ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2012年6月 8日

5件の記事があります。

2012年06月08日雌阿寒岳登山巡視② ~生きもの編~

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司

雌阿寒岳の登山巡視ですが、雌阿寒温泉登山口から登りました。

まずは、10㎝程度の体のどこからあんな声が出せるのかと思うミソサザイ、控えめに「ルリビタキだよ」とさえずるルリビタキに送られながら森林帯を歩きます。

山頂近くでは、ブーメランのような姿で飛び回り、時おり見せる白い腰がアクセントのイワツバメの群れが舞っています。

昼食をとったお花畑のハイマツでは、クマよけ鈴と間違えそうなカヤクグリの声が聞こえます。

下山してオンネトーを眺めると、オシドリのつがいが訪れています。

数日前巡視した、オンネトー登山口から近い湯の滝ではキセキレイやウソが飛び回っていました。
(画像が撮れたのはオシドリとキセキレイだけですが…。)



昼食をとったオンネトーコース8合目のお花畑では、ミネズオウが見頃です。



メアカンキンバイとコマクサは、ポツポツと開花している程度でした。



これからメアカンフスマやイワブクロ、イワギキョウやイワウメなどといった、高山植物の開花ピークを迎えます。
次回予定している菅野保護官との登山巡視では、どんな出会いがあるでしょうか。

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2012年06月08日雌阿寒岳登山巡視① ~風景編~

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司

6月3日雌阿寒岳の安全祈願祭が執り行われ、合わせて足寄町主催の登山会が行われました。
この登山会に同行して山岳巡視を行いました。

まずは、雌阿寒温泉登山口で安全祈願祭です。



昨年は2件の遭難事故がありました。
今年は何も無いことを願って、登山開始です。
この日は天候に恵まれたこともあり、小学生の子供も参加して約50名の人数となりました。

登りは雌阿寒温泉コースです。4合目まではアカエゾマツの森林帯、そこからハイマツ帯となり、最後は火口外輪山の火山れきを登って、山頂到着です。
そこには絶景が広がっていました!!


阿寒湖方面。
画像では分かりにくいかもしれませんが、火口の向こうに阿寒湖、隣に雄阿寒岳、雄阿寒岳左手奥に斜里岳、その左奥に知床連山が見えています。


阿寒富士と青沼。
釧路方面は雲がかかっていました。

あと、遠く広すぎるため画像はありませんが、オンネトー方面はまだ雪をかぶった大雪山~十勝連峰まで見渡せていました。

景色を堪能した後、風を避けお花畑のあるオンネトーコース8合目へ下りて昼食、そのままオンネトーコースを下り、ほぼ予定通り下山となりました。

雪解け後、今回の登山前に登山道整備はされており、危険個所の規制ロープ張り直しや、ルートを示すペイントの塗り直しはされていました。
雌阿寒温泉コース、オンネトーコースとも、登り2時間半~3時間程度、今回小学生の子供たちも山頂まで自力で登れたように、難しい山ではありませんが、以下の点に気を付けてください。

・4合目あたりから上は日差しにさらされます。水場はありませんので、水分は十分用意して下さい。
・山頂は風が強く、一気にガスに覆われることもあります。快晴でも防寒着や雨具、地図は必ず用意して下さい。
・雌阿寒岳は今も噴煙を上げている火山です。火口付近では、強風・視界不良による滑落や、噴煙の向きに注意して下さい。
・阿寒富士は粒の小さな火山れき・火山灰の山です。足が埋まり、「2歩進んで1歩下がり」ながらの登りで疲れます。

昨年の遭難事故も、山頂の天候不良を原因とした道迷いや疲労により発生しました。
皆さんも、事前の準備・体調を整えて、楽しい登山にして下さい。

②~生きもの編~に続きます。

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2012年06月08日悪戦苦闘中⑤ ~初期トラブル編~

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 北川 栄司

久々のAR日記ですが、お約束のEMC水槽展示におけるトラブルです。

①水温上昇によるグッピー雌雄分離

保護官事務所で飼育している間は、オスメスを混泳させていました。
もともと水温の低い水槽で予定外に孵化したグッピーだったので、そのまま低水温で飼育し、孵化後数ヶ月の間、繁殖も病気もせず育っていました。
しかし、阿寒湖畔エコミュージアムセンター(EMC)の展示スペースは冬の間温泉暖房が入っており、24時間室内は暖か、水温も適温に保たれてしまいます。
繁殖してしまうのは間違いなさそうなので、止むを得ず水槽セパレーター(仕切り板)でオスメスを分けました。
(水槽が狭く感じられ、見栄えも悪くなるので使いたくなかったのですが…。)

②それでも稚魚生まれる

保護官事務所生まれとは別に、ティラピア捕獲時にオンネトー湯の滝育ちのグッピー数匹を持ち帰りました。
この中のメスがすでに受精していたようで、ある朝稚魚が数匹泳いでいました…。
グッピーメスは、一度受精すると数回稚魚を生むことが出来るそうです。
この先何匹生まれてくることやら…。



③病気

グッピー飼育で最も多い「白点病」と「カラムナリス病(尾グサレ病)」が発生しました。幸い、塩水の中に暫く入れてやる塩水浴で回復しました。

④藻発生

グッピー水槽に緑色の藻が、ティラピア水槽に茶色の藻が急激に発生。原因は、EMC展示開始の際に、照明タイマーを開館時間に合わせて再設定した時のミスでした。開館直前に点灯するはずが、深夜から点灯していました。魚たちも寝不足だったかもしれません。点灯時間を正常に戻したところ、藻の成長は鈍くなりました。



