2008年12月11日
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2008年12月11日カパッチリカムイとオンネウのお出まし
利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子
真っ青な空に、真っ白な肩と尾羽、黒い翼、嘴の黄色のコントラストが鮮やかなオオワシ。しぶい色合いで老練な狩人を思わせるオジロワシ。その姿には思わず見とれてしまいます。

オオワシ
11月下旬、宗谷地方でオオワシ、オジロワシの渡り状況を観察しているパークボランティアさんに同行して稚内市増幌に調査に出かけました。稚内など宗谷岬付近は11月に入るとサハリンやオホーツク海沿岸からワシたちが北海道に渡ってくるときの玄関口となります。パークボランティアさんによると増幌川では産卵のために登ってきたサケのホッチャレを狙ってワシたちがやってくるそうです。
増幌川沿いに車を走らせながら河畔林や土手などに目を懲らしてみると、針葉樹の木立の中に枝に降り積もった雪と見間違いそうなほど白い肩をしたオオワシの成鳥がとまっているのに気がつきました。さらに探すのに慣れてくると木立の間や見晴らしがよさそうな木の枝、土手の斜面などに褐色や黒みがかった色のかたまりもいくつか見つけることができました。オジロワシの成鳥やオオワシ、オジロワシの幼鳥たちです。私は去年の冬に道東で道のオオワシ・オジロワシ調査を補助していましたが、遠目にオオワシ幼鳥、オジロワシ幼鳥を識別するのがあまり得意ではありません。この冬は彼らの姿をよくよく見て今度こそしっかり識別できるようになりたいと思っています。この日の調査では川沿い道路6kmを30分ほどかけて走ってオオワシ(Haliaeetus pelagicus)成鳥16羽、幼鳥9羽、オジロワシ(Haliaeetus albicilla)成鳥7羽、幼鳥2羽、遠くで見分けられなったワシ4羽の計42羽をカウントすることができました。

次に調査に出かけたのは11月末日、今度は一人で出かけました。オオワシの成鳥が空高く舞っています。が、その後を追いかけているずっと小さな黒い影。カラスです。ワシがカラスに追われている場面はこの日何回か見かけました。普段、市街地周辺でもトビがカラスにモビング(*)されているのを見かけることがありますが、カラスって本当にいじめっ子だと思いました。王者が追われていることころはちょっと痛々しいです。
この日は識別が難しかったワシはできるだけ写真に撮っておくようにしていたので、後から動物カメラマンをしているパークボランティアさんの生態解説写真集「原野の鷲鷹」でオオワシ・オジロワシの成鳥の様子を写した写真と比較して何羽かは後から判別することができました。特に、褐色の体に混じった白い羽毛が目立ち、嘴の上部が黒い個体がオジロワシの2年目の幼鳥ではないかと見当がついた時は嬉しかったです。オジロワシはオオワシより嘴が小さめだという特徴もこの時しっかり学習しました。全体的に、オオワシは頭の羽毛がワックスで固めたようにごわごわでたっており、オジロワシの頭はどちらかというと櫛でなでつけたように滑らかな印象も受けました。

左側の枝の3羽のうち、上2羽はオオワシ幼鳥、下はオオワシ成鳥。右はオジロワシ幼鳥か・・・。
前と同じルートを35分かけて走ってオオワシ 成鳥5羽、幼鳥7羽、オジロワシ 成鳥7羽、幼鳥4羽、見分けられなかったワシ4羽の計27羽をカウントすることができました。
最近、私は動物のアイヌ語名を調べるのが好きなのですが、ワシについても調べてみると、オオワシはアイヌ語で「カパッチリカムイ」、オジロワシは「オンネウ」というのだと知りました。それぞれは「ワシ神」「老大なるもの」という意味であるそうです。このような名称をつけられるほどワシたちには人を惹きつける風格があるのでしょう。私はまだ彼らの姿をほんの少ししか知りませんが、その魅力のひとつは彼らの表情や人に気を許すことのない姿勢から感じられる「野性」ではないかと思っています。増幌川にかかる橋の上で、すぐ近くの木にとまっていたオジロワシに気づいて車を停めたとき、即座に飛び立つポーズをとって様子をうかがう姿にそれを見たように思いました。
*モビング 小さな動物が大きな動物を追い払うために行う嫌がらせ的な行動

