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釧路自然環境事務所

報道発表資料

2022年10月04日
  • 報道発表

(お知らせ)令和3年度知床世界自然遺産地域年次報告書(知床白書)をとりまとめました。

知床世界自然遺産地域では、地域との連携・協働と順応的な管理を推進するため、遺産管理に関する取組について年次報告書を作成しています。このたび、2021(令和3)年度の報告書をとりまとめましたので、お知らせします。
1.概要
         2005(平成17)年7月に世界自然遺産地域として登録された知床は、2021(令和3)年で17年目を迎えました。世界的にも顕著な普遍的価値を有する知床の
        生態系と生物多様性を後世に引き継ぎ、その保全と適正利用を進めるためには、地域との連携・協働や順応的な管理を行っていくことが重要です。
        本報告書は、知床世界自然遺産の管理機関である環境省、林野庁、北海道と、その他の関係機関・団体が2021(令和3)年度に実施した、遺産管理の取組を
        総合的にとりまとめたものです。
 
2.2021(令和3)年度のトピックス
(1)知床世界自然遺産地域・長期モニタリング計画(2012~2021年度)総合評価の実施
           ・知床世界自然遺産地域長期モニタリング計画に基づき、2021年度までの過去10年間に得られたデータを用いた総合評価を実施しました。
           ・その結果、現在も季節海氷の影響を受けた海と陸の生態系の相互関係が維持されていること、幅広い生物種が生息  ・生育する生物多様性上の重要な地域
                として維持されていると評価され、世界自然遺産としての顕著な普遍的価値が良好に維持されていると結論づけられました。
 
(2)環境研究総合推進費「遺産価値向上に向けた知床半島における大型哺乳類の保全管理手法の開発」の最終成果
           ・知床世界自然遺産地域では、健全なヒグマ個体群の維持と軋轢の軽減、エゾシカによる過度な影響の低減と生態系の維持回復が求められていたことから、
               令和元(2019)年度から令和3(2021)年度までの3カ年で環境研究総合推進費(4-1905)による研究が実施されました。
           ・その結果、①ヒグマの生息数、②ヒグマのモニタリングに有用な手法、③ヒグマの個体群特性(繁殖状況や生存率)、④ヒグマの食性の特徴と大量出没の
                発生要因、⑤エゾシカの個体群特性が明らかになりました。
           ・特に①について、知床半島の3町(斜里町・羅臼町・標津町)に生息するヒグマは、2019年は472個体(95%信頼区間:393~550個体)、2020年は399個
                体(95%信頼区間:342~457個体)と推定されたことは大きな成果です。
           ・これらの研究成果は、知床におけるヒグマ・エゾシカ管理の基礎資料となり、遺産地域の生態系(海域と陸域の物質循環)や生物多様性を保全するための
              保護管理活動の推進に繋がることで、世界自然遺産としての価値の向上に寄与すると考えられます。
 
(3)自然公園法の改正
          ・自然公園法が令和3年4月に改正され、国立公園・国定公園の特別地域等において、野生動物(鳥類又は哺乳類)の生態に影響を及ぼし公園利用に支障を
             及ぼすおそれのある行為(餌やり・接近・つきまとい等)が規制の対象となりました。
           ・環境省では法改正の趣旨や知床半島ヒグマ管理計画を踏まえ、各ビジターセンターや観光関係施設の協力を得て、チラシの配布やポスターの掲示、Webや
              SNS媒体を活用した情報発信等を行い、公園利用者への啓発・指導を一層強化していく予定です。
 

お問い合わせ先

環境省釧路自然環境事務所
担当:伊藤・小川
TEL:0154-32-7500
FAX:0154-32-7575

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