ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2020年8月

14件の記事があります。

2020年08月07日ウトナイ湖の夏2020

苫小牧 大久保 智子

こんにちは、野生生物課の大久保です。

夏のお出かけに、ウトナイ湖はいかがですか?

ウトナイ湖には、湖畔沿いと林内に散策路があり、風が涼しく過ごしやすい場所です。

湖では、羽を休めているカモやハクチョウを、林内では、小鳥や小動物を観察できます。


湖畔沿いの散策路では、もっとウトナイ湖を気持ちよく散策してもらえるように、

繁茂していたヨシ等の刈り払い作業を行いました。

これでより一層ウトナイ湖に親しんでもらえたらいいなと思います。


     あずまや          ハンノキのテラス   鳥獣保護区看板も取り替えました

作業を終え、テラスで休んでいると、上空にオジロワシが旋回していて、作業を労ってくれているかのようでした。今の散策路は、ピンクの穂先が散策路を華やかにしてくれるホザキシモツケが見頃です。

 

   ハンノキのテラス上空のオジロワシ                ホザキシモツケ

ウトナイ湖野生鳥獣保護センターではFacebookで自然情報をお伝えしています。ぜひご覧ください。

ウトナイ湖野生鳥獣保護センターFacebook

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2020年08月06日白雲避難小屋(建替中)

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

こんにちは!大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

大雪山を縦走する上でとても重要な拠点である白雲岳避難小屋ですが、今年の6月から建替工事が行われています。

今回は白雲岳避難小屋の歴史と現在の状況を紹介しようと思います。

白雲岳避難小屋は1954年(昭和29年)に建設されました。資材は現地で採取した石材を使って作った石室でした。その他の資材は旭岳温泉から人力で上げていたようです。

当時は旭岳ロープウェイも開通していなかったので、山麓から歩いて荷を上げたとするとかなりの労力だった事でしょう。

建設された後も、とても過酷な環境のため屋根が飛ばされたり、壁が崩れ落ちるなど、風雪の被害が多かったようです。

大雪山国立公園管理事務所に保管されていた古いスライドに、一枚だけ当時の記録が残っていたのでご覧ください。

【1969年9月23日白雲岳石室】

1976年(昭和51年)に新しく避難小屋が新設されました。

こちらも建設されてから40年以上が経過し、建物が傾くなど老朽化が進んだため、ついに建て替えられることになったのです。

【旧白雲岳避難小屋】

7月24日に建設中の白雲岳避難小屋の様子を調査に行った時の状況です。

建て替え工事中の為、工事資材や作業員の宿舎となるプレハブ小屋が設置されていて、

それらがテント場のほとんどを占領しています。

金土日祝日と休前日は利用できません。今年利用しようと思っていた方には不便をかけております。

新しい白雲岳避難小屋は、周辺の登山道の整備や維持管理の拠点としても活用していく予定です。

【白雲岳避難小屋基礎部分】

昼間の太陽の光に満ちた景色や植物も魅力的ですが、夕焼けや星空や、登った朝日に照らされる山々は宿泊しなければ見る事ができません。

完成した白雲避難小屋に泊まるのが今から楽しみです。

今年は白雲避難小屋管理人が情報を発信しているので、新しい情報はこちらで確認してください。在りし日の懐かしい白雲岳避難小屋の写真もあるようです。

<白雲岳避難小屋管理人のページへLINK>

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2020年08月03日速報 登山者カウンター集計

大雪山国立公園 上村 哲也

 新型コロナウィルス感染防止のため外出自粛が求められてきましたが、6月19日から都道府県をまたぐ移動について全国を対象に緩和されました。登山者カウンターを設置した4つの登山コースを対象に、登山者の動向を探ってみました。

 東大雪地域は、6月20日(土)と27日(土)、28日(日)にまとまった量の雨が降ったことからか、あるいは、おそるおそる活動を始めたからなのか、入山カウント数は3つの登山コースで前年に遠く及びませんでした。トムラウシ山温泉コースでは前年と同じでした。

 ぬかびら源泉郷のアメダスによれば、7月の4回の週末のうち2回が雨に降られましたが、31日間のうち降水が観測されたのは10日、5時間以上の日照が観測されたのは15日でした。まあまあ天候に天候に恵まれたといえるでしょう。

 7月、ニペソツ山幌加温泉コースと石狩岳シュナイダーコースで、昨年同月を上回る入山カウント数を計数しました。トムラウシ山短縮コースが伸び悩んでいるのは、百名山にも選ばれているトムラウシ山ですから昨年まで道外からの登山者が多くを占め、今年はまだ都道府県をまたいでの登山を控えているからでしょうか。最近は個人情報の取扱いに慎重なことから、森林管理署が設置している入林届にはお住まいを記入する欄はありません。私の拙い推測ではあります。

2020年 登山コースごとの月別入山カウント数 ※()括弧内は調査開始日とデータ回収日

登山コース名 5月 6月 7月 合計
ニペソツ山幌加温泉コース 13(30日から) 78 405(28日まで) 496
石狩岳シュナイダーコース 1(30日から) 4 176(28日まで) 181
トムラウシ山短縮コース 5(29日から) 39 861(31日まで) 905
トムラウシ山温泉コース 2(29日から) 14 40(31日まで)

