ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2012年8月 6日

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2012年08月06日“シレ”とこの“ココ”ろえです。

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

知床といえば…?
「知床五湖」や「カムイワッカ湯の滝」「羅臼岳」などが有名でしょう。
でも、その奥には簡単に踏み入ることのできない場所があります。
それが、「知床先端部地区」。

せんたんぶちく?
それっていったいどんなとこ?どうやったら行けるの?

先端部地区とは、
知床岬や知床岳を含む、知床半島先端の陸域と海域の指定された範囲を指しています。そこは原始性の高い自然が色濃く残る場所であり、自らの力でしか立ち向かえない場所であり、そして、自然を保全するために様々な配慮が必要な場所です。

先端部地区で楽しめるのは、登山、海岸トレッキング、シーカヤック、サケ・マス釣りなどのアクティビティ。原始的な自然環境の中だからこそ、この上ない体験ができることでしょう。

たとえば、“知床岬まで海岸トレッキング”。
まず、知床岬まで至る道はありません。知床岬まで片道約20キロの海岸そのものがトレッキングのルートです。
巨岩から小石まで大小さまざまな石浜を歩きながら、途中に待ち構える難所を通過しなければいけません。落差最大100メートルの岩壁の高巻きや、落ちたら海にドボンの垂直壁水平移動など数々の困難が待ち受けます。
そしてそれらには懸垂下降などのロープを使った下降技術や、クライミング技術などが必要です。



また、満潮時には渡渉ポイントが水没し通過できないこともあるので、事前に潮位をみて綿密に計画を立てる必要があります。最低でも2泊3日は必要ですし、約20キロの荷物を背負って歩ける体力と、十分な技術・万全の装備、そしてすべてにおいて自己責任であるという自覚が必須です。

それに加え、先端部地区は特にヒグマの高密度生息地でもあります。出会わないため・出会ってしまったときの備えはもちろん、自分の身を守るだけでなく他の利用者への配慮も含めたフードコンテナ持参など、ヒグマ対処法と装備を身につける必要があります。



そしてもちろんのこと、自然環境へのインパクトを最小限にする配慮もしなければなりません。

そんなスリル満点なアクティビティ、海岸トレッキング。
自ら努力したものだけが味わえる知床岬到達の瞬間は、この上ない達成感と感動で満ち溢れること間違いないし!



知床の厳しくも素晴らしい自然から得られる本物の感動が、ここにはあります。

でも、そのためには守ってほしいルールや注意してほしい事項があります。
それらをまとめたものが「知床半島先端部地区 利用の心得」。
原文のルールブックをより分かりやすくしたWEBページ「シレココ」もあります。知(シレ)床先端部地区利用の心(ココ)得で、「シレココ」。
また、先端部の入口には現地の情報を入手したり、レクチャーを受けたり、フードコンテナなど装備品をレンタルできる施設、ルサフィールドハウスもあります。知床先端部のアクティビティをお考えの方は、お立ち寄りくださいね。

備えを十分に。その先に感動が待っています。


知床世界遺産ルサフィールドハウス
http://shiretoko-whc.jp/rfh/

知床先端部利用の心得「シレココ」
http://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/index.html

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