2018年11月 8日
2件の記事があります。
2018年11月08日知床海岸清掃
白石海弥
朝や夜は冷え込み、気温が1桁になることが増えてきた知床・ウトロ側です。ギリギリまでストーブを我慢するこの時期がほんとに寒いです。四季の中で一番寒いんじゃないかと個人的に思っています。
さて、今回は知床の海岸清掃に参加してきました。世界中で問題になっている海洋ゴミ、知床でも同じ問題を抱えています。今回の清掃作業は、関係行政機関と地元住民ボランティアで行われているもので、多くの方がボランティアに来てくださいました。総勢50名での作業になります。
天気は快晴!とはならず、あいにくの悪天候。悪天候というより荒天に近かったです。風がとにかく強く、途中から雨も降ってきました。目的地に着くころには雨は止んでくれましたが、風がちょうど吹き抜ける地形で猛烈に吹いていました。
注意事項等を聞き作業開始です。
主に拾うのはプラスチックごみなどの燃えるゴミ。海岸には漁具やペットボトル、流木など多くのものが流れ着いていますが、今回は人の手で拾えるゴミだけを拾っていきます。
協力してゴミを拾います。どんより重い雲が、後にどしゃぶりの雨を連れてきました。
海岸に溢れかえるゴミたち。漁具やプラスチックゴミが大半です。
荒天のため早めに切り上げましたが、2tトラックいっぱいになるまでゴミを拾えました。
皆さまお疲れ様でした。
知床は美しい景色が広がる場所ですが、こういった負の面もあります。今回はざっと2tほど拾いましたが、知床の海岸線にはまだまだゴミがたくさんあります。拾っても拾ってもまたどこからかゴミが流れ着いてしまいます。皆さんに知床がこういった問題を抱えていることが伝わり、少しでも関心を持ってくれたら嬉しいです。
海洋に浮かぶ、もしくは漂着したゴミは自然や野生動物に多大な影響を及ぼします。時には動物たちを殺します。今日では、ひたすら拾っていくことしか対応策が無いのが現状ですが、少しでもゴミが減るよう、ポイ捨てをしないことを心がけてください。
環境省ではプラスチックゴミ削減のため、レジ袋を有料化するなどの対策を講じていく方針が定まりました。HPもできましたのでご覧になって頂ければと思います。
皆様、こんにちは、上川自然保護官事務所の岩城です。
今年は、11月に入っても暖かい日が続き、北海道での初雪は30年ぶりに遅れています。
このまま11月10日までに道内で初雪が観測されなければ、1886年以来132年ぶりの遅さとなるそうです。
冬の準備がまだの方は、もうしばらく余裕があるかもしれませんね。
さて、今回のAR日記は、9月10~12日の行程で巡視に行ってきました沼ノ原の現状を皆様にお伝えします。
沼ノ原へ行くには、クチャンベツ沼ノ原登山口から入山するのが一般的です。
しかし、平成28年7月の大雨で登山口に通ずる林道が崩壊し通行止めとなったため、現在沼ノ原までは別ルートを使って行くしかありません。
そこで今回の巡視時は、高原温泉から緑岳へ行き、高根ヶ原を直進し、
忠別岳避難小屋で1泊し、翌日、五色岳へ登り、沼ノ原へ下りていく行程としました。
通常クチャンベツ沼ノ原登山口から登れば、2時間~2時間半かかるところ、
高原温泉から入山すると沼ノ原までは約13時間を要します。
巡視初日、天気は曇り空。気温は平年値より高めで巡視にはちょうど良い天候での出発となりました。
緑岳山頂直下のガレ場ではナキウサギに出逢え、高根ヶ原からは沼めぐりコースの沼も見ることができました。しかし、秋の天候は変わりやすく、最初穏やかだった高根ヶ原も中間地点まで進むと、時折強い風が突き抜けるようになり、途中からは弱いながら雨も降り出してきました。
防寒着とカッパを着込み、初日の宿泊地となっている忠別岳避難小屋へ足を急がせます。
通り道の忠別岳山頂からはうっすらとトムラウシ山の上部を見ることができました。
一瞬見えたその姿は神秘的で荒々しく不思議な光景でした。
9時に高原温泉を出て、忠別岳避難小屋へ到着したのは16時30分。
長時間の行程で疲れ切っていたので、初日は夕食を取った後、すぐに就寝。
翌朝は寒さで目が覚めるまでは熟睡できました。
2日目、外に出ると雲一つ無い晴天。
最高の巡視日和です。朝6時に避難小屋を出発し、五色岳へ、そこから徐々に標高を落としながら
沼ノ原へ向かいます。
五色岳へ伸びる登山道の脇では放射冷却によってウラシマツツジなどに霜がおりていました。
また、途中にはヒグマの痕跡が。。。
五色岳山頂まで来ると正面には昨日の姿とはまったく違ったトムラウシ山がありました。
右手トムラウシ山を見ながら沼ノ原へと進みます。ここから先の登山道は木道で整備されている部分が多く歩きやすい歩道です。五色の水場付近では登山道の荒廃や洗掘が進んでいる箇所もありましたが、登山道の状態は比較的良好な印象を受けました。
反面、歩道上を行き交う登山者が大幅に減少した影響で登山道脇の蟻の巣をヒグマが掘り返した形跡や、ササの成長が著しい箇所などがありましたが特に問題になるレベルではありませんでした。
山頂から約3時間で久しぶりの沼ノ原へ到着。
沼ノ原まで来ると前方には石狩岳連峰がどっしりと構え、右手には満水状態の大沼がありました。晴天にもかかわらずここまでの道のりで他の登山者と遭遇することはなく、
沼ノ原は静かな楽園のように静寂の中に。そこはとても贅沢な空間となっていました。
今回の巡視の終点地点はクチャンベツ側の沼ノ原入口までです。終点地点まで登山道などを確認し巡視は無事に終えることができましたが、業務はまだ終わっていません。
ここから来た道をまた1日半掛けて戻らないと終わらないのでした。
沼ノ原を視で巡った記録はここまで。
次回のAR日記もお楽しみに。