ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2016年8月

13件の記事があります。

2016年08月05日【日高山脈】 コイカクシュサツナイ岳 ~登山調査報告~

えりも自然保護官事務所 近藤武

.........早朝にあがる旗......港を往来するトラック......浜の漁師......磯の香り.........

 

 こんにちは。えりも自然保護官事務所の近藤です。連日暑いですよねぇ~。えりもにもとうとう遅い夏がやってきちゃいました。えりもの夏といえば、コンブです。えりもはコンブのシーズン真っ盛りです。

 

 ここ日高地方のコンブは「日高昆布」です。北海道には「真昆布」「羅臼昆布」「利尻昆布」など、各地に特産のコンブがありますが、その生産地の近くには、コンブを育てる山があります。山から供給されるミネラルなどの栄養分が、沿岸の昆布を育てるのです。日高昆布は、自然豊かな日高山脈からの恵みなのです。

 

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 さて、前回調査を行った楽古岳に引き続き、今回はコイカクシュサツナイ岳(通称:コイカク)で行った調査をご紹介します。コイカクは、日高山脈中央部に位置する標高1,721メートルの山で、中部日高の中では比較的穏やかなシルエットを持つ山です。北には二百名山のカムイエクウチカウシ山、南には日高山脈最深部の1839峰が並び、アプローチや下山ルートとしてセットで登られることが多いですが、コイカクだけを日帰りで登る登山者も多いです。

 登頂にはコイカクシュサツナイ沢の遡行と急勾配の夏尾根を直登する必要があり、簡単な山ではありません。登山の際は、十分な準備と安全登山で挑戦してください。

 

 

koikaku1

 日高の山は沢登りから始まります。入山口から夏尾根まではコイカクシュサツナイ沢の遡行です。両岸の木に囲まれて青空がのぞき、期待に胸が膨らみます。夏尾根の取り付きからは、踏み跡をたどり頂上まで一直線に登っていきます。

 

 

koikaku2

 ...ですが、山の上は霧が濃く景色は微妙でした。(なので、写真少なめです。)

山頂からの景色はまた次回をお楽しみに!

 

 

koikaku3

 天気が悪くても山を楽しむ方法はたくさんあります。その一つが植物観察でしょう。お花を観るために山に登るという方にも、コイカクはオススメできる山です。稜線上に上がると、植物群落に出会うことができます。この日は、イワツメクサ、エゾノハクサンイチゲ、ミヤマシオガマ、ヒダカゲンゲ、ミヤマダイコンソウなどを観察することができました。自然豊かな日高山脈は、高山植物も豊かなのです。

 

 今年から始まる、「山の日(8月11日)」は、「山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する日」です。この機会に、日高に登り、日高昆布のおにぎりを食べ、日高の恵みに感謝をするのはいかがでしょうか。

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2016年08月03日夏の知床峠、目に映るのは外来種

知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎

 ついにやってきました8月!夏真っ盛り!

 皆さん、夏休みのご予定はしっかりと組まれているでしょうか?

 暑苦しい都会の夏とは異なり、知床・羅臼の夏は晴れていても薄らと雲がかかっていることが多く、涼しさを感じる日々が続いております。

 観光目的で沢山の方が訪れるこの時期、ほとんどの方が知床峠に足を運びます。知床峠からは知床最高峰である羅臼岳を目前にすることができ、日によっては大雲海や国後島を一望することができます。さらに、夜は手軽に星空を味わえる絶好の観光スポットとなっています。

眼下に広がる雲海と羅臼岳を望む(2016年7月撮影)                      羅臼岳と雲海

知床峠から眺める満点の星空。天の川もくっきり!(2016年7月撮影)                      夜の知床峠


 この知床峠へ向かう道、知床横断道路では意外と沢山の花が咲いています。エゾノリュウキンカやチシマノキンバイソウ、チシマフウロ、ミヤマキンポゲ、ミズバショウなどです。ウトロ側では湿地が道路沿いにあり、ミズバショウの群落が見られる箇所もあります。

 しかし、それらの花々より多く目にするのが外来種です。フランスギクをはじめ、セイヨウノコギリソウ、コウリンタンポポ、ヒトフサニワゼキショウなどが花の季節になると道路沿いや法面一面に花を咲かせます。

フランスギクによって覆われた法面(2016年7月撮影)                   法面を覆うフランスギク

 今年はヒトフサニワゼキショウの防除を実施しましたが、個体数が非常に多く、根絶が難しい状況です。

ヒトフサニワゼキショウの花と袋いっぱい防除したヒトフサニワゼキショウ(2016年7月撮影)       左)ヒトフサニワゼキショウの花    右)防除した袋いっぱいのヒトフサニワゼキショウ

 アクティブレンジャー2人では人員不足と思いますが、知床横断道路は歩行者用の道が非常に狭いため、安全を確保することが難しいだけでなく、最近では知床横断道でヒグマが頻繁に確認されていることもあり、人を集めて防除活動を行うことが難しい状況です。できる範囲で地道に優先順位をつけながら防除を続けていくしかありません。

