北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
野付半島は知床半島のように地面が隆起して出来上がったのではなく、海流によって運ばれた砂や礫(れき)の堆積によって出来上がった半島で、一般的な半島のイメージとは少々異なります。
地図を開くと、エビの背中のように湾曲した特殊な形状であることが分かると思いますが、この形は単に道路を走行するだけでは、なかなか実感することができません。
そこで今回は、皆さんに野付半島の形状が分かる写真をお見せしましょう!
いかがでしょうか。左側が半島先端部で、右側が基部側です。
複数の写真を合成しているため、実際よりも湾曲(左右が中心に向かって曲がっています)していますが、道路からは決して伺い知ることができない半島の形が見て取れます。観光パンフレットに丁度よさそうですね。
でもこの写真、本当は観光パンフレットのために撮影したわけではありません。
近年、野付半島でも他の地域と同じようにエゾシカの目撃数が増え、エゾカンゾウなどの植物の被害が目立つようになりました。
そこで今回、エゾシカの被害がどの程度進行しているのかを把握するため、上空からの撮影を試みました。撮影にはヘリウムガスを注入したバルーンに、コンパクトカメラをつり下げた機材(バルーンカメラ)を使用しました。
野付崎灯台付近の様子
白線はエゾシカの踏み分け道になっています。ここでシカがエゾカンゾウを食べる様子も確認されるようになりました。
野付半島にはシカが好む植物が沢山生えていますが、草原の中を直接確認できる場所は、道路脇などのごく一部に限られています。このため半島全体でのシカの増減に関しては比較する材料がほとんどありませんでした。
しかし、今回の撮影で踏み分け道を記録することで、今後の変化を正確に捉えることができるようになります。今後も空中からのデータを収集していけば、野付半島で本当にエゾシカが増えているのかどうかや、将来的にはシカの頭数管理などにも活用することができるかもしれませんので、是非今後も撮影を継続していきたいと思います。
**** バルーンカメラを通して初めて見えたモノ *****
ナラワラ付近から半島基部方面を撮影した写真
今まで何度となくこの道路沿いで巡視を行ってきましたが、野付半島がここまで細いとは思いませんでした。この写真だけ見ると、いったいどんな地形になっているんだろうと、ワクワクしてしまいます。