ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年7月14日

3件の記事があります。

2020年07月14日松仙園開通

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

こんにちは大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

大雪山も残雪が溶けて、あちこちで花が咲き始めました。

今シーズンの始まりは新型コロナウィルス感染症の流行だと思いますが、昨年迄とはうって変わって、大雪山は静かな山開きとなりました。

そんな状況の中、7月14日に松仙園ルートが開通しました。

2006年から通行止めになっていた松仙園ですが、上川町や地元の山岳会の熱い要望を受けて再整備が始まり、14年ぶりの復活となりました。

木道が敷いてある沼地からは、見た目はそんなに古くないように見えますが樹齢数百年のアカエゾマツの木を見る事ができます。強い風の影響で傾いたり曲がったりしている仙人のように年老いた老木が、松仙園の名前の由来なのかなと思いました。

そして、ここでは発達したケルミ・シュレンケ複合体を見る事ができます。

凸地をケルミ、凹地をシュレンケといいます。常に一体となって形成されるので、ケルミ・シュレンケ複合体と呼ばれます。

水はけの良い場所と、水たまりになりやすい場所で違った植生が見られることが、ケルミ・シュレンケ複合体の特徴です。人為的な影響のほとんどない形で残されているのは、大雪山の中でもここだけです。

晴れていれば愛別岳から旭岳まで綺麗に見えます。

紅葉時期もかなり綺麗な景色が期待できますね。

登山道は大雪山グレード4『大雪山の厳しい自然に挑む登山ルート』となっていて、しっかりとした装備が必要です。植生保護のため登り一方通行、ヒグマの生息地、整備は最小限度の険しい登山道など、「誰でも気軽にどうぞ」とはとても言えませんが、

ルールを守れる者のみが立ち入ることができる特別な場所なのではないでしょうか。

松仙園 登山道利用案内

↑松仙園ルートの登山を考えている方は必ずご覧ください

松仙園登山の帰りは大雪山の秘湯愛山渓温泉で決まりです♨

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2020年07月14日然別湖でウチダザリガニ集中防除

大雪山国立公園 上士幌 上村 哲也

 76日(月)~10日(金)然別湖において、鹿追町、大雪山国立公園パークボランティアとともに特定外来生物ウチダザリガニの集中防除を行いました。

 然別湖のウチダザリガニは1993年ごろ南西部の湖畔温泉付近で最初に目撃されて以来、急速に生息域を広げ、2014年ごろまでには全周に及んでしまいました。ウチダザリガニの生息域拡大とともにバイカモなど十数種も観察された水草が徐々に失われ、今や北岸の一部に残るのみで風前の灯です。ニホンザリガニは2002年を最後に観察されていないといわれています。

 然別湖にはオショロコマの亜種ミヤベイワナが生息し、産卵床がある流入河川へウチダザリガニが侵入しないか影響が懸念されています。

 餌を仕掛けたカゴ罠を然別湖全周の岸辺に沈めます。多くは鹿追町がボートで作業しますが、船が近づけないところをパークボランティアが担当します。

 翌日から捕獲したザリガニを回収し餌を追加して再投入。これを金曜日まで繰り返します。捕獲したザリガニは、体長を計測し、雌雄、抱卵、ハサミの欠損を観察して集計します。生態解明の資とします。

 毎日、サンテナに4、5箱分の捕獲が続き、12,996尾を駆除しました。集計を担当された鹿追町さんお疲れ様でした。

 ところで、カゴ罠を仕掛けるだけの1日目は、然別湖畔にある南ペトウトル山登山口近くで北海道指定外来種イワミツバの防除に取り組みました。イワミツバは登山口に近い舗装道路の脇に30mほどに渡って生育しています。根絶するには張り巡らされた根ごと掘り取らなければなりませんが、湿った土のほかに砂利の混じったところもあって難しい。今回は可能な限り根ごと抜取り、それが難しい場所は広がった茎や葉を引きちぎりました。まだ、ごく狭い範囲に生育しているので、大きく広がらないうちに食い止めたいところです。

南ペトウトル登山口でイワミツバ防除

南ペトウトル登山口でイワミツバ防除

然別湖北岸でかご罠を投入

然別湖北岸でかご罠を投入

雌雄の別、抱卵などをカウント

雌雄の別、抱卵などをカウント

どんどんたまるウチダザリガニ

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2020年07月14日支笏湖地区パークボランティア活動開始!

支笏洞爺国立公園 當山真貴子

曇り・雨・霧でスッキリしない天気が多い支笏湖。

その中で晴れの日があると、何気ない風景でも、つい写真を撮ってしまう當山です。

さて、新型コロナウイルスの感染症の影響により、46月までは支笏湖地区のパークボランティア活動を自粛していましたが、感染予防対策を徹底した上で、7月から再開することとなり、先日(7/4)、パークボランティア研修会を開催しました。

午前の部は、外部講師(早稲田宏一氏)をお招きし、「ヒグマとエゾシカ」をテーマに、食べ物や糞の見分け方、1年の暮らし、移動範囲等の基本的な生態から専門的な内容まで丁寧にご説明いただきました。

質疑応答の時間では、特に熊鈴の効果、都市部に出没したヒグマ等の「ヒグマと人との関わり方」について、会員から多くの質問が挙がり、有意義な時間となりました。

ヒグマは気性が穏やかな個体もいれば、怒りっぽい個体もおり、一概にヒグマは「こういう性格である」と断定できないそうです。また、昔は狩猟が盛んに行われ、「人=殺される」という認識を持ったヒグマが存在していますが、今は狩猟をする人が少なくなり、稀に認識が薄れたヒグマも存在しているとのこと。

まずは、ヒグマは人間と同じで、各ヒグマの性質(性格)を知ることがベースにあり、且つ時代の変化も念頭に置きながら、「人が生活するエリアまで出没するようになった原因」と「防ぐ方法」をとことん追究していくことが、適正な付き合い方に繋がっていくのだと感じました。

 

午後の部は、支笏湖ビジターセンター職員さんによる解説方法で、「支笏湖の成り立ちや歴史」等について、詳細にお話いただきました。

支笏湖の水深を測るために、当初ルーカス深測器を使って91地点で調査したことや、

支笏湖の南側のエリアで苫小牧市が温泉の調査をしていたこと等、とても興味深い内容ばかりでした(^^)

まだ感染状況で不安定な部分もありますが、情勢をみながら、活動を進めていきたいと思います!

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