ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2012年6月22日

3件の記事があります。

2012年06月22日子どもたちと樽前山

支笏洞爺国立公園 支笏湖 福家 菜緒

皆さん、こんにちは。
夏至も過ぎたのに、南の方では暑い~と言っているのに、支笏湖は寒いです(15時の気温12.4℃)。少し夏が恋しいと思う昨今。

さて先週、支笏湖小学校の皆さん、樽前山の自然を愛する会の新沼さんらと、樽前山に登ってきました。
樽前山は標高1022m(東山)の支笏湖を囲む火山の1つです。児童の皆さんは今日まで、「支笏湖学」の授業(北海道地質調査業協会の若松さん)で支笏湖の形成や火山について学んできています。

樽前山は7合目まで車で上がれる山ですが、登山ブームもあって利用者が多く、登山道が拡幅するなどの問題も起きています。保護官事務所では関係する皆さんと協力して登山や自然観察のマナーについて再考の取り組みをしています。
今回の支笏湖小学校の樽前山登山に際しては、1週間前に荷物や山の注意を学ぶ事前学習を行い、当日も7合目の登山口で、靴の裏のでこぼこをチェックしたり、服装を見直したり、たくさん準備をしてきました。

最初は段差のある階段を上ったりと子どもたちの少し疲れる様子もみえましたが、7合目から歩いて1時間足らずでこの絶景。この日は支笏湖に雲が立ちこめていて、普段見れない景色をみんなで堪能しました。



東ピークまで登り、外輪山を歩いて神社の周りでお昼ご飯を食べました。
溶岩ドームを眺めながらの贅沢なランチタイム。






(左上) タルマイソウ(イワブクロ Penstemon frutescens )を眺めながら歩きましたが、まだつぼみでした。
(右上) 頂上では、若松氏による出張・支笏湖学もありました。現地で見るのが一番。
(左下) 新沼氏による、ザックを使った担架搬送のデモンストレーション。
運ばれる役を担ってくれた男の子に感想を聞くと「楽しかった!」とのこと。
(右下) 帰り道は支笏湖を眺めながら。でも登山道は軽石で滑るので下ばかり見てしまいます。

当日は晴天。樽前山、麓は穏やかでも、上に登れば風が強いんですよ~と言いたいのに頂上でも風がほとんど無く、穏やか。樽前山も子どもたちには優しいんだな、と思いました。
子どもたちに、適正登山を学んでもらおうという意図もあった今回の樽前山。7合目駐車場から1時間ほどで登頂できる樽前山ですが、やはり軽装でいらっしゃっている方も見られました。山の天気は変わりやすいです。そして登山道は石で滑りやすいです。十分な装備をして登るよう心がけてください。

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2012年06月22日知床半島先端部の植物事情

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

雪が溶けてからの知床半島の季節の移ろいは、とても早く感じます。
5月の上旬にようやくミズバショウやスミレなどが咲きはじめ春がきたかと思うと、6月の今ではすっかり初夏の突き刺すような日差しが照りつけています。季節が進んでいくと様々な植物にも出会えるようになります。

知床半島先端部では、ミヤマオダマキが観察できました。


青く鮮やかな花を咲かせるミヤマオダマキは、普通は高山などで観察できる花なのですが
知床半島の先端部では、海岸沿いで観察する事ができます。


他にも、タカネグンバイやイワベンケイなどの色鮮やかな亜高山帯の植物も観察する事ができました。
 
・・・がしかし先端部には、アメリカオニアザミという外来の植物が繁茂しているのです!!このアメリカオニアザミが増えると貴重な植物たちを駆逐してしまうかもしれません。 これ以上分布域を広げないために、羅臼自然保護官事務所ではアメリカオニアザミの駆除を行っています!


 アメリカオニアザミ
アメリカオニアザミは、元々ヨーロッパ原産の植物です。別名セイヨウオニアザミとも呼ばれます。知床国立公園にはこのアザミが多く侵入してきており、エゾシカもこのトゲトゲのアザミは食べません。それに加えとても繁殖力が強く、早いスピードで分布を拡大してしまうくせ者です。上の写真はまだ小さい個体ですが大きい物だと1.5mまで成長します。
エゾシカが食べてくれると一番手っ取り早いのですが、そう簡単にはいきません。
一つ一つ、人の手で駆除していく方法しかないのです。

知床の美しい自然を守っていくには、自然の変化に対応し、解決していくための地道な活動が必要なのです。

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2012年06月22日バランス

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

いるのは人から聞いて知っていましたが、なかなかその姿を見たことはありませんでした。
先日の緑岳巡視の帰り、不意に足元に現れた小さな物体が、こちらを振り返った瞬間目が合った!!

かわいい!!
一瞬で心奪われるほどの容姿。



エゾオコジョです。
もう夏毛に変わっていました。

こちらを確認しては、近くの隙間を通って、あちこちの穴から顔をのぞかせてくれます。
かわいいと見とれていたら、少し離れたところからはナキウサギの鳴き声が聞こえました。
エゾオコジョは、小柄な体でかわいらしい顔つきですが、立派なハンターで、岩塊地を中心に分布していて、ネズミや鳥、虫などを食します。また同じ生息地のナキウサギを襲うともいわれています。

襲う物と襲われる物、どちらも頑張って大雪山で生き残っていてほしいと願うばかりです。

自然の絶妙なバランスで成り立っている生態系を実感したな~と実感していた帰り、登山口の高原温泉付近では、エゾシカに合いました。なにやら怪しい動きをしているのでしばらく見ていたら、生まれて間もない子鹿が現れ授乳しはじめました。




母親のこちらから目線を外さない姿や、子どものおぼつかない足取りで歩く姿、身を隠してるつもりで顔を低く下げて車が通り過ぎるのを待っている姿など野生の生き抜く姿を見てたくましさを感じました。


目も合っていますが、一応身を隠しているようです。

エゾシカ問題が叫ばれる昨今ですが、生まれて間もない子鹿を見ると何ともいえません。かわいい~って思うだけでは駄目かもしれませんが、かわいい~って思うからこそ、次の何かにつなげたい。生態系のバランスについて、人と野生動物の関わりについて物思う1日となりました。

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