北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
1件の記事があります。
ページ先頭へ↑
アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
このエゾノツガザクラ、ピンク色で球形に近いものを多くの人はそう思っているかと思いますが、実はコエゾツガザクラという雑種なのです。
画像左が原種のエゾノツガザクラ。赤紫色で色が濃く、形も細い。
これにアオノツガザクラが交配すると右のピンク色のコエゾツガザクラが誕生するわけです。
アオノツガザクラ群落と奥に原種のエゾノツガザクラ
さらに、非常に低い確率ですが、コエゾツガザクラとアオノツガザクラが交配すると(戻し交雑という)ニシキツガザクラという雑種が誕生するのです。
ニシキツガザクラは黄色だったり薄いピンクだったり白に近いベージュだったり多様な色彩が誕生するのでよくよく注意して観察してみましょう。
今月上旬に発見したニシキツガザクラはこんなタイプでした。
どうしてこのような交雑種が自然界でごく普通に起こるように進化したのか不思議でなりませんが、あまり考えると猛暑の夏に脳が疲れてしまうので、このようなものだと認識しておくことにします。
交雑種が増えると原種が駆逐されるのではないかと考えてしまいますが、原種は原種でしっかりと根付くたくましさを持っています。
それにしても大雪山の自然は不思議なことでいっぱいです。