2018年8月 8日
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2018年08月08日知床・羅臼の身近な植物4
知床国立公園 羅臼 宮奈光一郎
あっつい!7月のはじめ雨が多かった羅臼は、最終週に入りいきなり暑くなりました。せっかく涼しいところに来たのにと愚痴を零す方々を見かけるほどです。(そんなことを思ってこの記事を書いていたら急に涼しさが戻ってきました。8月に入り羅臼らしいひんやりとした夏が戻ってきています。最高気温は高くても25℃ほど。もはや秋とも思えてしまう日々が続いております。)
そんな暑い夏の日にはあまり出会いたくない植物がいます。
それがこちらの植物、皆さんご存知ハイマツです。トゲがあるとか刺激物を出すといったことはありません。問題はハイマツの周辺は非常に熱がこもるということです。ハイマツ帯の中に入るととにかく暑いのです。まだ風が冷たい季節はいいのですが、今の時期はどうにも避けたい気持ちが出てしまいます。
そんな夏には避けたいハイマツですが、他の生きものにとっては住み心地の良い環境を提供しているようです。今回はそんなハイマツの下で見られる植物を少しご紹介します。
こちらはイソツツジ。幾つもの白い小さな花を玉の様につける植物です。ハイマツに覆われて少し暗くなった林内でひときわ目立つ植物です。
写真左側に薄ピンク色をした二輪の花が目に付くでしょうか。こちらリンネソウです。「リンネ」はラテン語による二名法の発案者とされる、カール・フォン・リンネ(植物学者・瑞)を記念したものだそうです。ハイマツの下に密生して生え小さなお花畑をつくることもあり、一瞬、ハイマツ帯がオアシスに見えます。
最後はこちら。ミヤマフタバランです。少し見えにくいと思いますが、写真右手に三角形に近い形の葉っぱが2枚対になってついている植物です。夏のハイマツ下でひっそりと生えているランの一種です。見付けたときは宝物を見付けたような気持ちになります。
ハイマツの下に潜ると吹いていた風をほとんど感じなくなります。そのためかハイマツの中はいつも暖かい(暑い)です。気象が変化しやすい山の上ではハイマツが地面を覆うことで比較的安定した環境が生み出され、様々な動植物が生きていけるのではないでしょうか。
山に登られた時は是非、ハイマツの有るところと無いところの違いを肌で感じてみてください。
※イソツツジはすでに花期を終えていますが、リンネソウ、ミヤマフタバランは今が花期の盛りです。
-おまけ-
ミヤマフタバランの花
こんにちは、釧路湿原国立公園の渡辺欣正です。
今日の日記は、カヌーに乗って釧路川を2日間かけて巡視してきた報告。この夏、道内外からカヌーを積んで遊びに来られる方や、ガイド付きカヌーツアーを検討されている方に雰囲気が伝わったら嬉しいです。
さて、1日目は国立公園の最上流に位置する五十石カヌーポートから塘路湖キャンプ場までの約20km。景色の変化に富んだ私の一番好きな区間です。
10:00 五十石カヌーポートを出発。スタート地点へは、五十石橋の左岸側にある「カヌー乗り場」という看板に従って河川敷に下りると、ここに辿り着きます。出艇をして、しばらく川を下ると、釧路川の中では珍しい中州がいくつか現れ、どちらを進むか冒険心をくすぐられます。
11:00 さらに進んでいくと、茅沼の蛇行復元区間へ。私たちが立っている場所は、いったん直線化された河道を釧路湿原自然再生協議会による自然再生事業によって8年前の2010年に再びうねうねした川に戻した場所です。途中、川の上を渡るタンチョウやヤマセミ、カワセミにも出会いました。
12:30 茅沼カヌーポートで昼休憩を済ませ再出艇。釧路湿原の北側に位置するコッタロ湿原へと入っていきます。コッタロとはアイヌ語で「湧き水のある場所」。川の水に触れてみると、確かに冷たく(ここで沈はしたくないな...)と気を引き締めて流倒木をかわしていきます。
ところで途中のゴミ拾いは、巡視中の大事な任務のひとつ。これから下る方たちに「さすが国立公園の中を流れる川だな!」と思っていただけるよう川を綺麗にしました。
14:00 コッタロ-塘路を結ぶ車道1060号線と並走し始めるとスガワラカヌーポートに到着。少しストレッチをして休憩した後、直角に折れる左カーブを曲がると二本松の切り立った崖が現れます。ここから先の右岸側は、国立公園の特別保護地区。上陸は控えると共に、動物たちとの距離を保ちつつ観察を楽しんでください。
14:30 塘路湖へ行くためには、JR釧網本線の護岸が見えたら左から流れてくるアレキナイ川へ入ります。川を遡上できるのも、標高差のない湿原だからこその遊び方ですね。ここは水鳥の横断優先でカヌーは一時停止。
15:00 約1.5kmのアレキナイ川を漕ぎ上がると、いよいよ今日の目的地。
塘路湖に出ました!!
釧路川標茶観測所 水位:18.97m
(2日目につづく)