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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2010年7月15日

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2010年07月15日自然界の不思議(雑種)

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

初夏の山を歩いていると大雪山では良く目にするのがエゾノツガザクラでしょう。
このエゾノツガザクラ、ピンク色で球形に近いものを多くの人はそう思っているかと思いますが、実はコエゾツガザクラという雑種なのです。



画像左が原種のエゾノツガザクラ。赤紫色で色が濃く、形も細い。
これにアオノツガザクラが交配すると右のピンク色のコエゾツガザクラが誕生するわけです。


アオノツガザクラ群落と奥に原種のエゾノツガザクラ

さらに、非常に低い確率ですが、コエゾツガザクラとアオノツガザクラが交配すると(戻し交雑という)ニシキツガザクラという雑種が誕生するのです。
ニシキツガザクラは黄色だったり薄いピンクだったり白に近いベージュだったり多様な色彩が誕生するのでよくよく注意して観察してみましょう。
今月上旬に発見したニシキツガザクラはこんなタイプでした。



どうしてこのような交雑種が自然界でごく普通に起こるように進化したのか不思議でなりませんが、あまり考えると猛暑の夏に脳が疲れてしまうので、このようなものだと認識しておくことにします。

交雑種が増えると原種が駆逐されるのではないかと考えてしまいますが、原種は原種でしっかりと根付くたくましさを持っています。
それにしても大雪山の自然は不思議なことでいっぱいです。

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