ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2022年2月 4日

2件の記事があります。

2022年02月04日ラムサール条約が採択された2月2日は世界湿地の日

苫小牧 大久保 智子

こんにちは、大久保です。

今年はとにかく雪が多い、苫小牧市のウトナイ湖。

雪の影響で散策路周辺の樹木が折れているというので、保護官達と処理してきました。

  

いつもと違った雪のウトナイ湖も綺麗です。

さて、ウトナイ湖は昨年12月にラムサール条約に登録されて30年目を迎えました。

ウトナイ湖のある勇払原野一帯は、6,000年前は海でしたが、海流や河川の流れによって土砂が貯まったり、気温が低くなったりして海水面が低下したことにより、3000年前から海岸線が後退し、一帯は広い砂浜となりました。砂浜にはその後草が生い茂り草原となったところに、美々川の水がたまり、ウトナイ湖ができました。

ウトナイ湖

      8月             10月             2月

一時、ウトナイ湖周辺は、洪水対策で公共大規模工事の計画がうちだされ、湿原への影響が懸念されましたが、農業、漁業を生業とされている方々や市民、専門家と行政で話し合いを続け、計画は中止となりました。その後、ウトナイ湖の貴重な自然資源を守ろうと、渡り鳥にとって重要な中継地・越冬地として国内で4番目にラムサール条約に登録されました。ラムサール条約とは水鳥が休んだりエサを取ったりするのに大切な湿地を保護するための国際的な取り決めで、そういった重要な湿地を守りつつその重要さを広く知ってもらうために活用していこうといったものです。

いままでにウトナイ湖では鳥種が270種以上確認されており、国内で確認されている鳥類のおよそ半数がウトナイ湖で確認されています。市民に守られ、大切な場所として30年、水鳥、渡り鳥、草原の鳥が集まる野鳥の楽園です。

あたり一面草原だった湖畔沿いなどは樹木が育ち林となってきたり、湖も少しずつ形を変えてきたりと変化してきていますが、今後も野鳥の集まる場として、市民や野鳥愛好家に親しまれるよう、出来る事をしていきたいと思う、私なりのウトナイ湖ラムサール登録30周年目の節目でした。

1月31日のウトナイ湖

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2022年02月04日AR(アクティブレンジャー)のとある一週間

知床国立公園 佐野加奈子

 こんにちはウトロ自然保護官事務所の佐野です。

 早速ですが、今回は「ARのとある一週間」ということで、そもそもARってどんな仕事しているの?と思わ 

 れた方へ、昨年のちょっと慌ただしかった一週間をご紹介したいと思います。

○1日目:鳥獣保護区巡視

  鳥獣保護区とは鳥類と哺乳類を保護・管理している区域のことです。そのため、ここでは鳥獣の捕獲が禁 

 止されていますが、増えすぎたエゾシカを管理するための捕獲が行われていたりします。

  この日はその鳥獣保護区で狩猟など違反行為がないか巡視に行きました。

 雪が少し積もる中、道なき道をひたすら進みます。

 写真でお分かりいただけるでしょうか?かなりの斜面を下ることも!

急斜面の様子

  この日は違反行為などは見当たらず、見晴らしの良い景色を眺めながら無事帰還しました。

崖の上からの眺望

○2日目:事務作業

  この日は外へは出ずに、事務所内で一日作業です。前日の巡視報告書の作成のため、地図ソフトを利用し 

 ますが、初めてだとこれがなかなか大変...。PCとにらめっこで目がチカチカする日もありましたが、今では 

 もう慣れ、作業もさくさく進みます!

○3日目:海ワシ類調査

  毎週水曜日は!そうです!11月に紹介いたしました海ワシの調査です!

 詳しく知りたい方はこちらまで↓

https://hokkaido.env.go.jp/blog/2021/12/23/

  この日もひたすらに海ワシを探し、2名でオオワシ15羽・オジロワシ10羽を確認できました。直近2月2日 

 の調査では、オオワシ39羽・オジロワシ16羽を確認しましたので、まだまだこれからが本番です。冬のシー 

 ズンにしか見ることができないオオワシ・オジロワシの観察に、皆さんもぜひ一度、知床に足を運んでみて 

 はいかがでしょうか?

○4日目:鳥獣保護区巡視

  1日目とは別の場所の鳥獣保護区の巡視です。当日はよく晴れ、見晴らしは最高でしたが、放射冷却現象 

 でなんたって寒い!

 こんな寒い日に歩いていると、面白いものを発見しました。

 写真の丸いもの何に見えるでしょうか?

霜がついたシカの糞

 お分かりの方もいたでしょうか、こちらはエゾシカの糞です。

 糞も寒いと冷凍されちゃうんですね!

 冷凍ブルーベリーかチョコにも見えます。

 たとえ寒くても、巡視は自然の豊かさや生物の面白みも感じられるので大好きです!

○5日目:知床五湖遊歩道整備

  閉園期間中の遊歩道の整備をお手伝いすることになりました。

 濡れても良いように胴長を着用し、いざ出陣!

 作業をしていると暑くなり、寒さ対策の厚着が裏目に...。

現場を撮影する様子

   Before→Afterの写真を撮る私。

 作業様子などを記録するのもARの大事な仕事の一つです。

○6日目:魚道整備

  この日は、シマフクロウのエサとなるカジカが遡上できるように魚道の整備を行いました。希少種である 

 シマフクロウの生息域を拡大するべく、まずはエサであるカジカの生息域を広げよう!というのが今回の目 

 的。そのために、この日はもともとサケ・マス用の大きい魚道が設置されている中に、さらにカジカ用の小 

 さい魚道を設置するという珍しい作業を行いました。

 詳しくはこちらへ↓

 https://hokkaido.env.go.jp/blog/2021/12/16/

  魚道整備の現場に立ち会うことが初めての私には、何がどうなってゆくのかゴールが全く見えませんでし 

 た。しかし、作業が進み全貌が見えてくると、ワクワクが止まらず完成したときにはとても嬉しくなりまし 

 た。これでカジカが遡上してシマフクロウが来てくれると良いな!

  いかがだったでしょうか?

 今回はARの実際にあった一週間をご紹介しました。冬だけど一週間のうち、5日間は外での活動。寒くても 

 楽しい一週間でした!

 少しでも興味を持っていただいた方はぜひ他の記事も見てみてください。新しい発見があること間違いな 

 し!それでは次回もお楽しみに!

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