ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年7月 9日

2件の記事があります。

2020年07月09日サロベツの車窓から~野生動物を観察~

利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子

青い空に白い雲、海岸線のエゾニュウの群落に、少し強いくらいの風がちょうど良く感じる今日この頃。

ここ最北でも "夏"の到来を実感している、サロベツ担当の青山です。

外に出掛ける機運も高まるこの季節。

道道106号線(通称オロロンライン)の稚内市から幌延町区間には、信号機が1基しかないことも相まって、ついつい先を急いでしまいがちです。

しかし、この道路は、野生動物を観察するにもおすすめの場所です。

71日、この通りを往復した際に出会った野生動物たちを紹介します。

オジロワシは、浜辺に佇んでいたり、悠々と空を舞っていたりなど、季節を問わず目にすることができます。この時は、浜辺に2羽で止まっていて、写真を撮ろうと車から降りた所で飛び立ってしまいました。デートの邪魔をしてしまったのかもしれません。

どちらも繁殖のために渡ってくる夏鳥です。

サロベツで多いのはカワウですが、特定までは至りませんでした。V字編隊で移動する姿をよく見かけます。

また、道路横で獲物を探し飛んでいるチュウヒと、並走する時があります。飛ぶスピードの早さにとても驚きます。

※鳥に夢中になり走るのは危険ですので、観察する際は安全な場所に停車してから観察して下さい!

本来ならばシベリアなどに帰っているはずですが、たまに残留組がいるようです。

残留しているハクチョウやオオワシなどが、ケガなどで保護されることもよくあります。そのため、様子を観察しましたが、この時はエサを探している様子も見られ、元気そうに見えました。後日再度探しましたが姿はありませんでした。

無事に夏を越えてくれることを願います。

事故にあってしまった姿もよく見かけることがある2種です。

キタキツネは巣立ちした若い子がうろうろしている姿を、

エゾシカは、袋角を携えて群れで行動している姿をよく目にします。

※北海道を運転される際は、くれぐれもご注意ください。

別の日ですが、とてもラッキーな出会いがあったのでご紹介します!

サロベツでもここ数年、繁殖のためやってくるタンチョウが増えてきています。

それでも、お目にかかれるのはとてもラッキーです。

この日は2羽でいて、鳴き声も聞くことができました♪

また別の日、少し色の変わったタンチョウだな~と思っていたら......

クロヅルだった事が判明!

繁殖地への移動中にたまたま立ち寄った所に出くわしたのか、本当にラッキーでした♪

これらは全て、車窓から出会いました。

出会いにあふれた道路沿い、スピードを出して一瞬で通りすぎるにはもったいないと思いませんか?

安全運転を心がけ、ゆとりを持った運転と、他車に迷惑のかからないよう注意しながら、

北の大地で生きている野生動物たちとの出会いを、逃さず見つけてみてください!

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2020年07月09日四十三山(よそみやま)とは?

支笏洞爺国立公園 小松瑠菜

初めまして!

4月から洞爺湖管理官事務所のアクティブ・レンジャー(以下;AR)に着任いたしました、

小松 瑠菜(こまつ るな)と申します。

これから支笏洞爺国立公園(羊蹄山・登別・洞爺湖周辺)の美しい自然やイベント等の情報を

発信していきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

(支笏湖・定山渓周辺につきましては、當山ARのAR日記をのぞいてみてくださいね☆)

さて、早速ですが、記念すべき第1回の投稿を飾るのは「四十三山(よそみやま)」です☆彡

 「なんで四十三山?!洞爺湖じゃないの?!」と思った方もいるでしょう。笑

なぜなら、四十三山は私が初めての野外業務を担当した思い出の山だからです♪

 実はこの四十三山、2009年8月に日本初の「世界ジオパーク」として登録された

「洞爺湖有珠山ジオパーク」のエリア内なのです!

ジオパークとは?

地球(ジオ)を楽しむ自然公園です。

地形・地質学的にも重要で価値のある場所を保護・保全しながら、ビジターセンターや

展示施設・自然観察路、解説看板やガイドブックを通じて教育や観光に活用しています。

洞爺湖有珠山ジオパークはユネスコが支援する世界ジオパークネットワークの一員です。

(小冊子:洞爺湖有珠山ジオパークガイド01『四十三山(明治新山)ルートを歩く』

著・宇井忠英、岡田弘、加賀谷仁左衛門)より

 四十三山の名前は、1910年(明治43年)の有珠山噴火の際に誕生した山であることから、

命名されました。別名・明治新山とも言うみたいですよ♪

 噴火直後は不毛の地であったこの山は、110年の時を経て、こんなにも緑が回復しました♪

 四十三山開通の際、パークボランティアさん(以下;PV)と一緒に、

看板の清掃作業、倒木の撤去作業、登山道の整備などを行っています!

 四十三山では、他にもPVさんたちと一緒に、ゴミ拾いや草刈り、

金比羅山(噴火後20年経過)と四十三山(噴火後110年経過)の植生の違いを調査しました☆

【4月に観察した植物】 @四十三山

【6月に観察した植物】 @四十三山

 今回、見つけることは出来ませんでしたが、他にもフクジュソウ、コハコメ、ツルアジサイ、

カンボク、ニセアカシア、コメツブウマゴヤシ、オオイヌノフグリなどのお花も、

この時期の四十三山で見ることができるようです♪

樹種はミズナラ、ホオノキ、ハリギリ、エゾヤマザクラ、トドマツ、オオカメノキ、アズキナシ

などを見ることができました!

場所によっては陰樹も数多く生育しており、遷移を確認することができます!^^

樹種も安定しているようです♪

【6月観察した植物】 @金比羅山

 写真にはありませんが、このほかにもノラニンジン、シロツメクサ、アメリカオニアザミ

などのお花が確認できました!☆

きれいなお花がたくさん咲いていますが、実はこれ...外来植物も多いんです...;;

遷移が移りゆき、植生が回復する中で、外来植物も入り込んでしまうんです。

そのため、PV活動で要注意外来生物であるアメリカオニアザミの駆除活動を行いました!

 樹種はヤナギ、ニセアカシア、ドロノキ、カラマツ、シラカバ、カツラ、タラノキ、アキグミ、カエデ、

ホオノキ、ヤマグワ、ミズナラ、ハリギリ、ミズキなどが見られました!

こちらは、一時遷移が始まってまだ20年しか経過しておりませんが、

ここまで植生が回復していることに驚きました...!

火口付近はまだ裸地が多く見られますが、ヤナギが優先して生育しており、

シラカバなども確認できました!☆

 皆さまいかがでしたか?

金比羅山は1時間、四十三山は2時間程度で登れるお手頃な山です♪

フットパスも整備されているため、日帰りでサクッと登って、

帰りは有珠山の恵みである洞爺湖温泉に入ることもできますよ☆

 ※令和2年7月8日現在、周辺でクマの目撃情報が相次いでいるため、

閉鎖しているフットパスがございます。ご注意ください。

植生の遷移をこんなにも間近で感じられるのは、"火山があるから"こそです。

『火山』 は人間生活に支障をもたらすイメージが大きいですが、

その分大地に与える 『恵み』 も大きいです。みなさんも一緒にその魅力に浸ってみませんか?♪

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