2010年12月 9日
3件の記事があります。
2010年12月09日毎週更新します。
知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子
冬になると、知床にはたくさんのオオワシ・オジロワシが飛来してきます。
11月18日の日記で、
ウトロ自然保護官事務所の高橋ARから紹介がありましたが、
知床に飛来するオオワシ・オジロワシの飛来状況を把握する調査を、
ウトロ・羅臼事務所合同で行っています。
今回、この調査をみなさんにお伝えしようと、こんなものを作成しました。

そもそも、このオオワシ・オジロワシ飛来状況調査でどんなことをやっているのか、また、過去の調査結果などもあわせて紹介しています。
また、これは、今年度も週1回計20回程度行われる調査で得た結果を、
その都度報告できるように作成した展示物です。

ウトロと羅臼の調査結果を積み重ねていけるシステムで、
毎週更新していきます。
また、調査の時に撮影できた写真も、一緒にご紹介していく予定ですので、
お楽しみに。
これらの展示物は、羅臼ビジターセンターのアクティブレンジャーコーナーに展示してあります。
お近くの方や知床にお寄りの際は、ぜひお立ち寄り下さい。

越冬するオオワシ・オジロワシを、知床の豊かな自然環境が支えています。
と同時に、彼らも知床の生態系を支える大きな存在です。
今年もまた、たくさんのオオワシ・オジロワシが知床に飛んでくることでしょう。
11月18日の日記で、
ウトロ自然保護官事務所の高橋ARから紹介がありましたが、
知床に飛来するオオワシ・オジロワシの飛来状況を把握する調査を、
ウトロ・羅臼事務所合同で行っています。
今回、この調査をみなさんにお伝えしようと、こんなものを作成しました。

そもそも、このオオワシ・オジロワシ飛来状況調査でどんなことをやっているのか、また、過去の調査結果などもあわせて紹介しています。
また、これは、今年度も週1回計20回程度行われる調査で得た結果を、
その都度報告できるように作成した展示物です。

ウトロと羅臼の調査結果を積み重ねていけるシステムで、
毎週更新していきます。
また、調査の時に撮影できた写真も、一緒にご紹介していく予定ですので、
お楽しみに。
これらの展示物は、羅臼ビジターセンターのアクティブレンジャーコーナーに展示してあります。
お近くの方や知床にお寄りの際は、ぜひお立ち寄り下さい。

越冬するオオワシ・オジロワシを、知床の豊かな自然環境が支えています。
と同時に、彼らも知床の生態系を支える大きな存在です。
今年もまた、たくさんのオオワシ・オジロワシが知床に飛んでくることでしょう。
2010年12月09日利尻山の登山道補修 その3
利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 岡田 伸也
こんにちは。
登山道補修シリーズ、久々の第3弾!!!今日は、“登山者の動きを誘導する”登山道の補修方法を紹介したいと思います。
とは言っても、誘導の方法は様々です。そのなかで、今回は、利尻で最もよく使われている『歩水分離』という手法を紹介しますが、ポイントは、これまでお話ししてきた水の動きと、人の動きの違いにあります。
水は、基本的に重力に従って地形の低い方に向かって動き(流れ)ますが、人の動きは、より複雑です。あえて簡単に言うなら『水の動きは物理の法則により、人の動きは感情による』といったところでしょうか。
例えば、「段差が低く、足元が汚れず、滑りにくいところを歩きたい」、「見たい、撮りたい、休みたい」、このような欲求は、登山中、誰もが感じるのではないでしょうか。このような登山者特有の心の動きを誘導するのが、今回紹介する補修方法のミソと言えます。
ですので、今回は、写真で紹介する登山道の、どのラインを歩いてみたいか?皆さんも登山者心理を100%働かせながら読んで頂けたらと思います!
では、前置きが長くなりましたが、今回も施行前後の比較写真からご覧ください。
【施行前後】根系裸出防止工

ここは、利尻山沓形コース6合目付近(標高668m)。森林限界(高木限界)を抜けて、ハイマツ帯に入ったところです。
登山道脇に、地を這うように伸びたダケカンバですが、水による土壌流失のせいで根元がむき出しになっています。こういう状態のことを「根系のハードル化」と呼んでいますが、皆さんもどこかで見たことがありませんか?
張り出した根が邪魔で、つい切りたくなってしまいますが、ずっと昔から、この厳しい環境で少しずつ根を伸ばしてきたダケカンバを、「我々登山者が、安全に歩きやすくなるために」切ってしまうのは、どうしても気が引けます。ノコギリを入れれば、ほんの数秒で切れる太さですが・・
でも、この程度のハードルなら、切らずに、なおかつ土壌を再び安定する方向に持っていく処置をしながら、登山者にとって歩きやすく、そして面白く!歩ける補修をすることが可能です。
何も新しい技術を用いるわけではありません。補修の基本的な考え方は、私の日記「利尻山の登山道補修 その1,その2」でお伝えしてきたのと同じです。ます第一に、根系がハードル化してしまった根本原因である、流水の勢いを弱めてやることを考えるのです。
【施工後】ステップ&プール工による流勢緩和