⑤ティラピアのいじめ

今まで小さな個体を無視してきたティラピア(大)ですが、ある日ティラピア(小)の隠れ家の石を突き倒して追っかけ回していました。ティラピア(小)は鱗がボロボロになり、隔離して治療を試みましたが残念ながら死亡してしまいました。

⑥産卵床

ティラピアオスは成熟すると、「産卵床」と呼ばれるすり鉢状の穴を水底に掘り、そこでメスの産卵を待ち受けます。水槽で単独の飼育をしていても、底砂を掘り返していました。待っても誰も来てくれませんが…。
エアーストーンやヒーターを埋めてしまいますが、大きな問題は無く、ティラピアの生態を見てもらうという事で、このままにします。



いろいろ大変な生体展示ですが、パークボランティアの方が館内ガイドで利用してくれたり、湯の滝記載のオンネトーパンフレットを持ち帰る方が増えたりするなど、有効利用はされているようです。

今回で「悪戦苦闘中」の連載は終わりますが、これからも外来魚問題について随時報告はしていきます。次の報告をお待ちください。

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2012年06月08日捨てるのは「捨ててもいいや」の気持ちだけ

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

青空が気持ちいい日曜日。
開館を待つルサフィールドハウス駐車場は、いつもと違う朝を迎えていました。


軽トラを筆頭に大きなトラックなど、何台もぞくぞくと詰めかけてきます。
そこから次々とガタイのいい男性ばかり降りてきます。
総勢約50名が集結。なにが始まるのでしょう…?

屈強な男性陣の多くは、漁師さん。
手にはビニール袋。

今日は、海岸清掃を行う日だったのです。



日々、海の上で魚などを獲っている漁師さん。
羅臼自慢のサケ、ウニ、昆布、ホッケ、スケトウダラやマダラ、カレイ類、貝類などなど…根室海峡がこんなに豊かなのは、山や川などの生態系と複雑に関係しているから。
そんな自然環境から恩恵をうけている私たちこそ、地元の自然を守っていかなければ、との思いから、羅臼漁協青年部さんが立ち上がり多くの漁師さんを始め、漁協、羅臼町役場、知床財団、そして私たち環境省が協力しこの活動は3年目を迎えます。

海岸にはさまざまなゴミが打ちあがっていました。
空き缶やペットボトルなどの小さいゴミから、意図的に捨てたのではと思われる粗大ごみまで。また、中には日本語表記ではないゴミもあり、ゴミ問題の大きさを感じずにいられませんでした。
その数もとても多く、驚くことに1時間もしないうちにトラックがいっぱいになってしまうほどでした。



もしかしたら何気なくポイと捨ててしまうのかもしれません。
中には、見えない所ならバレないだろうと捨ててしまうのかもしれません。

でも、こんな活動をしている人たちがいるということを知り、
思いが通じれば、きっとゴミは減っていくと思います。
そして、ゴミひとつないキレイな街だったら、“何気ないポイ”なんてできないでしょう。

ゴミを捨てるのも、拾うのも人間。
ゴミを捨てない意識も、自然への姿勢も、安心して住める街も、
これからを担う子どもたちに引き継いでいけるのは私たちしかいません。

そして、自然環境は私たち人間だけのものではなく、私たちはその一部であることを忘れてはいけないと思います。

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2012年06月08日アライグマとは一体何者

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

お久しぶりです。 羅臼自然保護官事務所の菅原です。
アライグマは、北アメリカ原産の特定外来生物で、さまざまな動植物を幅広く捕食する雑食性であり、さらに繁殖力が強いことから自然環境への影響が懸念されています。ここ知床国立公園でもたびたびアライグマの目撃情報が寄せられており、希少な生態系や野生動物などへの影響が問題視されています。羅臼では、アライグマの木に登る習性からシマフクロウへの影響が心配されています。

ここで、簡単なアライグマとタヌキの見分け方をご紹介します。


アライグマ特徴             
・目の間の黒い線            
・シマシマの尻尾   


タヌキ特徴
・黒い足
・一様な色の尻尾

一番の特徴は、尻尾です。アライグマは縞模様の尻尾を持っています。
タヌキの尻尾には縞模様はありません。

アライグマが日本に定着してしまった理由は、ペットブームです。

アライグマは、その風貌のかわいらしさからペットとしてとても人気がありました。
幼獣のアライグマは、おとなしくかわいいものの成獣のアライグマは人になつきにくく、気性が荒く、手がつけられなくなる例が後を絶たず、このため多くのアライグマが野外に放され、野生化するに至りました。ペットを飼うことは悪いことではりません、生き物を飼うといことは、命に責任を持つということです。ペットを飼っている方は、最後まで責任を持って面倒を見てください。

アライグマだけなく他の外来種でもこのようにペットが逃げ出して野生化してしまう例が数多く存在しています。外来種の問題は、日本全国でさまざま問題になっており、早急に対応していかなくていけない大変重要なことです。

人間が持ち込んだ野生動物が原因で自然の生態系に様々な影響を与えてしまっているのです。そういう意味では、海外から持ち込まれた野生動物たちは被害者なのかもしれません。全く知らない土地に連れてこられたら、その土地で頑張って生きて行くしかないですからね。

 ぜひ皆さんも外来種の事をもっと知って、自然の事を考えてみてください。

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