【開催報告】平成21年10月10日(土)平成21年度ふれあい行事「半月湖自然観察会」
【開催報告】平成21年10月10日(土)平成21年度ふれあい行事「半月湖自然観察会」
2009.12.03 上士幌自然保護官事務所

今年、支笏洞爺国立公園は指定60周年を迎えそれを記念し、羊蹄山山麓にある半月湖で自然観察会が行われました。半月湖は年代不明の火山活動によってできた火口湖で、それを1周できる歩道がつけられており、日頃、地元の方の散歩コースにもなっています。今回は地元の方を対象に募集し、子供8名を含む29名の方が参加されました。お天気は晴れ。まず初めにクイズ形式で国立公園について理解を深めてもらいました。日本で初めて国立公園が指定された昭和9年にその指定で「支笏洞爺地域」も選定されていましたが、「同一形式の風景を代表して傑出すること」という選定の方針があったため、道内の「阿寒」に先を越されてしまいました。そのような経緯や、また羊蹄山は国立公園地域に指定されたのは「支笏洞爺」指定後に追加されたということではなく、指定当初から羊蹄山が含まれていたことも説明しました。他には登別温泉、北湯沢、定山渓が国立公園に含まれています。

早速、半月湖へ向かいます。その途中に大きなミズナラの大木があります。木はどのように成長し、どんな役目を果たしているのでしょう。今回、ニセコで活躍されているガイドの方を講師としてお招きし、お話をしていただきました。さて、この木は大木で葉もついていますが、良くみると中は空洞です。なぜ生きられるのか?それは木の中を見ればわかります。生きているのは形成層という部分だけであることがヒントのようです。また、周りを見回すと木にはキノコなどの菌類がついています。木が生きていくために共存しながら森は形成されていることを学びました。

次に目的地である半月湖へ。その半月湖の水際にはついこの間まで色づいていた様々な種類の葉が水面を彩り、1つの絵画のようです。直径700m、水深4mでまれに逆さ羊蹄も見ることができます。羊蹄山は富士山と同じく成層火山(山頂や火口から長期噴火を繰り返して円錐形の火山体を作る)です。5~6万年前に誕生した羊蹄山は噴火を繰り返し約1万年以降には山頂の他、新たに山麓でも火口を作る噴火が起きました。その代表的なのがここ半月湖です。羊蹄山と半月湖の歴史や地形について羊蹄山を眺めながら理解を深めました。
今回、国立公園の還暦を記念して行われた自然観察会。日頃、国立公園地域周辺で生活されている参加者のみなさんは、半月湖を歩きながら森と生きものがつながっていることを実感し、改めて自然の豊かさを実感されたのではないかと思います。今後もこの自然が残され、かつ私たちに心の豊かさを与えてくれる存在で有り続けることを期待し、この観察会を締めくくりました。