北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
さて羊蹄山山麓に半月湖という火口湖があるのはご存じですか?4万5千年前から1万年前の噴火は主として現在の山頂周辺を火口としたようですが、1万年前からは山頂とともに山麓部でも噴火を起こし、半月湖はその噴火の際にできた火口で火口内に中心からずれて溶岩ドームができたために半月状になりました。羊蹄山の倶知安コースから登ると、途中の登山道からその半月湖が見ることができ火口湖であることがわかります。
夏の半月湖から見る羊蹄山
その半月湖は春夏秋冬さまざまな姿を見せます。夏にもパトロールへ行きましたが、11月には水位が下がっていました。何らかの要因で水位が上がったり下がったりするのでしょう。湖畔沿いには夏には見ることのできなかった灰色の溶岩がごろごろしているのを見ることができました。その湖面を覗くとたくさんの種類の葉が落ちています。その葉それぞれの色も違います。水面から覗く自然の芸術です。水の中にも自然のサイクルがあり、その葉たちはほんの少しの時間、色づいた葉を見せてしばらくすると徐々に自然に戻り、葉の色も変化してくるでしょう。
秋の半月湖湖面 「自然の芸術品」
そして冬には豪雪地帯、倶知安町にある半月湖は人が簡単には近づけない場所となります。スノーシューを履き樹林帯の中を歩き、半月湖を覗くと湖面すべて真っ白な雪がついています。湖面は完全に結氷していれば歩くことができます。半月湖畔を一周し、カルデラ湖であることをあらためて実感しました。耳を澄ますと雑音のない無音の世界。そしてその中に小鳥の警戒音が聞こえます。湖畔沿いの木々の中には、ホオノキの実やヤマブドウの実がまだ残っていて小鳥たちの貴重な冬の食料となっています。しばらくその静寂な湖面の上を歩くと、夏にも見た半月湖からの羊蹄山が顔を出しました。羊蹄山山頂は雲の流れが速く雲が切れることもありませんでしたが、墨絵のような半月湖が一瞬太陽に照らされ、青い空と光り輝く真っ白な雪、白い雪を覆った羊蹄山を見ることができました。その間15分位でした。まもなく小雪がちらつきまた白黒の世界となりました。
冬に閉ざされた世界にも一瞬一瞬のドラマがあります。ぜひみなさんも足をのばしてみてください。半月湖は凍りますが、湖面が凍っていない場所もあり充分な注意が必要です。
冬山となりますので充分な装備、認識を持って入山してください。
冬の半月湖