ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2013年8月26日

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2013年08月26日セイヨウオオマルハナバチ防除活動

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

 8月に入ってから不安定な天候が続いている北海道。
ここ数日は夕方になると滝のような雨が降ります。
今も事務所の窓から見る旭岳方面は真っ黒な雲に覆われています。

 8月半ば、四日間に渡り大雪山パークボランティアの方々と旭岳周辺で「セイヨウオオマルハナバチ」の防除活動を行いました。
 セイヨウオオマルハナバチ(通称セイヨウ)はヨーロッパ原産のマルハナバチで黄色と黒のモコモコの体毛と、真っ白いお尻がトレードマーク。
北海道の庭先ではよく見慣れたハチです。

【捕獲したセイヨウ 花粉ダンゴあり】

 セイヨウはマルハナバチの中でも一番体が大きく素早いですが、本来は大人しい性質なのでセイヨウから襲ってくることはあまりありません。
 ハチは花粉媒介者としては自然界では重要な役割を果たしていますが、セイヨウは受粉をせずに花の基部に穴を開ける「盗蜜」をしたり、
在来バチの巣を乗っ取ったり、在来バチとの交雑により在来バチの生息数が減るなど深刻な被害を及ぼすために環境省では平成16年にセイヨウを特定外来生物に指定し、
環境省・パークボランティア・関係団体・バスターズの方々と防除活動を行っています。
 
 今回、四日間で捕獲したセイヨウは旭岳姿見園地付近では13頭、温泉街で2頭。
 セイヨウが大雪山に定着しているのは知っていましたが、実際に自分が捕獲したときはやはりショックでした。
 
 セイヨウの防除と共に、在来バチのモニタリングもしましたが花びらが柔らかくなったエゾオヤマノリンドウに潜り込んで蜜を吸っている在来バチや、花粉を付け過ぎて飛べなくなっている姿を見ていると、お花と蜂とがお互いに助け合って共存している自然のサイクルに改めて感動します。
 そして、このサイクルが狂うきっかけになった殆どが何らかの要因によって人間の手が加わってしまったからです。

【セイヨウの大好物 エゾオヤマノリンドウの“盗蜜”をしたらしき跡】

 外来種駆除は地味で地道な活動が必要です。成果を上げると嬉しい反面、定着している事実にショックを受けます。
 セイヨウに関しては北海道のバスターズに登録すれば国立公園内の山岳地帯での駆除も可能なので興味のある方は登録をしてみては如何でしょうか?
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/alien/seiyo/basutazu.htm
【↑北海道セイヨウオオマルハナバチ・バスターズ募集のURL】

 そして、もしセイヨウを見つけて虫取り網をかぶせる時も、お花を傷つけないよう優しく網をかぶせてくださいね。でも素早さは忘れずに!

 今回のセイヨウ防除に参加してくださった会員の皆様、そして複数回に渡って参加してくださった方々、ありがとうございました。これからも大雪のセイヨウ防除活動にご協力をお願いします!

【目を皿のようにして観察します】

 日暮れが早くなり、山の上はエゾツツジの葉やナナカマドの実が色づきはじめています。
昨夜、今年はじめて鈴虫の鳴き声が聞こえ、私もつられて一緒に泣きたくなりました。
「まだまだ夏山に登っていたい……!!!」

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