オオワシ
11月下旬、宗谷地方でオオワシ、オジロワシの渡り状況を観察しているパークボランティアさんに同行して稚内市増幌に調査に出かけました。稚内など宗谷岬付近は11月に入るとサハリンやオホーツク海沿岸からワシたちが北海道に渡ってくるときの玄関口となります。パークボランティアさんによると増幌川では産卵のために登ってきたサケのホッチャレを狙ってワシたちがやってくるそうです。
増幌川沿いに車を走らせながら河畔林や土手などに目を懲らしてみると、針葉樹の木立の中に枝に降り積もった雪と見間違いそうなほど白い肩をしたオオワシの成鳥がとまっているのに気がつきました。さらに探すのに慣れてくると木立の間や見晴らしがよさそうな木の枝、土手の斜面などに褐色や黒みがかった色のかたまりもいくつか見つけることができました。オジロワシの成鳥やオオワシ、オジロワシの幼鳥たちです。私は去年の冬に道東で道のオオワシ・オジロワシ調査を補助していましたが、遠目にオオワシ幼鳥、オジロワシ幼鳥を識別するのがあまり得意ではありません。この冬は彼らの姿をよくよく見て今度こそしっかり識別できるようになりたいと思っています。この日の調査では川沿い道路6kmを30分ほどかけて走ってオオワシ(Haliaeetus pelagicus)成鳥16羽、幼鳥9羽、オジロワシ(Haliaeetus albicilla)成鳥7羽、幼鳥2羽、遠くで見分けられなったワシ4羽の計42羽をカウントすることができました。

次に調査に出かけたのは11月末日、今度は一人で出かけました。オオワシの成鳥が空高く舞っています。が、その後を追いかけているずっと小さな黒い影。カラスです。ワシがカラスに追われている場面はこの日何回か見かけました。普段、市街地周辺でもトビがカラスにモビング(*)されているのを見かけることがありますが、カラスって本当にいじめっ子だと思いました。王者が追われていることころはちょっと痛々しいです。
この日は識別が難しかったワシはできるだけ写真に撮っておくようにしていたので、後から動物カメラマンをしているパークボランティアさんの生態解説写真集「原野の鷲鷹」でオオワシ・オジロワシの成鳥の様子を写した写真と比較して何羽かは後から判別することができました。特に、褐色の体に混じった白い羽毛が目立ち、嘴の上部が黒い個体がオジロワシの2年目の幼鳥ではないかと見当がついた時は嬉しかったです。オジロワシはオオワシより嘴が小さめだという特徴もこの時しっかり学習しました。全体的に、オオワシは頭の羽毛がワックスで固めたようにごわごわでたっており、オジロワシの頭はどちらかというと櫛でなでつけたように滑らかな印象も受けました。

左側の枝の3羽のうち、上2羽はオオワシ幼鳥、下はオオワシ成鳥。右はオジロワシ幼鳥か・・・。
前と同じルートを35分かけて走ってオオワシ 成鳥5羽、幼鳥7羽、オジロワシ 成鳥7羽、幼鳥4羽、見分けられなかったワシ4羽の計27羽をカウントすることができました。
最近、私は動物のアイヌ語名を調べるのが好きなのですが、ワシについても調べてみると、オオワシはアイヌ語で「カパッチリカムイ」、オジロワシは「オンネウ」というのだと知りました。それぞれは「ワシ神」「老大なるもの」という意味であるそうです。このような名称をつけられるほどワシたちには人を惹きつける風格があるのでしょう。私はまだ彼らの姿をほんの少ししか知りませんが、その魅力のひとつは彼らの表情や人に気を許すことのない姿勢から感じられる「野性」ではないかと思っています。増幌川にかかる橋の上で、すぐ近くの木にとまっていたオジロワシに気づいて車を停めたとき、即座に飛び立つポーズをとって様子をうかがう姿にそれを見たように思いました。
*モビング 小さな動物が大きな動物を追い払うために行う嫌がらせ的な行動


洞爺湖ビジターセンターがオープンしてまもなく1年9ヶ月となります。展示の中に樹の幹の標本があります。樹皮の様子や材の手触りを感じることができ、カラマツ、トドマツ、エゾマツ、ホオノキ、ヤチダモ、ミズナラ、キハダ、ハルニレ、オヒョウ、オニグルミ、アサダ、カツラ、イタヤカエデがあります。
ところが、ビジターセンター内の湿度が下がり、樹幹がひどく乾燥してトドマツとエゾマツに樹皮剥がれが起きてしまいました。
はがれた樹皮
そこで、ビジターセンタースタッフと修復作業をしました。
修復作業
乾燥して形が変わってしまった樹皮を何とかつぎはぎし、特殊な糊で貼り付けし、バンドで締めて固定しました。
痛々しい姿ですがしばらくの間お待ちください。