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北海道地方環境事務所

報道発表資料

2015年06月26日
  • 報道発表

(お知らせ)えりも地域の春定置漁業期間中におけるゼニガタアザラシ被害防除改良網の試行及び学術捕獲の実施結果について(速報)

平成27年6月26日(金)

環境省北海道地方環境事務所

所長:德丸 久衞

野生生物課長:小口 陽介

電話(011)299-1950

FAX(011)736-1234

えりも自然保護官事務所:蔵本 洋介(担当)

電話(01466)3-1306

FAX(01466)3-1307

 えりも地域ではゼニガタアザラシの個体数増加に伴い、定置網のサケを中心に漁業被害が深刻な状況となっています。環境省では、えりも地域におけるゼニガタアザラシ個体群と漁業の共存を目的として、「環境省えりも地域ゼニガタアザラシ保護管理計画(環境省計画)」を策定し、被害防除対策、モニタリング等の事業を推進しています。

 計画に基づく取組の一環として、今年度は初めて春定置の期間中である5月25日~6月20日に、昨年度の実施結果を踏まえた被害防除改良網の試行及び学術捕獲を行いましたので、お知らせします。

 

1.実施内容  

 「環境省えりも地域ゼニガタアザラシ保護管理計画(環境省計画)」に基づく取組の一環として、昨年度に引き続き、ゼニガタアザラシ被害防除改良網の設置及び学術捕獲を試行した。今年度は、網の改良は被害防除に特化し、学術捕獲については新たに捕獲罠を設置した。

 なお、被害防除改良網の試行は、環境研究総合推進費による研究「親潮沿岸域のゼニガタアザラシと沿岸漁業の共存に向けた保護管理手法の開発」(代表 桜井泰憲 北海道大学特任教授)と連携して行った。

 

2.実施結果

 被害防除改良網については、5月25日から6月13日まで設置し、水中カメラによりゼニガタアザラシ及び魚類の入網状況と網の中での行動を撮影した。改良網の構造はゼニガタアザラシの入網を阻止する格子網を、サケを漁獲する網の入り口に装着したものとした。

 なお、2種類の網目サイズ(20cm×20cm、20cm×40cm)の格子網を試行した。

 その結果、20cm×20cmの格子網では、ほとんどのゼニガタアザラシの入網を阻止することが出来たが、格子網に対する魚類の忌避行動が比較的多く見られた。一方、20cm×40cmの格子網では、ゼニガタアザラシの一部の入網を阻止することができたものの、入網行動が多く見られた。

 また、魚類の忌避行動も見られた。網の中でゼニガタアザラシがサケを捕食する様子も撮影された。

 捕獲罠については、道東で成獣のアザラシの捕獲実績がある箱形の罠を参考に、新たな構造の罠を作成した。5月26日から6月20日の期間中、海況等に応じて1基から5基の罠を定置網周辺に設置し、ゼニガタアザラシの捕獲を試みた。設置当初は捕獲される個体は無かったが、罠の中に誘引餌を入れることにより、幼獣1頭の生体捕獲に成功した。

 今回得られた結果を基に漁業者の意見を取り入れた上で改良を行い、秋定置の時期においても被害防除網の試行を実施する予定。

添付資料