写真右側に、土壌浸食を起こす強い流水の勢いを弱める目的で、浸食に取り残された大石を利用してプールを作っています。
しかし、ただのステップ&プール工と違うのは、写真左側の部分です。
もう一度、同じ写真を見せますね。
【施工後】石積み工による歩行ラインの創出

ステップ&プール工を作る石組の左端の石を、石積み階段の一部にすることで、ハードルを乗り越すための通路に仕立てています。また、この石積み階段は、ハードル化した根系を踏みつけ圧から守るための、台座にもなっています。
さらにここでは、将来的に、上部からの流出土砂や枯葉がプール内に堆積していくことを見越して、あえてやや大きめのプール(水深の深いプール)を作っています。腐葉土が堆積されていけば、流勢の緩和効果は弱まりますが、根系は、さらにしっかりと安定させることが出来るでしょう。
「ハードルの乗越し処理」+「流水処理」=「根系裸出の進行抑止」
という構造ですね。
歩行ラインは、現地の状況によって、写真のように左右に分ける場合もあれば、流水ラインと交差させる事もあります。流勢の緩和効果を高めるためには、なるべく大きなプールを作りたいのですが、登山者にとっては邪魔で歩きにくいですよね。新たなハードルができたような感じになってしまいます。そうなると路肩に脇道が発生して、整備が逆に荒廃を広げてしまいかねません。
そこで歩行ラインと流水ラインを分離することで、双方の機能を両立させているのです。
登山道は河川ではなく、人が歩く道でもあるので、水の動きだけに目を奪われると、補修もうまくいきません。作り手には、登山者心理に立った想像力が要求されます。
さあ、ということで、次回は、この登山者心理に立った誘導を、日常的な登山道のメンテナンスに生かした事例を紹介したいと思います。
ちなみに、今回ご紹介した補修は、登山道修復歴10年以上の作業者による「作品」です。見た目に自然に馴染んでいて、まさか整備したとは分からないかもしれませんが、知らずに作業者の狙い通りのラインに誘い込まれてしまいます。登山者にしてみれば、あたかも、自分で歩きやすいラインを選んだかのように!!
登山が本来持つ自由さを演出しながら、機能はしっかりと。JAPANビューティーですね~。
こんな登山道にワクワクしている登山道マニア?のブログですが、今後もこのシリーズ、どうぞお楽しみに~♪
※注意
上記の施工箇所は、国立公園特別保護地区で国有林内であることから、現地石材の利用にあたっては、許可手続き等を行っています。
■参考URL
AR日記「利尻山の登山道補修 その1」
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2010/10/26/index.html
AR日記「利尻山の登山道補修 その2」
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2010/10/645.html
登山道補修シリーズ、久々の第3弾!!!今日は、“登山者の動きを誘導する”登山道の補修方法を紹介したいと思います。
とは言っても、誘導の方法は様々です。そのなかで、今回は、利尻で最もよく使われている『歩水分離』という手法を紹介しますが、ポイントは、これまでお話ししてきた水の動きと、人の動きの違いにあります。
水は、基本的に重力に従って地形の低い方に向かって動き(流れ)ますが、人の動きは、より複雑です。あえて簡単に言うなら『水の動きは物理の法則により、人の動きは感情による』といったところでしょうか。
例えば、「段差が低く、足元が汚れず、滑りにくいところを歩きたい」、「見たい、撮りたい、休みたい」、このような欲求は、登山中、誰もが感じるのではないでしょうか。このような登山者特有の心の動きを誘導するのが、今回紹介する補修方法のミソと言えます。
ですので、今回は、写真で紹介する登山道の、どのラインを歩いてみたいか?皆さんも登山者心理を100%働かせながら読んで頂けたらと思います!
では、前置きが長くなりましたが、今回も施行前後の比較写真からご覧ください。
【施行前後】根系裸出防止工

