真:山頂部の植生回復と、登山道補修の作業風景

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2011年03月29日私は渡り鳥

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

 北海道にやって来たのは6年前のことです。私は京都での生活を終えたばかりの23歳、伊丹空港から新千歳空港へ向かう飛行機に乗り込んでいました。
滑走路を走る機体が徐々に加速し、飛行機がフワッと離陸した瞬間に、まだ何が待っているのか分からない、これから始まる北海道での生活へ出発することを感じ、とてもワクワクしたことを覚えています。
不安も迷いも全くなくて、いくらでも自分の未来を描き込める真っ青で真新しい空が広がっているような気がしました。

 あれから、6年経って、私は大好きな北海道を離れようとしています。6年の間、いろいろなところを旅して、様々な人と知り会うことができました。
憧れ続けた北海道大学でミズナラ上の昆虫群集について研究できたこと、けれど苫小牧研究林での研究生活がとても辛く研究の大変さを思い知ったこと、就職に悩み札幌で半年間過ごしたこと、エゾシカ管理対策の補助の仕事で釧路に住み、エゾシカ問題の深刻さを目の当たりにしたこと、利尻礼文サロベツ国立公園のアクティブ・レンジャーとして稚内に赴任し、サロベツを中心に自然環境保全に関わる様々な現場に関われたこと、そしてその間に出会った多くの人たちのこと、全てかけがえのない糧となって私の中に蓄積されています。

 縁があって、利尻礼文サロベツ国立公園のアクティブ・レンジャーとして過ごした3年間、職場では、膨大な量の仕事に向き合うレンジャーや、気づいたらすぐに行動する先輩アクティブ・レンジャーと働くことを通して、自分の考え方や行動を見つめて良くしていくことができました。
パークボランティアや地元NPOを始めとする地域の皆さんには、とても親切にしていただき、ここはまた帰ってきたい場所になりました。宗谷の動植物の魅力を沢山教えていただきましたし、栄養たっぷりの美味しいご飯をご馳走になったことが何回もありました。
ここで関わった多くの人たちに、優しい言葉をかけていただいたり、渇をいれていただいたりしながら、一緒に仕事や活動をできたことを本当に嬉しく思っています。



サロベツ海岸線から望む利尻山。いつも見守られているようでした。


 そして、私は地域に根付いて生きる人たちの強さを教えられました。そこに住む人たち自身が地域を愛し、より良くしていこう、守っていこうとすることがいかに大切であるかということを。
私はいずれどこかに去ってしまう人間のひとりであり、利尻礼文サロベツでどんな大変なことが起きようとずっとそれと付き合うことはない一番気楽な立場の人間だったと今更ながら思うのです。
けれど、ここにはずっと地域を見守り続け、これからも活動を続けていく人たちがいることでしょう。その活動の営みこそが利尻礼文サロベツを美しく保つ土台を創っているのだと感じています。



広い広いサロベツの空が大好きでした。


 春からは、サロベツで出会った伴侶とともに宍道湖がある島根県松江市に住みます。気がつくと私はラムサール条約登録湿地がある場所を渡っており、何かの縁を感じています(苫小牧:ウトナイ湖、釧路:釧路湿原、稚内:サロベツ湿原、松江:宍道湖)。
向こうでもラムサール活動が盛んなようです。松江には長く住むことになりそうなので、こちらでの経験を活かし、何らかのかたちで活動に加わりたいと思っています。利尻礼文サロベツで出会った人たちに負けないくらい自分の住む地域を好きになって大切にしていきたいと思います。

 そして、私は渡り鳥のようになりたいと思っています。
鳥インフルエンザのような悪いものを持って帰られては困りますが、利尻礼文サロベツを一度いなくなっても毎年戻って来てここに住む人たちを楽しませる渡り鳥のように、去っていくのではなく渡っていく私だからこそ、渡りの先から運べるものをいつか持って帰り、縁をつないでいきたいと思っています。

 29歳の春、渡り鳥が一羽、たくさんの想いを胸に旅立ちます。20代の私を育ててくれた北海道、そして愛すべき利尻礼文サロベツへ、そこで出会った全ての皆さまへ、本当に本当にありがとうございました!



坂の下の海岸砂丘帯にて。皆さん、本当にお世話になりました!

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