道路沿いに現れたヒグマ。車との距離は10mほど。(2016年7月撮影)                   防除活動中に現れたヒグマ

     注意)大変危険ですので、写真の様にヒグマと遭遇しても車両を停車しないでください。


 羅臼岳や知床連山の登山道等に外来種が大量に入り込む様な事態は生じていませんが、海岸線など、人の利用が多い場所では外来種の侵入が多数、確認されています。

 知床の自然が次世代に受け継がれていくためにも、一人一人の行動が自然にどれだけ影響を与えるのか、考え、責任をもって利用していただけたらと思います。

 靴の裏をきちんと洗うことで、外来種の拡散、侵入の予防になります。できるところから心掛けていただければ幸いです。

※余談ですが、知床横断道路の知床峠から羅臼湖入口間においてスミレやシロスミレ、ヒオウギアヤメ、

 ホザキシモツケ等の在来種が確認されています。本来、この周辺はハイマツ、ダケカンバが群落を形成して

 おり、林床はササが繁茂している地帯であることから、彼らが生育するにはあまり好ましい環境とは思えま

 せん。もしかすると、彼らも外来種(地域移入種)なのかもしれません。

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生態系被害防止外来種リスト(環境省)↓

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/files/gairai_panf_a4.pdf


環境省が実施している防除活動↓

http://www.env.go.jp/nature/intro/4control/bojokankyo.html

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2016年08月02日夏休み!!子供スペシャルイベント開催しました☆☆

苫小牧 平 尚恵

みなさん、こんにちは。ウトナイ湖の平です。

 

7月30日(土)に開催いたしました「アクティブレンジャーのお仕事体験 in ウトナイ湖」についてご報告いたします。

 

この企画は子供達にアクティブレンジャーがどんな仕事をしているのか知ってもらうイベントで、今年で2回目のドタバタ企画です。

しかーし、暑さにも負けず、元気いっぱいゴミ拾いをしてきましたので、その様子をご覧ください。

 

■アクティブレンジャーのお仕事パート1:国指定鳥獣保護区でのゴミ拾い

導入として、救護員の山浦さんから、ゴミが原因で傷ついた野鳥の症例紹介をしていただきました。

釣り針がカモメの喉の奥に刺さった痛々しい写真もあり、目を覆い隠す女の子もいました。

ゴミの事故を頭の中でイメージすることが出来たら、いよいよ外へゴミ拾いに出発です!!

 

玄関では暑さのせいか階段の隙間から出てきていたシマヘビを発見しました。

怖がりながらも大喜びで写真を撮っている子供達。

北海道と言えど、都市部でヘビを見る機会はほとんどありませんので、みんな興奮していました。

 

さて、最初のゴミを発見したのは、最年少の小学2年生の男の子!!

タバコの吸い殻は手でも拾えるのですが、貸出しの"トング"を使いたいようで、必死にトングで挟もうとしています。笑 その姿がなんと可愛いことか。

ついに、トングに挟んだ吸い殻を高々と拾い上げると、取り囲んでいた参加者から拍手喝采!!

 

そしてこれが子供達に火をつけました。

ゴミを発見したと聞くと、猛ダッシュで駆け寄りトングでゴミ拾いの大攻防!!

中には靴を2つも拾った子や、長靴で水際まで行きゴミ袋を拾ってくれた子、自販機の下に裏に潜り込んで拾ってくれた子など、ほんの30分で、袋が2つもいっぱいになりました。

 

レクチャールームに戻り、ゴミによる海の汚染について野生動物の視点からまとめを行い、パート1は終了しました。

 

      ①:症例紹介  ②:シマヘビ発見!!

      ③:出発!!  ④:みんなで集合写真(ステッカーにしてプレゼント)

 

 

続いて、アクティブレンジャーのお仕事パート2:シマフクロウの保護活動

 

世界最大級のフクロウの仲間 "シマフクロウ" は北海道に約140羽しか生息しておらず、その数は少しずつ増えてはいるものの、まだまだ保護が必要な絶滅危惧種です。

  ※シマフクロウについて詳しくは過去の日記をご覧ください。

    人工飼育のシマフクロウ森へ帰る 第1章

    人工飼育のシマフクロウ森へ帰る 第2章

私がシマフクロウの概要を説明していると、後ろからなんとシマフクロウが登場しました!!

 

 

中には、センターで研修中の酪農学園大学の獣医学部の学生さんが暑さと戦いながら入ってくれています。

大木の洞の代わりとして掛けている大きな巣箱も登場し、世界最大級のシマフクロウの雄大さを感じてもらえた様子でした。

 

レクチャーの後は、シマフクロウ繋がりで、希少種の羽の洗浄作業をお手伝いしてもらいました。「とても貴重な羽なんだよ。」と説明すると、優しい手つきで羽についた汚れを綿棒で落としたり、洗浄したりして真剣に作業をしてくれていました。

この羽は「9月25日(日)の野生動物の救護セミナー」で私がシマフクロウの保護活動についてお話するときに、参加者の方に手にとって見ていただく予定です。

子供達は終始、楽しそうに作業をし、レクチャーを聞いてくれて、私もとても楽しい時間を過ごす事ができました。

予定していた2時間はあっという間に過ぎ、子供達もさぞ疲れただろうと思いきや、シマフクロウの巣箱に入ったり、着ぐるみを着てみたりと大盛り上がり!!

 

      ①:羽の洗浄方法を説明  ②:優しく綿棒で汚れを落とす

      ③:みんな真剣      ④:巣箱の中は結構広い

 

今回一緒にゴミ拾いをしてくれた子供達の気持ちを無駄にしないためにも、ゴミを捨てない事はもちろん、ゴミを見つけたら拾う事を習慣にしていただけると、とても嬉しいです。

いつまでも美しい地球の自然を、子供達にも動物達にも残してあげたいですよね。

ゴミを拾うと、とても清々しい気持ちになれる。

そんな1日でした。

 

 

【キーワード】

海洋ゴミ

釣り針@カモメ、レジ袋@ウミガメ

マイクロプラスチック

4R(リフューズ、リユース、リデュース、リサイクル)

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