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平成19年度知床世界自然遺産地域生態系モニタリング調査業務
公示
次のとおり、参加希望書類の募集を行います。
平成19年6月22日
分任支出負担行為担当官
北海道地方環境事務所
釧路自然環境事務所長 渋谷 晃太郎
1 募集の趣旨
本業務は、知床における生態系の各要素及びそれらの因果関係を把握し、生態系モニタリング手法の確立及び統合的管理手法の確立することを目的とする「海域と陸域の一体的な保全に資する統合的管理手法に関する研究」の一環として行われるものである。本業務においては、科学委員会及び各WGのニーズを踏まえた、当該地域の海域、陸域のそれぞれにおいて構成要素として重要な各調査項目についての学識経験者と連携・協力した調査、それらの調査結果を元にした生態系モニタリング手法及び統合的管理手法の検討等を円滑に実施できる業務執行体制と従事者を有している必要があることから、財団法人 知床財団(以下「特定事業者」という。)を契約の相手方とする契約手続を行う予定としていますが、当該特定事業者以外の者で、下記の応募要件を満たし本業務の実施を希望する者の有無を確認する目的で、参加希望書類の提出を求める公募を実施するものです。
公募の結果、応募要件を満たすと認められる者がいない場合にあっては、特定事業者との契約手続に移行します。また、応募要件を満たすと認められる者がいる場合にあっては、企画競争手続へ移行することとし、特定事業者と当該応募者に対して、企画書の提出を要請します。
2 業務概要
- (1) 業務名
- 平成19年度知床世界自然遺産地域生態系モニタリング調査業務
- (2) 業務目的
- 本業務は、知床における生態系の各要素及びそれらの因果関係を把握し、それらの調査結果を元に生態系モニタリング手法及び統合的管理手法の確立のための検討をすることを目的とする。
- (3) 業務内容
- 生態系モニタリング手法の確立及び統合的管理手法の確立に向けた基礎的データを蓄積するための下記の業務を実施する。
- [1] 請負業務実施計画書の作成及び提出
- 請負者は、業務の実施内容、実施フロー、作業日程を定めた請負業務実施計画書を作成の上、 環境省の担当官に提出し了解を得るものとする。
- [2] 衛星画像および船舶を使用した現場観測による海洋環境および低次生産の変動に係わる調査
- 知床半島を中心とした根室海峡からオホーツク海、そして太平洋の一部に至るまでの海表面水温及びクロロフィルa濃度等のデータを衛星リモートセンシングにより定期的に収集し、海洋環境及び低次生産の変動を把握する。また、船舶を使用した現場観測を実施することにより、衛星リモートセンシング情報の精度・確度を高める。
- [3] 水中ロボット(ROV)を用いた海底環境及び生物群集構造のモニタリング
- 北海道大学大学院水産科学研究院のROVを用いて実施された知床半島沿岸域の陸棚―陸棚斜面域の海底環境及び生物相の調査のデータ解析及びスケトウダラの繁殖行動の観測を行う。
- [4] サケ科魚類による栄養塩輸送に関する調査
- 知床半島の河川は、夏から秋にかけて多数遡上するサケ科魚類がヒグマ等の陸上動物の重要な資源となっている日本でも数少ない場所である。ヒグマ等の陸上動物がサケ科魚類を捕食することにより、その排泄物や、陸上への輸送により、海域生態系起源の栄養塩類が陸域生態系に移動していると考えられる。このことから、サケ科魚類、ヒグマ等の陸上動物及び周辺植生の安定同位体分析や、サケ科魚類の利用状況を通した、海域から陸域生態系への物質輸送の程度を把握する調査を実施する。
- [5] 海藻・海草類分布状況調査
- 基礎生産を担うコンブ類・海藻類の分布状況を音響機器を使用して調査する。
- [6] 羅臼沖の深海域における海洋環境および動物プランクトン調査
- 羅臼漁港沖の水深350mより汲み上げている海水の栄養塩の濃度を定期的に定量するとともに、濾過装置に混入する動物プランクトン(主に甲殻類)を収集することにより、出現種の季節変化を把握・定量化する。
- [7] 主要魚種の食物関係調査
- スケトウダラ,ホッケ,スルメイカなど漁獲主要種を含めた魚類・イカ類群集の食性を調べ,当該海域の食物網を明らかにする。本調査の成果は,世界自然遺産海域および周辺海域の海洋生態系の保全と漁業資源は漁業の順応的管理に資するものである。
- [8] バイオロギングによる生物の移動生態調査
- 音響テレメトリー手法を用い、知床沿岸域の生態系におけるキーストーン種であるサケ・マス類、スケトウダラの行動について定量的なモニタリングを実施する。
- [9] 知床半島沿岸域希少・在来植物群落調査
- 知床半島では、1980年代後半よりエゾシカが急速に増加しており、知床岬において、希少植物群落であるガンコウランに代表される風衝群落、イブキトラノオなどからなる亜高山高茎草本群落、セリ科を中心とした山地高茎草本群落等の群落がエゾシカの採食により著しく衰退したことが明らかになった。しかし、同半島の他の地域においては、これらの希少・在来植物群落の衰退状況はほとんど把握されていなかった。これらの群落の分布状況を把握するため、2005年度、2006年度に把握された以外の場所について羅臼側を中心に詳細な調査を実施する。
