2020年3月
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2020年03月03日流氷、やってきました!
知床国立公園 ウトロ 小泉尚也
こんにちは。ウトロ自然保護官事務所の小泉です。
やっとウトロに冬の風物詩の流氷がやってきました!例年流氷は1月の下旬に来ますが、今年は2月10日に接岸しました。私は初めて流氷を見たのですが、上から見ると圧巻です。流氷が来るまでは波打っていた海も波一つ立たず、大海原は雪原になり、静寂に包まれています。
(プユニ岬からの流氷)
さてそんな知床では、流氷を楽しむことのできるアクティビティーがあります!
様々なアクティビティーの一例では、流氷の上で歩いたり、流氷の隙間から海に入ることができる『流氷ウォーク』があります。
安全管理に配慮し、ガイドさん同行のもと水が入ってこないドライスーツを着て、流氷の上を散策できるのです!
運が良ければ、流氷の妖精クリオネに出会える可能性もあるのだとか、、、
これは知床でしかできない流氷アクティビティーなのではないでしょうか?
(流氷ウォークを楽しむ人たち)
※流氷は風により沖に流されることがありますので、適した装備・ガイドさんの同行なしに流氷の上に乗るのは大変危険です。絶対にやめましょう。
流氷の到来を待ちわびていたのは私たち人間だけではありません。野生動物も待ちわびていたようで、私たちが行っている海ワシ調査では、流氷が到来して以降、海ワシの飛来数が多くなり、カウント数も2月26日の調査では140羽になりました。
(流氷上にとまるオオワシ)
流氷がやってくると氷同士がぶつかり、魚が動きづらくなり、エサが採りやすくなります。そのため木の上にとまっている海ワシは少なくなり、ほとんどが流氷の上に降りています。
流氷は溶けるときにも恵みをもたしてくれます。流氷はロシアのサハリン北東部からシベリアの冷たい季節風に当たることによって徐々に大きくなり、北海道のオホーツク海までやってきます。その流氷が運んでくる植物プランクトンによって、知床の海が豊かになるのです。やはり流氷は知床の生態系にとって欠かせない存在のようです。
2020年03月02日冬の洞爺湖であそぼう!~スノーシューハイク&自然観察~
支笏洞爺国立公園 洞爺湖 増田 多美
皆さまこんにちは。
洞爺湖管理官事務所の増田です。
まだまだ寒い洞爺湖ですが、陽射しが暖かい日もあり春がそこまで来ているなぁと感じます。
さて、2月22日(土)に「支笏洞爺国立公園指定70周年記念 冬の洞爺湖であそぼう!~スノーシューハイク&自然観察~」を開催しましたので、その様子をお知らせしたいと思います。
この行事は冬の洞爺湖に焦点を当て、自然と親しみ、自然の多様性を学ぶ場を提供できたらいいなと企画しました。
まずビジターセンターに集合した後、金比羅山へと出発します!
金比羅山のゲート付近ではタヌキのつがいがお出迎えしてくれ、参加者さんも「可愛いねえ」とホッコリしていました。
観察会では動物の足跡や食痕、樹木などの解説を聞きながら旧展望台に向かいます。
(↑テンの足跡の解説中) (↑「跳び箱の跳び方をするのはウサギとリスだよ」)
(↑進んでいくと木の種類が増える。桜の木がいっぱい!) (↑キツネがエサを探した跡)
途中坂を滑り下りたり、木をかじった動物は何かみんなで考えたり、オジロワシを観察したり...
冬は寒いので家に引きこもりがちになりますが、冬の洞爺湖も魅力が満点です。
冬の洞爺湖の楽しさをみんなで共有できたかなと思います。
皆さまこんにちは。
洞爺湖管理官事務所の増田です。
洞爺湖管理官事務所では洞爺湖中島のエゾシカ対策を行っていますが、2月25日(火)に中島のエゾシカ追い出し調査を実施しましたので、その様子をお伝えしていきます。
さて、この洞爺湖の真ん中にある島(中島)どんな島に見えますか?
緑豊かな島?そんなに緑豊かじゃない?どんな生きものが住んでいる?
この島にはエゾシカが生息しています。
元々観賞用に飼育されていた3頭が逃げ出し、ピーク時には450頭前後のエゾシカが中島に生息していました。
それにより、たくさんの植物が生えていそうに見える中島ですが、エゾシカが食べない植物しか生えていません。また、シカが木の皮を剥いでしまうと木が枯れ、鳥が暮らしていけなくなります。
シカは植物に影響を及ぼすだけでなく、植物の変化を通して他の動物にも影響を及ぼします。
今回の調査の目的は、そんな洞爺湖中島のエゾシカの個体数変動を追跡し、シカと森林植生との相互関係を解明するための基礎データを得る!です。
まず追い出し調査の方法ですが、島を西山、北山・北東岬、東山・南陵の3つの区画に分けます。
各区画において、勢子(エゾシカを追い込む役割の人)が島の内陸側から尾根へ登り、尾根上に隊列を組んで湖岸にシカを追い出します。
勢子はその時に見たシカの頭数、群れの構成、発見時刻などを記録します。
同時に小型船舶を用い、湖上からも同様に記録していきます。
弁天島・観音島・饅頭島は湖上観察はせず、勢子が観察したシカを記録します。
今年はスノーシューを履くほどでもないけど、斜面によっては雪が多くて歩きにくかったり、雪が少なく泥だらけになっているチームもありました。
私のチームは無線が通じにくい場所だったため、お互いの位置を確認するのに苦労しました。
丸一日かけて洞爺湖中島のエゾシカの追い出し調査をした結果、速報値ではありますが、
合計86頭のエゾシカが生息していることが確認できました。
ピーク時に比べかなり数が減ったなと思いますが、まだまだ多いですね。
本来の自然豊かな中島に戻れるよう、これからもエゾシカ対策を続けていけたらと思います。
ちなみに...
シカの好みが変わったのか、シカが食べないと言われているフッキソウを食べた痕を見つけました。