ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

2011年7月26日

2件の記事があります。

2011年07月26日知床岬でゴミ拾い

知床国立公園 羅臼 木村 慈延

羅臼町で開催される、ふるさと体験教室(知床Kids)に運営スタッフとして参加しました。

知床Kidsは「らうすの自然を楽しみながら学習し、郷土・文化を愛する心を育てる」ことを目的に、年間10回ほど催される小学校高学年を対象としたイベントです。
運営には主体となる公民館を始め、環境省や知床財団などが交代で講師役を担当してきました。
今回は集まった子供14人と、スタッフとして参加した大人と供に、知床岬で海岸漂着ゴミを拾いをしました。

知床岬には道路などの施設もなく、世界遺産の中でも核心となる地域となっていますが、
毎年沢山の漂着ゴミが流れ着くことから、石浜には様々なゴミが・・。

始めに知床財団の職員からヒグマ対策の青空学習を受けて、いざ出発!


足場は大きな石がゴロゴロ。
羅臼の子供達は小さい頃から昆布干しの手伝いをしているせいか、石浜の海岸には慣れっこの子供が多かったです。運動不足の大人よりはよっぽど達者!?


ゴミ拾いの様子。海外から漂着したゴミから、漁業関係のゴミまで中身はさまざま。
普段あまり見ないゴミに子供達も興味津々!ハングル文字やロシア文字の書かれたゴミもありました。




回収したゴミの一部と知床岬の台地で記念撮影。
今回の清掃活動で163kgものゴミを回収することが出来ました。天気も良く、子供達も頑張ってゴミを拾ってくれました。
しかも、ラッキーなことに帰りの船ではマッコウクジラを3回も見ることができました。

知床という素晴らしいフィールドの元、このような活動に触れる機会がある羅臼の子供達を本当に羨ましく思います。しかし、将来にわたって知床の自然を守るのも子供達の役目。
こうしたイベントを通して、知床の自然を知り、地元の自然を大切にする気持ちを育んで欲しいと思います。


*********
知床岬は関係行政機関の申し合わせにより、一般観光客などのレクリエーション目的の上陸を認めていません。そのため、知床岬へは相泊から徒歩(シーカヤックも可)で到達する必要があります。なお、観光船に乗って海上から眺めることは可能です。
*********

ページ先頭へ↑

2011年07月26日浜辺の植物たち

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 中野 雄介

 皆さんの中には「礼文島=高山植物の楽園」というイメージをお持ちの方も多いと思います。もちろん礼文島は海抜0mから高山植物が咲くというまれにみる特殊性を有しているのですが、実は浜辺を主な生息地とする海岸性の植物もたくさんあります。今回は一見見落としてしまいがちな海岸性の植物を取り上げてみました。
 礼文島の西海岸は海蝕崖と呼ばれる海面からそそり立つような断崖絶壁が続いており、海岸線の多くの場所は人が立ち入ることのできない文字通りの秘境なのですが、北部の鉄府(てっぷ)海岸や8時間コース終盤のアナマ、南部の礼文滝など一部通行可能な場所もあり、そこでは砂地や岩場に生息する海岸性の植物を見ることができます。現在、それらの場所では海岸性の植物が見ごろを迎えています。中でも西海岸を歩いていて最も目を引くのが、赤色の大きな花をつけるバラ科の低木ハマナスです。実はこのハマナス、花は美しいのですが、枝には無数の鋭いとげを隠し持っており、触るとものの見事に返り討ちにあいます。やはり美しいものにはとげがあるということでしょうか?



鋭いとげを隠し持つハマナス(7/21 ゴロタ岬付近)

 アナマ周辺、礼文滝、元地付近では青紫色の花と緑白色の葉が美しいハマベンケイソウ(ムラサキ科)、黄緑色でつやのある葉が特徴的なハマハコベ(ナデシコ科)、全体を白い毛でおおわれたシロヨモギ(キク科)、ピンク色で5角形の花を咲かせるハマヒルガオ(ヒルガオ科)などが見られます。また、海岸付近にはヨツバシオガマ(ゴマノハグサ科 礼文のものはサイズが大きく、レブンシオガマとも呼ばれます)やカラフトゲンゲ(マメ科)、チシマキンレイカ(オミナエシ科)など高山性の植物も生息しており、海岸性の植物と高山性の植物が並んで咲く不思議な光景を見ることができます。これらの花はどれも砂地や海岸沿いの岩場など条件が厳しい場所に生息し、山に咲く花とは一味違った力強さを感じさせてくれます。



上段左:ハマベンケイソウ(7/21 アナマ付近) 右:ハマハコベ(7/20 礼文滝)
下段左:シロヨモギ(7/20 礼文滝) 右:ハマヒルガオ(2010/7/8 鉄府)
 
 礼文に咲く花のうち、高山植物は冬の寒さに耐える力強さを持つ一方で夏に花を咲かせる姿は可憐で繊細さを感じますが、浜辺の植物は砂地や岩場で潮風に耐えながら生きている姿そのままのたくましさと力強さがみなぎっているように感じます。そしてその両者が同じ場所に咲くという不思議。これぞ、礼文島の奥深い魅力だと私は思うのです。



左:カラフトゲンゲ(7/13) 右:チシマキンレイカ(7/13)

 皆さんも礼文島の西海岸を散策するときは高山植物とともに、浜辺の植物にも注目してみてはいかがでしょうか?

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