- [10] 知床の植物相調査・植物インベントリー
- これまでの調査が不完全な知床半島の沿岸域の植物相調査を行うとともに、北海道大学総合博物館所蔵の知床半島における植物標本の整理を行い、知床半島における植物種のインベントリーを作成する。
- [11] 硫黄山周辺のシレトコスミレなど希少植物の現存量・分布域調査
- シレトコスミレを中心とした稀少植物の現存量・分布域調査を知床連山硫黄山周辺にて行う。
- [12] シレトコスミレの遺伝的多様性調査
- 希少植物であるシレトコスミレは、生態的特性ならびに遺伝構造についてはほとんど情報がない。分布域が狭く、火山性砂礫地という不安定な生育環境を持つため、その生態的遺伝的特性の把握は保全を考える上で極めて重要であることから、シレトコスミレの採取を行い、その遺伝的特性を把握する。
- [13] 調査者による報告会
- 上記2)〜12)の調査項目及び「海域と陸域の一体的な保全に資する統合的管理手法に関する研究」に係る調査者による本年度の調査の報告会を札幌にて行う。
- [14] 長期的モニタリング項目の検討
- 上記2)〜12)の調査項目の結果及び報告会の成果を踏まえ、生態系モニタリング手法の確立のための長期的モニタリング項目の検討を行う。
- (4) 履行期限
- 契約締結の日から〜平成20年3月28日
3 応募要件
- (1)
- 予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第70条の規定に該当しない者であること。なお、未成年者、被保佐人又は被補助人であって、契約締結のために必要な同意を得ている者は、同条中、特別の理由がある場合に該当する。
- (2)
- 予算決算及び会計令第71条の規定に該当しない者であること。
- (3)
- 参加申込みの日から開札の時までの期間に、環境省大臣官房会計課長から地方環境事務所所掌の業務請負契約に係る指名停止等の措置要領(平成13年1月6日環境会第9号)に基づく指名停止を受けていないこと。
- (4)
- 平成19・20・21年度環境省競争参加資格(全省庁統一資格)「役務の提供等」の「調査・研究」及び「その他」において開札時までに「B又はC」級に格付けされており、北海道地域の競争参加資格を有する者であること。(会社更生法(平成14年法律第154号)に基づき更生手続開始の申立てがなされている者又は民事再生法(平成11年法律第224号)に基づき再生手続開始の申立てがなされている者については、手続開始の決定後、環境省大臣官房会計課長が別に定める手続きに基づく一般競争(指名競争)参加資格の再決定を受けていること。)
- (5)
- 会社更生法に基づき更生手続開始の申立てがなされている者又は民事再生法に基づき再生手続開始の申立てがなされている者(上記(2)の再決定を受けた者を除く。)でないこと。
- (6)
- 入札に参加しようとする者の間に資本関係又は人的関係がないこと。
- (7)
- 知床世界自然遺産地域の陸域、海域の自然環境を熟知し、知床世界自然遺産地域における動植物の生息・生育状況及び生態に精通していること。
- (8)
- 平成14年4月1日以降に、海域、陸域に関わる多分野の学識経験者及び知床の漁業者と連携・協力した生態系調査(植生調査、海域の生物相調査等)を受注した実績を有すること。(ただし、共同体の構成員としての実績は、出資比率が20%以上の場合のものに限る。)
4 募集要領を交付する期間及び場所等
- (1) 交付期間
- 平成19年6月22日(金)〜7月2日(月)9時〜17時
- (2) 交付場所
- 釧路市幸町10の3 釧路地方合同庁舎4階
環境省 釧路自然環境事務所 国立公園・保全整備課 担当:水崎
TEL:0154-32-7500 FAX:0154-32-7575
5 参加希望書類の提出期限等
- (1) 提出期限:
- 平成19年7月3日(火)17時
- (2) 提出先:
- 4(2)に同じ
- (3) 提出方法:
- 持参又は郵送(書留郵便等の配達の記録が残るものに限る。)
- (4) 参加希望書類の書式:
- 募集要領に定める様式により作成すること。
6 その他
- (1) 手続において使用する言語及び通貨
- 日本語及び日本国通貨に限る。
- (2) 関連情報を入手するための照会窓口
- 4(2)に同じ。
- (3) 企画競争手続に移行した場合の企画書の提出予定期限
- 平成19年7月9日(月)17時
- (4)
- 平成19・20・21年度環境省競争参加資格(全省庁統一資格)「役務の提供等」の「調査・研究」及び「その他」において、「B又はC」級に格付けされ北海道地域の競争参加資格の認定を受けていない者であっても、参加希望書類を提出することができますが、その者が3に定める応募要件を満たすと認められ、企画競争方式に移行した場合に企画書を提出するためには、企画書の提出時までに、当該資格の認定を受ける必要があります。
- (5)
- 本公示に記載がない事項は、募集要領によることとします。