2019年2月12日
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2019年02月12日サロベツ子どもパークレンジャー 冬も元気です!
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子
インフルエンザの大流行に巻き込まれそうになったサロベツの青山です。
寒い日が続いていますが、しっかり春の気配も近づいてきている気もする、今日この頃です。
数年に1度の寒波が来る前、とても天気の良かった2月2日は「世界湿地の日」!
それに併せ、サロベツでも子どもパークレンジャーの活動でスノーシュー散策を行いました。
そもそも、子どもパークレンジャー(JPR)とは?
環境省レンジャー(自然保護官)と一緒に国立公園などにおいて、自然観察や自然解説による自然環境学習などを小・中学生に体験してもらうプログラムです。
サロベツでは、昨年の6月から小学生を対象として始動し、今までに5回の活動を終えており、今回は、今年度最後の活動となりました。
更にスペシャルな事に、サロベツと同じく日本最北のラムサール条約登録湿地クッチャロ湖で日頃活動している、浜頓別町の「ジュニアガイド」の子どもたちとの交流を兼ねた活動でもありました。
浜頓別から1時間ほど車に揺られてやってきた7人の子どもたちを加え、19名の子どもたちでとても賑やかになった活動の様子を、ご報告します。
まずは、お互いがどんな地域でどんな活動をしているか、それぞれの紹介から始まりました。
左が浜頓別町の子どもたち、右がサロベツのこどもたちです。
その後、地域ごちゃ混ぜの2チーム、野生動物を探す班と植物について調べる班とに分かれました。そして、スノーシューをつけて、いざ森へ出発です!
この森は、湿原のとなりにある森で、雪がある今だからこそ入っていける場所です。
迷子にならないよう、みんな同じ道を辿ります。それぞれの指令を気にしながらも、遅れないようにガシガシ進んでいきます。
雪がのっているだけで、景色はとても変わった物に見え、これは何かと、至る所でみんな覗き込んだり、つついたりしていました。
これは、根っこごと倒れた木を根っこ側から見えている図です。
そして、森の奥では、ミズナラの巨木にも出会いました!
ぱっくりと大きな洞がありますが、悠々とした枝振りをしていて登りたくなるどっしり感があります。
この森では、昔木を切っていたそうなので、そんな時代も生き抜いた、この森の主でしょうか?
そんな巨木のパワーを感じつつ、近くでしばしの休憩タイムをとりました。
飲み物を飲むくらいで終わるのかと思いきや、
子どもたちのリュックからはお菓子がどんどんでてきます。さすがです。
飲み物をあったかくしてくる事しか考えていなかったお菓子ゼロの私にも、あちこちからお裾分けを頂きました。みんなのやさしさと甘さにほっこりしました。ごちそうさまでした。
休憩の後は、今年の湿地の日のテーマ「湿地と気候変動」にちなみ、
今年の積雪量は例年と比べてどうなのか、写真を見比べてみてから、実際に雪を掘ってみました。子どもたちも交代で掘り進め、ササに到達!
森の中での積雪量は80㎝ほどだとわかりました。積雪量としては、昨年度の2月2日の豊富町の積雪量とほぼ同等です。昨年よりも雪が少なく感じていましたが、最近の吹雪などで盛り返してきているのでしょうか?
更に、冬山経験のある有山首席自然保護官が、雪の断面をきれいにして見せてくれました。
そこには線のようなものがあり、雨が降った跡など、天気の状態を雪から読み取れることを教わりました。
雪の様子もわかったところで、あとは来た道を辿って戻ります。
お昼もチームで食べ、午後からは指令の総仕上げとして、森で見てきた物を体で表現してもらいます。
何を、どう表現するか、机を離れてみんなで考えていました。
一つだけ紹介すると、
植物班が森で見つけたものを体で表現したこちら↓は、何を表現したものでしょうか?
正解は、
「幹にからみついた蔓」を表現したそうです。
力作ですよね。しかも楽しそうです♪
子どもたちの印象に残ったものや、気になったもの、表現の仕方など、私達の想像を超える時があり、毎回とても驚かされます。
みんなの中で、何か一つでも持ち帰ってもらえるものがある活動になっていれば嬉しい限りです。
そんな感想を期待して、新聞記事形式に個人の感想や見た物などをまとめて書いてもらい、終了しています。今回も無事に、みんな任務完了となりました!
