シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標について(お知らせ)
シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標について(お知らせ)
平成28年3月24日(木)
環境省 北海道地方環境事務所
所長: 德丸 久衞
野生生物課長: 小口 陽介
野生生物課課長補佐: 平井 和登
電話(011)299-1954 FAX(011)736-1234
環境省 釧路自然環境事務所
所長: 西山 理行
野生生物課課長: 藤井 好太郎
野生生物課自然保護官: 福地 壮太(担当)
電話(0154)32-7500 FAX(0154)32-7575
環境省として、「シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画(平成25年3月策定)」に基づきシマフクロウの生息地拡大に向けた環境整備の取組を進める一環で、環境整備対象地の選択及び具体的事業を進めるにあたって必要となる数値目標を検討し、「シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標」を策定しましたので、お知らせします。
記
1.背景
環境省では昭和59年よりシマフクロウの保護増殖に取組み始め、平成5年に環境省と農林水産省は「保護増殖事業計画」を策定しました。巣箱と給餌池の設置を中心とした保護増殖事業の成果もあり、個体数は減少から漸増へと転じ、現在では約140羽にまで回復しました。しかし、多くの個体が巣箱と給餌に依存しており、樹洞のある太い広葉樹や採餌可能な河川などシマフクロウの生息に適した自然環境は限られています。また、生息地は知床、根釧地方、十勝地方、日高地方に分断され、つがいの約半数が知床に集中しており、近親交配による遺伝的多様性の劣化も危惧されています。
一方で、シマフクロウ減少の原因となった開発政策も見直しが行われ、また、今後急速な人口減少が予測されている道東地域では土地利用の変化も増えることが予想されています。このような流れを踏まえ、北海道がシマフクロウにとって好適な生息環境に復元されるよう導くための指針として平成25年3月に北海道地方環境事務所と北海道森林管理局は「シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画」を策定しました。
環境省としては、今後、公共事業等において生息環境に積極な配慮や直接的に生息環境の整備が進むよう調整していくため、環境整備対象地の選択及び具体的事業を進めるにあたって必要となる数値目標を検討し、全体目標として取りまとめました。
2.全体目標の検討
この全体目標は、生息適地モデルを用いた生息適地評価、動的分布モデルを用いた自然分散予測及び個体群存続可能性分析(PVA)による最小存続可能個体数(MVP)の算出の、3つの解析結果を基に、「平成27年度シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標策定検討会」での議論を踏まえ策定しました。なお、今回の策定にあたり、現地調査は行っておらず、各解析においてはデータの不足等の課題もあることから、今後、精度の向上に努めていく必要があります。
<平成27年度シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標策定検討会>
○検討委員
赤坂 卓美 帯広畜産大学 助教
幸丸 政明 東京環境工科専門学校 校長
竹中 健 シマフクロウ環境研究会 代表
外山 雅大 根室市歴史と自然の資料館 学芸員
中村 太士 北海道大学大学院農学研究院 教授
藤巻 裕蔵 帯広畜産大学 名誉教授
○開催日
第1回 平成27年9月18日
第2回 平成27年12月14日
第3回 平成28年2月3日
3.全体目標の概要
シマフクロウの生息環境の保全及び環境整備が実施されることにより、「知床」、「根釧」、「大雪山系」及び「日高山系」の4つの既存の生息地を中心に、それぞれが一つのまとまりを持った個体群として、各個体群のつがい数が「24つがい」以上となることを目標としました。
全体目標の活用方法としては、各個体群における目標つがい数の達成に向けて、解析結果より示された「シマフクロウの生息適地」及び「生息地の連続性と目標つがい数を確保する上で重要な地域」を参考に、各事業者が実際の現地の状況、行政計画等と照らし、個別に生息環境の保全及び環境整備が可能な場所を必要に応じて検討し、生息環境の保全及び環境整備を実施して行くことを想定しています。
(別添)シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画に係る全体目標の概要