治療・リハビリが完了したオジロワシ2羽を放鳥します

１　放鳥予定個体について

　① オジロワシ

　収容日時：令和4年8月17日

　性別・年齢：不明・亜成鳥

　収容場所：網走湖岸の道路上

　収容原因：交通事故（自動車）

　発見時の状況：

　路上で動けない状態で倒れているオジロワシを一般市民が発見。通報を受けた市役所職員が保護し、釧路湿原野生生物保護センター（以下、WLCという）に収容した。

　治療及び経過について：

　WLCへの収容後、すぐに治療を開始。レントゲン検査の結果、骨折はなかったが、頭部に打撃によるとみられる膨張が認められた。搬入された時点では、全身が脱力して高濃度酸素を投与するためのインキュベーター内で腹ばいになるような状態だったが、切り身の強制給餌や栄養剤の投与により徐々に回復。食欲が改善して8月30日に起立が可能となったことから、治療を行いながら飛翔訓練を重ね、リハビリケージ内での往復飛翔も可能となったことで放鳥可能と判断した。

 

② オジロワシ

　収容日時：令和5年5月24日

　性別・年齢：不明・亜成鳥

　収容場所：斜里町の小麦畑

　収容原因：交通事故（自動車）

　発見時の状況：

　小麦畑の真ん中にオジロワシがうずくまっているのを一般市民が発見。当該市民からの通報を受けた知床博物館学芸員が、現地で衰弱して動けない状態の当該個体を保護した。

　治療及び経過について：

　保護の翌日、当該個体をWLCに搬送・収容し、治療を開始。当該個体はひどく痩せていた上に右翼の初列風切り羽すべてが基部近くで折損していた。さらに右肘に木片が刺さっていたことから、ピンセットによる除去と患部の縫合を行った。頻繁に給餌することで体重は回復し、治療を行った右肘患部の状態も良好に経過したことから、5月30日に抜糸。その後飛翔する様子が見られたことから、8月29日からリハビリケージで飛翔訓練を重ね、ケージ内での往復飛翔も可能となったことで放鳥可能と判断した。

 

２　放鳥の予定

　① 集合日時：令和5年10月27日(金)　13時を想定

　＃荒天時など変更の可能性あり

　② 集合場所：釧路総合振興局管内での放鳥を想定

 

３　交通事故で傷つく野鳥を１羽でも減らすためのお願い

　毎年、希少な動物を含む多くの野生鳥獣が、交通事故で命を落としたり怪我をしたりしています。昨年度だけでも、交通事故でWLCに収容されたシマフクロウ、タンチョウ、オジロワシやオオワシの数は25羽にのぼり、多くは死亡しています（令和４年度におけるシマフクロウ、タンチョウ、 オジロワシ及びオオワシの傷病個体収容結果について | 釧路自然環境事務所 | 環境省 (env.go.jp)）。
　タンチョウやオジロワシ・オオワシといった大型の鳥類は、車が近づいても素早く飛んで逃げることができません。道路そばで見かけたら、まず減速をお願いします。

　特にこれからの季節はオジロワシ・オオワシが多く飛来しますので、十分な注意をお願いいたします。

 

４　傷ついている、死んでいる希少種を見つけたら

　環境省では希少な動物の保護のため、傷ついた個体の救護や、保全対策につなげるための死亡・傷病原因解明を行っています。「絶滅のおそれがある野生動植物の種の保存に関する法律」により国内希少野生動植物種に指定されているシマフクロウ、タンチョウ、オジロワシ、オオワシなどの傷病個体（死体を含む。）を見つけた際には、環境省釧路自然環境事務所（0154-32-7500）又は釧路湿原野生生物保護センター（0154-56-2345）へご連絡ください。

　希少種の保護のため、皆様のご理解とご協力をお願いします。

 

５　取材申込み

　放鳥の取材を希望される場合は、別添の取材申込書をメールにて釧路自然環境事務所野生生物課（KUSHIRO_YASEI@env.go.jp）までご提出ください。