お疲れ様でした。
一見静かな森ですが、よく観察すると、とても賑やかな気がしてきます。
そして、更に、
カラフルな子どもたちに彩られて、白一色の景色が一気に鮮やかに華やぎました。
ワイワイ言いながらも、子どもたちは、様々な物を見つけ、記憶して戻ってきていました。
ガシガシ歩きながらも、浜頓別町の子どもたちとサロベツの子どもたちは交流していました。
歩き疲れ、お昼を食べて、午後は疲れ切ったかと思いきや、自分達の力で発表内容や方法を考えていました。
子どもたちはすごいです!
そして、冬の森は楽しいです!
サロベツでのJPRは今回で、今年度の活動すべてが終了しました。計6回で延べ77名の小学生にご参加頂きました。ご参加頂いたみなさん、ありがとうございました。
また、機会があれば、国立公園や鳥獣保護区で一緒に楽しみましょう♪
みなさまこんにちは。
釧路湿原自然保護官事務所の佐野です。
北海道では、大雪が各地で度々降り、公共機関が大幅に乱れるなど生活に影響が出ている地域もあります。
そんななか、釧路湿原では快晴の日が続き、今年に入り一時は積雪もほとんどなくなり、道路はもちろん、畑などでも地面が顔を覗かせていました。
昨年も、積雪量が少なく歩くスキーで巡視をする事が出来なかったので、今年こそは!っと張り切っていたのですが、まさかの積雪量が少なく、先月の巡視では秋頃と変わらぬ装備でした。
1月に巡視した場所の様子(雪がほとんどありません)
すっかり私の中で、寒さは厳しいものの、雪はもう降らないかもと、2月5日の釧路湿原鳥獣保護区内の巡視もスノーブーツで大丈夫かなと気を抜いていると...
前日2月4日に珍しくまとまった雪が降り、朝からあせあせと釧路湿原野生生物保護センターの除雪を行い、明日の巡視に向けてスノーシューを準備!(今回は歩くスキーではなくスノーシューをチョイス)
翌日、天候に恵まれ快晴と最高の巡視日和。この日は、釧路自然環境事務所野生生物課の若手のホープ2名と釧路湿原鳥獣保護区内の巡視を行いました。普段は、釧路湿原ボランティアレンジャーの皆さんや先輩アクティブレンジャーと行なっていて、いつも先導してもらっていました。
今回初めて、自分自身が先導する事となり、極度の不安と緊張を胸に秘めながら、スタートしました。するとスタート早々にアクシデントが発生。スノーシューが、まさかの破損で使用できず、途中膝上まで雪に埋れながら進む事態も...
巡視の様子
いつもであれば1時間半もあれば目的地点にたどり着くところ、2時間半近くかかってしまいました。
登り終えた所で一休憩
巡視中、普段はあまりオオワシやオジロワシを観ない地点に複数羽おり、なんだろうと思っていると、ほどなくカラスがたくさん群がっている場所を発見しました。双眼鏡で覗くと、エゾシカの死体に集まっていました。
赤丸:カラスの群れ 黄色丸:オオワシ
上記写真拡大図(赤丸部分)
上記写真拡大図(黄色丸部分)
これに誘引されてワシ達もいつも以上にいるのだと納得しました。動物の行動が変化に気づかせくれました。
私たちをみつめるオオワシ
また、丘陵地の根元付近や湿原内には湧水が流れている場所がいくつもありました。この湧き水は一年を通してほぼ同じ水温なため、冬も凍りません。極寒のなか、野生動物達にとってこの湧き水は貴重な生命源!
湿原へ流れる涌き水
巡視終了目前、一羽のカラスが私たちの横を通過し、通り過ぎた後、鳴きました。
全員立ち止まり、なんだ、あの鳴き声は!と耳を傾けました。それは、鳴き声が特徴的なワタリガラスでした。ワタリガラスはカラス類の中では最大の大きさですが、単体を一瞬見ただけでは、馴染み深いハシブトガラス・ハシボソガラスとほぼ変わらない鳥です(ハシボソガラスとワタリガラスが一緒にいると一目瞭然です!)。このワタリガラスはユーラシア大陸全域や北米大陸に生息しているのですが、北海道では主に道東を中心に冬鳥として渡ってきています。
今年もワタリガラスの声を聞くことができ、嬉しい気持ちになりました。
巡視は無事?終了し、鳥獣保護区内での異常は特にありませんでした。
今回は、天候も荒れず怪我も無く終える事ができましたが、道具の不備などは、怪我や事故に繋がる危険があり、日頃より道具の確認、メンテナンスをしなければと深く反省しました。
みなさまも冬山に限らず、自然界に遊びに行く際は、油断せず、道具や装備、服装など万全に、大自然を満喫しましょう!