ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年9月29日

2件の記事があります。

2021年09月29日見えるかクイズ

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

ゼニガタアザラシの調査は、サケ定置網での漁業被害やアザラシの動きを確認したり漁網の改良を施している乗船調査のほか、ドローンを用いた個体数調査を実施しています。

ゼニガタアザラシは海で泳ぐだけでなく、岩礁に上陸する習性を持っているためいくつかのアザラシが岩礁に上陸しやすい条件を満たした日時を見極めドローンを飛ばしています。

アザラシが上陸場としている岩礁は、日高山脈の最南端。山脈の端が海に沈んでいく場所です。

キレイ~!

えりもで風速10m/s 以上の日は年間260日以上と言われており、ドローンを飛ばせる条件の日はとても少ないです。強風の中無理に飛ばせば墜落の可能性があり、海に落ちてしまっては回収も出来ない上とても危険なため細心の注意を払っています。

風が強いことに加え、霧がかかりやすのも えりも の特徴です。

↓濃霧の日に撮影した写真がこちら

写真の左側、白っぽい米粒のような楕円形のもの。アザラシが上陸している様子が分かります。しかしこれだけ霧が濃ければ見落としも多くなり、よいデータとは言えません。

快晴かつ風が弱い日時。これがドローン撮影には適した条件と言えます。

えりもではこれらを満たす日が少ないので、アザラシが岩礁に上陸しやすい条件のほか普段から天気予報や風向きを気にして少しでも撮影によいとあらばドローン撮影を試みています。

↓よい条件で撮影できた日

アザラシを驚かさないよう、海面から60mの高さを保っています。

アザラシには上陸しやすい場所があるようで、写真のように多く上陸している岩礁もあれば1頭も上陸しない岩礁もあります。

個体数調査で撮影した写真の中から「アザラシ見えるかクイズ」。

次の写真には、何頭のアザラシが上陸しているでしょうか...!

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正解は「13頭」。

岩礁とアザラシの体毛はとても似ていて、岩礁が濡れている時はアザラシの体毛も濡れていて同じような色をしています。また、日向ぼっこの後、体毛が乾くころには岩礁も乾いてこちらもまた同じような色になるため見分けが難しいのです。

私は、色だけでなく、頭部や尾部、ヒレのバランスを見ながら判断しています。みなさんもぜひ、アザラシの形をイメージしながらもう一度見てみてください♪アザラシの見分けが上手くなるかも?!

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2021年09月29日帯広自然保護官事務所に着任しました

丸岡梨紗

 はじめまして。

 9月1日に、帯広自然保護官事務所にアクティブレンジャーとして着任した丸岡梨紗です。

 帯広自然保護官事務所は、日高山脈襟裳国定公園及び周辺地域の国立公園指定に向け、自然環境や登山道・園地などの利用施設の把握、利用状況の調査、国立公園の指定に向けた関係自治体・地域の関係者との調整やシマフクロウ・タンチョウ等の希少野生動物の保護増殖に関する業務を行うため、今年度に開所された事務所です。

 私は、日高山脈が大好きで、縦走から冬山、沢登りまで様々な形で日高山脈を歩いており、登っていない山は、残り中の岳、ナメワッカ、1823峰の三山です。

これから日高山脈の魅力や、山や自然の情報を発信していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

  

 先週、平取町のご協力のもと、コロナ下で閉鎖されている幌尻岳の額平川登山道の調査を行いました。

 幌尻岳は日高山脈の最高峰で100名山にもなっておりますが、百名山最難関と呼ばれているほど、難関・健脚者向きの山ですが、登山者に人気が高い山です。幌尻岳の登山道は3つのルートがありますが、額平川ルートは一番人気の高いルートです。

 額平川の水量は、渇水の影響でいつもより少なく徒渉は楽でしたが、例年は膝上~腰位までの水量があり、毎年遭難者も出ます。

~沢歩きワンポイントアドバイス~

☆沢歩きでは、ストックをついてバランスをとり、ぬめりやすい色が変わっている石を避けて、平らなところに足を置きましょう。

☆徒渉の際は水量の少なく、流れが遅いところを選びましょう。

【渡渉の様子】

 登山道調査の途中、登山道沿いに、笹の山のようなものを発見。土まんじゅうがありました。シカを食べる時、ヒグマはしばしば死体を土や落ち葉でおおって土饅頭のようにかくして食べ続けます。シカの死体が見あたらなくても、腐肉臭がすれば要注意です。また、近くにヒグマが見えなくとも、食べた跡があれば、近くに潜んでいます。

 ヒグマとの事故を回避するためには、鈴や声を出して事前にこちらの存在を知らせたり、ヒグマの臭いや威嚇音に気をつけることが大事です。また、万が一ヒグマに出会ってしまったら以下のことに気をつけましょう。

【土まんじゅう】

~ヒグマに遭遇した際の注意点~

☆遠くにクマがいることに気が付いた場合は、落ち着いて静かにその場から立ち去りましょう。

☆近くにクマがいることに気が付いた場合は、クマを見ながらゆっくり後退するなど、落ち着いてクマとの距離をとりましょう。

☆至近距離でクマと突発的に遭遇した場合は、クマによる直接攻撃など過激な反応が起きる可能性が高くなります。顔面・頭部が攻撃されることが多いため、両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつぶせになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要です。クマ撃退スプレーを携行している場合は、クマに向かって噴射します。

☆親子連れのクマと遭遇した場合は母グマが攻撃行動をとることが多いため注意が必要です。子グマが単独でいるような場合でもすぐ近くに母グマがいる可能性が高いため、速やかにその場から立ち去りましょう。

☆クマ撃退スプレーはクマを十分引き付けてから顔に向かって噴射することが重要です。事前に使い方を練習し、いざという時にすぐ使える場所に携帯することが必要です。

※詳細は「クマ類の出没対応マニュアル:R3年3月 環境省自然環境局」

https://www.env.go.jp/press/109446.html

をご参考ください。

 さて、肝心の幌尻岳はといいますと、心配していたお天気は好転し、ピパイロ岳からエサオマントッタベツ岳まで日高の山並みも見渡せ、幌尻岳の雄大な北カール(氷河地形である圏谷)は相変わらず美しく、紅葉が始まっていました。

  

【幌尻岳】           【幌尻岳山頂より】      【アイヌキンオサムシ】

     

 日勝峠から襟裳岬まで続く、造山運動により作られた日高の稜線は急峻で美しく、いくつものカールをもち、地質学的にも世界的に貴重なかんらん岩が分布しており、それに付随して貴重な植物が見られる等、国立公園の資質にふさわしい自然環境を有しています。

 日高山脈は、沢登りや林道歩き、藪こぎがベースになっている場所も多く、なかなか上級者向けの山が多い印象ですが、利用者に応じて登りやすい山や登山以外の日高の楽しみ方などを発信していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

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