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北海道地方環境事務所

北海道生物多様性座談会~これからの生物多様性保全に向けて~

2011年11月10日

北海道生物多様性座談会~これからの生物多様性保全に向けて~

北海道地方環境事務所

 環境省北海道地方環境事務所は、10月23日(日)に「北海道生物多様性座談会」を開催致しました。
 環境省、北海道から生物多様性保全に関する行政の取組について説明をした後に、道内で先進的な取組をされている方々による活動紹介・意見交換を行いました。
 60名以上の方にご来場いただき、これからの北海道の生物多様性保全に向けて、行政や市民がどのように取り組んでいけばよいかについて考えました。

【座談会内容】

生物多様性を取り巻く昨今の状況について

 ■発表者:
環境省 北海道地方環境事務所 所長 吉井 雅彦

 昨年10月の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の開催状況と、そこで採択された「新戦略計画(愛知目標)」の概要、それに関連する北海道地方環境事務所での取組について説明しました。
 続いて、COP10で強く認識されたビジネスシーンでの生物多様性への貢献や、地方自治体の役割について触れた後で、平成24年に策定を予定している次期生物多様性国家戦略の作業について説明しました。

北海道生物多様性保全計画について

 ■発表者:
北海道 環境生活部環境局自然環境課
生物多様性保全グループ 主幹 萩原 康政氏

 昨年7月に策定された「北海道生物多様性保全計画」についてご説明いただきました。
 北海道の生物多様性の保全と持続可能な利用を進めるため、目標の設定とその達成に向けた基本方針を掲げるとともに、現状と課題を踏まえ、具体的に施策を進めていくために、生態系タイプ別施策、重要地域の保全施策、横断的・基盤的施策の実施方針を示したことについてご説明いただきました。

座談会

 ■コーディネーター:
北海道大学農学研究院 教授 中村 太士 氏

 各パネリストからのご発言をとりまとめいただくとともに、これからの生物多様性保全に向けて、生物多様性に関する情報を地図化することの必要性や、生物多様性保全活動によって生まれた産物を商品化することにより社会と経済をうまくまわすことの重要性等についてお話しいただきました。

 ■パネリスト:
黒松内町 環境政策課 課長 鈴木 浩勝 氏

 黒松内町の自然環境や産業、そして約20年間にわたり町で取り組んできた環境関連施策やまちづくりについてご紹介いただきました。
 また、平成24年3月の策定に向けて取り組んでいる「黒松内町生物多様性地域戦略」についてお話しいただきました。

 ■パネリスト:
公益財団法人 日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ 原田 修 氏

 ウトナイ湖サンクチュアリの設置(1981年)や、現在の活動についてご紹介いただきました。
 また、野鳥保護区を設置する意義やその方法、管理についてご説明いただき、保護区の設置後にも、野鳥の生息地としての環境を維持するために、さまざまな作業が必要になるということについてご説明いただきました。

 ■パネリスト:
イオン北海道株式会社 CS・社会貢献部長 大野 芳高 氏

 毎日多くのお客様と直接お話ができるという小売業の特徴を活かし、お客様とともに取り組んでいる活動として、ふるさとの森づくり活動等についてご紹介いただきました。
 また、イオン生物多様性方針に基づき、エコストアの開発や、持続可能性に配慮したMSC・FSC商品の販売拡大に取り組んでいることについてご説明いただきました。

 ■パネリスト:
株式会社北洋銀行 リテール部 副部長 伊藤 博公 氏

 北海道の生物多様性保全に貢献することをテーマとして、平成22年に設立された「ほっくー基金」についてご紹介いただきました。この基金により、シマフクロウ等の希少野生動物の保護等の取り組みを助成・支援していることや、生物多様性を子どもにもわかりやすく紹介する絵本パンフレットを作成していることなどついてご説明いただきました。

 ■パネリスト:
北海道漁業協同組合女性部連絡協議会 副会長 古館 丸子 氏

 北海道漁協女性部についてご紹介いただき、女性部が昭和63年から全道で取り組んでいる「お魚殖やす植樹活動」についてご説明いただきました。「100年かけて100年前の自然の前浜を」を合い言葉に、これまでに90万本以上の植樹を行い、また下草刈り等森を育てる作業を行ってきたことについてご説明いただきました。

パネリスト意見交換・来場者との質疑応答

 パネリスト間では、どのように活動資金や活動人員を継続的に確保していくかについてや、「生物多様性」という言葉が一般の方にどの程度認知されているか等について意見が交されました。
 来場者からは、「生物多様性の評価軸も多様であるべきではないか」「市民はたとえ小さな取り組みでも自信を持って活動するべき」等といった質問・意見がありました。