2021年8月10日
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2021年08月10日礼文のアイドル!レブンアツモリソウ
利尻礼文サロベツ国立公園 津田涼夏
みなさん、こんにちは!
涼しいはずの礼文島ですが...今年はそんな余裕がないほどの暑さにまいっている礼文アクティブレンジャーの津田です。
早速ですが...毎年5月下旬~6月中旬にかけて、レブンアツモリソウ群生地では多くのレブンアツモリソウが開花し、クリーム色や白色の大きな花をつけた姿を見せてくれます。
国によって特定国内希少野生動植物種に指定されているレブンアツモリソウは礼文島のみで生育が確認されている希少種であり、固有種です。
稚内自然保護官事務所では、レブンアツモリソウの保護増殖事業に取り組み、
アクティブレンジャーとしての業務は、大きく分けると以下のことを行っています。
・島内の生息状況の把握
・巡視員さんとの連携による監視活動
・レブンアツモリソウ試験区調査業務の実施状況確認
・現地における連絡調整や情報収集 などです。
5月下旬、レブンアツモリソウの開花が除々に始まると同時に、生息状況の把握や試験区での調査、監視活動が行われます。
生息状況の把握では、毎年の生息状況の確認、周りの植生に影響を受けていないか、踏み荒らしがないかの把握を行い、監視活動では、礼文町や林野庁、宗谷総合振興局などの関係機関と協力して行っています。
レブンアツモリソウ試験区調査業務では、立派な株からまだ花が咲かないような、小さいアツモリソウの葉まで、見逃さないようにして調査しています。
段々慣れてくると「ココだよ~」とレブンアツモリソウの声が聞こえてくるような感じがします。調査中に花がまだ咲いていない株を発見すると嬉しくなります。
ですが、アツモリソウの葉に似た「ヒメイズイ」が出現すると、どっちかな~と少し楽しくなります。ここは真剣に...見間違えないように...と集中して取り組んでいます。2つの違いは、レブンアツモリソウの葉の根元の方が少し巻いている印象があります。
レブンアツモリソウの葉 ヒメイズイの葉
葉が大きくなると見分けが分かり易くなってきます。
また、花が咲くと全然違う植物です。
左:ヒメイズイ 右:レブンアツモリソウ
また、同じ時期にネムロシオガマやエゾノハクサンイチゲの白い花が咲くため、遠くから見ていると、一見似ている!と思ってしまいます。
普段見るレブンアツモリソウの他に、他の植物の陰に埋もれないようにしている小さなレブンアツモリソウや仲良しな双子も咲いていました。
※環境省の所管地調査で撮影したものです。
小さなアツモリソウだったので、思わず何かと比較して写真を撮りたく...自分の手と比べても小ささが際立ちます!
また白色やクリーム色で可愛さいっぱいのレブンアツモリソウですが、段々枯れて茶色になります。茶色になってもプチシューのような可愛さです。
最後に...巡視員さんとの連携による監視活動を行っている際に、レブンアツモリソウに限らず、ロープをくぐって写真の撮影を行ったりしている方がいらっしゃいます。自分一人だけという気持ちで行い、ロープのすぐ横の植生に影響が与えられています。みなさんで来年も再来年もこの場所で高山植物の姿をみるためにもご協力をお願いいたします。
気象庁による2005年~2020年の羅臼町の7月の日最高平均気温は18.9℃。「羅臼は涼しいはず!」と足を運んで下さる方も多いのですが、今年はどうしたことでしょう。例年より10℃ほど気温の高い日々に溶けてしまいそうな羅臼自然保護官事務所の高林です。
前回、アクティブレンジャー日記では「続縄文文化期の土器」について書きました。6/17の記事
なぜ、「アクティブレンジャーが土器を?」と思われるかもしれませんが、私は土器もフィールドサイン探しの一つと思っています。人が暮らした痕跡である土器以外にも、様々な生物の痕跡など、巡視中もプライベートの時もフィールドサイン探しをしています。
貝の化石
海岸線に落ちていたエゾシマリスのしっぽ
フィールドサインから、どんな生物により、なぜそこにそのような痕跡が残ったか想像を膨らませます。
前振りが長くなってしまいました。
今回は・・・どきどきな土器続編です。
羅臼町のある場所を巡視中のことです。
崩れやすい急傾斜を登ると獣道ができていました。
動物が歩くことにより削られ、一部の土壌が露出しています。
目をこらして歩いていると・・・
石?岩盤?
よくよく見てみるとなんと!
羅臼町郷土資料館
土器片でした。
実は、昨年も石鏃を確認していた場所です。
土器を使っていた人もこの昆布茂る海を見ていたのでしょうか?
巡視終了後、羅臼町郷土資料館に行って、土器について報告し寄贈しました。
学芸員の方によると、およそ3800年前のものとのこと。
文様、厚み、形等も年代によって代わってくるようです。
情報を共有し、郷土資料館に収蔵している土器片も見せていただきました。
すると・・・
寄贈したものと形状がよく似ています。
羅臼町郷土資料館
こんなことってあるのでしょうか。寄贈したものとぴったり合いました!!!
ロマン溢れる土器・・・一度手にしてみたい!と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし!前回もお伝えしましたが埋蔵文化財ですので、掘り起こさないで下さいね。
発見したときには、その街の博物館や郷土資料館へ連絡しましょう。
いつか1つの土器が完成することを願って・・・!