ここは、利尻山沓形コース6合目付近(標高668m)。森林限界(高木限界)を抜けて、ハイマツ帯に入ったところです。
登山道脇に、地を這うように伸びたダケカンバですが、水による土壌流失のせいで根元がむき出しになっています。こういう状態のことを「根系のハードル化」と呼んでいますが、皆さんもどこかで見たことがありませんか?
張り出した根が邪魔で、つい切りたくなってしまいますが、ずっと昔から、この厳しい環境で少しずつ根を伸ばしてきたダケカンバを、「我々登山者が、安全に歩きやすくなるために」切ってしまうのは、どうしても気が引けます。ノコギリを入れれば、ほんの数秒で切れる太さですが・・
でも、この程度のハードルなら、切らずに、なおかつ土壌を再び安定する方向に持っていく処置をしながら、登山者にとって歩きやすく、そして面白く!歩ける補修をすることが可能です。
何も新しい技術を用いるわけではありません。補修の基本的な考え方は、私の日記「利尻山の登山道補修 その1,その2」でお伝えしてきたのと同じです。ます第一に、根系がハードル化してしまった根本原因である、流水の勢いを弱めてやることを考えるのです。
【施工後】ステップ&プール工による流勢緩和

写真右側に、土壌浸食を起こす強い流水の勢いを弱める目的で、浸食に取り残された大石を利用してプールを作っています。
しかし、ただのステップ&プール工と違うのは、写真左側の部分です。
もう一度、同じ写真を見せますね。
【施工後】石積み工による歩行ラインの創出

ステップ&プール工を作る石組の左端の石を、石積み階段の一部にすることで、ハードルを乗り越すための通路に仕立てています。また、この石積み階段は、ハードル化した根系を踏みつけ圧から守るための、台座にもなっています。
さらにここでは、将来的に、上部からの流出土砂や枯葉がプール内に堆積していくことを見越して、あえてやや大きめのプール(水深の深いプール)を作っています。腐葉土が堆積されていけば、流勢の緩和効果は弱まりますが、根系は、さらにしっかりと安定させることが出来るでしょう。
「ハードルの乗越し処理」+「流水処理」=「根系裸出の進行抑止」
という構造ですね。
歩行ラインは、現地の状況によって、写真のように左右に分ける場合もあれば、流水ラインと交差させる事もあります。流勢の緩和効果を高めるためには、なるべく大きなプールを作りたいのですが、登山者にとっては邪魔で歩きにくいですよね。新たなハードルができたような感じになってしまいます。そうなると路肩に脇道が発生して、整備が逆に荒廃を広げてしまいかねません。
そこで歩行ラインと流水ラインを分離することで、双方の機能を両立させているのです。
登山道は河川ではなく、人が歩く道でもあるので、水の動きだけに目を奪われると、補修もうまくいきません。作り手には、登山者心理に立った想像力が要求されます。
さあ、ということで、次回は、この登山者心理に立った誘導を、日常的な登山道のメンテナンスに生かした事例を紹介したいと思います。
ちなみに、今回ご紹介した補修は、登山道修復歴10年以上の作業者による「作品」です。見た目に自然に馴染んでいて、まさか整備したとは分からないかもしれませんが、知らずに作業者の狙い通りのラインに誘い込まれてしまいます。登山者にしてみれば、あたかも、自分で歩きやすいラインを選んだかのように!!
登山が本来持つ自由さを演出しながら、機能はしっかりと。JAPANビューティーですね~。
こんな登山道にワクワクしている登山道マニア?のブログですが、今後もこのシリーズ、どうぞお楽しみに~♪
※注意
上記の施工箇所は、国立公園特別保護地区で国有林内であることから、現地石材の利用にあたっては、許可手続き等を行っています。
■参考URL
AR日記「利尻山の登山道補修 その1」
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2010/10/26/index.html
AR日記「利尻山の登山道補修 その2」
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2010/10/645.html
黒岳ではスキー場から歩いて山頂まで登り帰りは滑って下るバックカントリースキー・スノーボードでの事故が最近増えています。
事故の原因で一番多いのは道迷いです。
地図中の右側の赤石川に迷い込むケースが見られます。目安の一つとして滑降するときは夏道になっている左の尾根を意識すると良いかもしれません(青いライン)
ピークから何も考えずに滑りやすいところだけ求めて滑ると自然に赤石川に迷い込む地形になっているので注意が必要です。赤石川は滝が連続し下ることはできませんし、雪崩が頻発するとも言われています。
地形図やGPSで現在地は何度も確認して下さい。
当たり前ですが、スキー場ではありません。とても厳しい雪山です。
上の写真は黒岳の山頂標識を3mほど手前から撮ったもので、視界は悪くこのときの風速は約20mで立っているのが困難なくらいです。
管理されたスキー場では無いので危険が伴います。天候判断はもちろん確実な読図やビバーク、雪崩等の基本的な雪山登山の技術、知識、装備が必要です。