2022年6月16日
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2022年06月16日ありがとうの気持ちを込めて
大雪山国立公園 渡邉 あゆみ
こんにちは、大雪山国立公園 東川管理官事務所の渡邉です。
6月12日(日)にパークボランティア14名、レンジャー、アクティブ・レンジャー5名、計19名で山開きのために十勝岳~上富良野岳の登山道整備を行いました。
不安定な天気予報で、いつ雨に降られるかと心配でしたが、予報が良い方に外れ、標高を上げるほどに晴れ渡り、ダイナミックで見事な十勝岳連峰を拝むことできました。
風も穏やかで作業日和となったこの日はお花畑への踏込み・道迷い防止のため登山道上に張っているガイドロープを800m分、鉄ピンは20本荷揚げし、古い物と交換することができました。他にも看板整備やゴミ拾いなど、9時間半の行程、いつも大変な作業をしてくださるボランティアの方々には感謝でいっぱいです。
十勝岳温泉登山口と望岳台登山口、2つの登山口から別れて整備をしましたが、カミホロカメットク避難小屋(通称、カミホロ小屋)で作業後に2隊合流することができました。
お互いの作業をねぎらいながら、19人でにぎやかなひととき。カミホロ小屋で過ごす最後の時間です。
全員で小屋をバックに記念撮影
今年、カミホロ小屋は建替えとなります。
昭和55年に北海道が建設し、42年間登山者の憩いの場、時に命を守る避難小屋として過酷な環境下でたくさんの登山者を受け入れてくれました。天気の悪い日、稜線から少し下がった凹地にカミホロ小屋が見えるとホッとしたものです。
近年は上富良野十勝岳山岳会が有志で小屋の補修をしてくださっていて、愛が詰まった避難小屋でした。
今シーズンは建替えのため、小屋だけでなく、野営指定地も休憩・宿泊できませんので、予定をされている方はご注意ください。トイレは使うことができます。
新しい小屋の完成も楽しみにしつつ、旧カミホロ小屋、今までありがとう!の気持ちを込めて。
こんにちは!
利尻島アクティブ・レンジャーの福田です。
今回は、利尻島の種富湿原で行った外来種除去活動についてご紹介します。
利尻島の南浜湿原やオタドマリ沼などの湿地は、「利尻島湿地群」として環境省の「重要湿地」に選定されており、種富湿原もそのひとつです。種富湿原は、利尻島の西側海岸近くに位置し、オタドマリ沼などと比べると認知度は低いですが、約3000年の年月をかけて形成された泥炭地で、溶岩流の上にある珍しい湿地です。
種富湿原の入り口
しかし、種富湿原では外来植物のオオハンゴンソウの侵入が確認されていて、在来種の生育への影響が懸念されています。
そこで、利尻島固有の自然を守るため、利尻町立博物館の方々が毎年オオハンゴンソウ防除会を主催していて、本年度の活動に私も参加させていただきました。
オオハンゴンソウは成長すると2m近くにもなるため、今回は成長する前に防除活動を行いました。
活動の様子
オオハンゴンソウは地中に小さい芋のような根茎があるため、それを掘り起こさないとまたすぐに成長してしまうことから、除去作業には少しコツが必要です。
大きな根茎をきれいに掘り起こせたときは、とても気持ちがよかったです。
さて、突然ですが、ここで問題です!
下の2枚の写真は、種富湿原に生えていたオオハンゴンソウとヨモギの葉の写真ですが、
どちらがオオハンゴンソウでしょうか?
正解は、左の写真です!
一見すると葉の形などがそっくりなのですが、実は葉の裏側と茎の部分を見ると違いがわかります。
下の写真のように、葉の裏側が白くなっているのがヨモギで、そうでないのがオオハンゴンソウです。
また、当日は他にもワタスゲやエゾシモツケ、ハクサンチドリなど、多くのお花を見ることができました。
エゾシモツケ ハクサンチドリ
今回は6名で作業を行い、ごみ袋6袋分(約1000本)のオオハンゴンソウの除去を行うことができました。オオハンゴンソウは繁殖力が高いため、一度定着すると他の植物の生育を妨げ、湿原の植生の多様性が損なわれてしまうという危険性があります。
そこで、今回の活動のように、定期的に駆除活動を行うことが大切です。
活動後の様子
このような活動を通して、利尻島固有の生態系を維持し、自然保護の大切さをお伝えできればうれしいです。