報道発表資料
- 結果報告
(お知らせ)平成30年度シマフクロウ標識調査の実施結果について
シマフクロウは北海道の道東を中心に165羽※程度が生息している絶滅危惧種であり、国により「シマフクロウ保護増殖事業計画(平成5年11 月26日策定)」が策定され保護が図られています。環境省では、保護増殖事業の一環として毎年春に標識調査を行い、個体識別、性別、来歴等の個体情報の収集、繁殖状況の把握等を行っています。 今年度の調査を実施した結果、25巣で32羽のヒナに標識を装着しましたのでお知らせします。標識個体数の合計値としては例年より多い結果となりました。なお、累積標識個体数は556羽です。 |
※平成29年度までに確認されたつがい(72つがい)×2+平成29年度の標識ヒナ数。つがい数については、調査により確認されている数であり、確度の高い数値となっている。
1.調査目的
保護増殖事業の一環として、シマフクロウのヒナに標識を装着し、個体識別、性別、来歴等の個体情報の収集、繁殖状況の把握等を行っています。この調査を行うことで、シマフクロウの繁殖状況、移動分散、寿命などの重要な生態情報を得ることができます。
2.調査期間
平成30年5月17日~6月28日
3.結果概要
保護増殖事業の一環として設置している巣箱を中心に調査し(一部天然木も含む)、25 巣において計32 羽のヒナに標識を装着しました。各地域ごとの内訳は下表の通りです(生息地保全のため位置の詳細は公表しておりません)。
表 平成30年度シマフクロウ標識調査結果
地域 | 標識ヒナ数(巣数) |
根室 | 13(10) |
オホーツク | 4(3) |
釧路 | 5(4) |
十勝 | 6(4) |
日高 | 2(2) |
上川 | 2(2) |
合計 | 32(25) |
4.留意事項
シマフクロウは非常に警戒心の強い鳥です。このため、特に繁殖中の巣に近づくと、巣を放棄してしまう恐れがあります。まだ生息数も限られていることから、位置等の詳細は公表しておりません。もしも巣箱や営巣を認めた場合でも、不用意に近づかないように、ご理解とご協力をよろしくお願いします。
(参考)これまでの実績等
1985年に標識調査を開始して以降、合計556羽に標識を装着しました。過去5年間の標識ヒナ数は以下の通りです。
2014年 28羽
2015年 25羽
2016年 27羽
2017年 21羽
2018年 32羽
1986年以降に傷病等により保護収容した個体(標識調査時のヒナを除く)の約7割が標識付きとなっており、個体の移動分散状況や年齢の把握等に係る重要なデータが得られています。
また、標識調査時に採取された血液や皮膚組織は、雌雄判別の他、遺伝学的解析の研究にも使用されており、ユーラシア大陸に分布する亜種とはおよそ67万年前というかなり昔に分化したことが明らかになっています(OMOTE et al.2018. J. Raptor Res. 52(1):31-41)。
- ■ 問い合わせ先
- 環境省 北海道地方環境事務所
所長:三村 起一
野生生物課長:田口 和哉
野生生物課課長補佐:小田嶋 仁
電話(011)299-1954 FAX(011)736-1234
環境省 釧路自然環境事務所
所長:安田 直人
野生生物企画官:徳田 裕之
野生鳥獣感染症対策専門官:根上 泰子(担当)
電話(0154)32-7500 FAX(0154)32-7575