56

合計 24 137 1482 1638

2019年 登山コースごとの月別入山カウント数 ※()括弧内は調査開始日

登山コース名 5月 6月 7月 合計
ニペソツ山幌加温泉コース 0(30日から)

206

326 532
石狩岳シュナイダーコース 0(30日から) 28 89 117
トムラウシ山短縮コース 0(31日から) 140 1078 1218
トムラウシ山温泉コース 0(31日から) 14 40 54
合計 0 388 1533 1921

 東大雪地域の山々は、登山口にロープウェイなどなく、多くは林道を詰め奥深いところから登山が始まります。一日に訪れる登山者の数は少なく、お互いに距離をとることを心がけて充分に密を避けることができます。清浄な空気に満たされた森林、花々や野生動物など自然を慈しみ、山頂や稜線からの展望を楽しんでどうぞ心身をリフレッシュしてください。

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2020年08月03日PV活動再開!浜勇知園地にて外来種除去

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 青山留美子

今年も、最北での日差しを浴びて、顔と手だけが黒々してきたサロベツ担当の青山です。

利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティア(以下PV)の活動も、4月中旬から全て中止になっていましたが、7月より活動を再開しました!

715日(水)、稚内市内の高校で理科の授業の一環で行われている外来種除去活動に、PVさん10名と一緒にお手伝いしてきました。

稚内市内にある国立公園内の浜勇知園地にて、生徒さん70名を迎えました。

国立公園保護管理企画官より、外来種についての説明後、4班に分かれてそれぞれ作業しました。

駐車場周りや木道沿いにも様々な種類の外来種がありますが、生徒さんたちにご協力頂いて除去したのは、砂浜に広がっている"オニハマダイコン"です。

昔からこの場所を知っているPVさんによると、"オニハマダイコン"が増えてきたのは13年前くらいからとの事でした。

町中で見かける外来種とは違うため、こちらが差し示さないと見逃していたり、小さかったり大きかったりすると違う植物に見えたり、葉の形が同じような"シロヨモギ"と悩んだり、最初はわかりづらいようでした。

それでも、"オニハマダイコン"しかないような場所も多く、すぐに慣れてどんどん抜いてくれます。

抜くのも、道具を使わず指だけでできるため、とても楽です。

力加減を間違えなければスーッと根っこまできれいに抜くことができます。

量にうんざりするのと、たまに大根のようなにおいがきつく感じる以外は、とてもやりやすい外来種除去です。

もう一つ難点と言えるのが、砂浜で直射日光を浴びての作業なため、とても暑く過酷な点です。今年は更にマスク着用が加わり、とても大変でした。

それでも、1時間ほどの活動で、熱中症などになる方もおらず、無事に150kg分の"オニハマダイコン"を除去することができました。

暑い中、地道な作業を行ってくれた生徒さんたち、ありがとうございました!

ところが、

"オニハマダイコン"を除去している最中、PVさんが違う外来種が花を咲かせているのを見つけました。

それが、"アメリカオニアザミ"です。

数年前からこの場所で確認されており、PVで除去していました。

多い年では300株以上を除去した年もあったようです。

が、最近は姿を見なくなったと思っていたのですが......「やっぱりまだあったか~」と、根絶は簡単ではない事を思い知らされます。

ちらほら花を咲かせている10株ほどを確認し、見つけたPVさん4名と、日を改めて駆除することにしました。

花が咲いた状態では既に背が高く、スコップが不可欠です。また、茎や葉にはするどいトゲが多く、軍手は意味をなしません。厚手の手袋をも突き抜けてくるため、とてもやりにくい外来種除去といえます。

10株かと思いきや、ここにもあそこにもと発見し、最終的には31株を数えました。5名で奮闘すること一時間、株数と作業量を軽く見ていたことを反省するほど、汗だくになりました。

用意していた袋に入れるのも大変だったため、数日乾燥させて小さく切ってから、ゴミ袋につめました。最後までトゲはするどく、たった31株の植物とは思えない大変さでした。

数が多くて大変だったり、1株抜くのが大変だったりと、タイプの違う2種類の外来種を抜きながら、様々な事を考えさせられました。

根っこが複雑だったり茎がすぐ折れたり、刺があったりなどを目の当たりにし、植物の戦略に脱帽したり、

外国からたどりついた異国の地で一所懸命生きている植物のたくましさに思いを馳せたり、植物そのものに罪はないことはわかっていながらも、どうせ抜くのなら、おいしく食べられる方法はないのかと考えてみたりしました。

実際に外来種に向き合いながら様々な事を考える一時は、とても貴重な時間だと感じました。

そう感じられるのも、一緒に活動して下さる学生さんやPVさんなど、とても心強い存在がいるからこそでもあります。

一度広がってしまった外来種を根絶するのはたやすくありませんが、これからも地道な活動へのご協力、お願いいたします!

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