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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

元気です知床

2018年10月02日
白石海弥

北海道胆振東部地震により被災されました皆様に心よりお見舞い申し上げます。

北海道では全道的に電力も復旧し、いつもの姿を取り戻しつつありますので、皆さまぜひ旅行にいらしてくださいね。北海道は広いので、地震の影響がほとんどないところもあります。そう、知床とか。

知床ではお盆が過ぎあっという間に秋が深まってきました。あちこちでドングリが落ち、きのこが生え葉が色づき始めています。日を追うごとに秋に様変わりする知床の自然に感動している今日この頃です。

こちらはフレペの滝遊歩道。シダ類が枯れ茶色になり雰囲気がぐっと秋になってきました。秋晴れに知床連山が良く映えます。この時期になると目にすることが出来る鳥がいます。シマエナガです。写真には収めることが出来ませんでしたが、確認できました。あのあざとさが可愛いです。

        9/14 撮影

知床五湖です。まだはっきりと色づいてはいませんが、夏の雰囲気から変わりました。

空気が澄み、秋の匂いが(する気が)します。足元には様々なきのこが生えていました。

きのこやドングリ、植物の実はヒグマも含め多くの動物たちの栄養になります。実りの秋、食欲の秋ですね。

川には多くのカラフトマスが遡上していました。この記事が上がるころにはカラフトマスのシーズンは終わり、シロザケが遡上し始めているかもしれませんね。

命がけで遡上するカラフトマス。

遡上を終えるころには身体中が傷だらけで、最期が近いものは白カビが生えていたりします。

 

背びれのあたりに白カビが生えているカラフトマス。身体全体が白くなっているものもいます。

遡上で体力を使い果たし瀕死の状態のサケマスを北海道では「ホッチャレ」と呼びます。

このホッチャレ、語源には諸説ありまして「放っちゃれ」が語源という説もあれば、アイヌ語で"尻からばら撒く"を意味する言葉から来たという説もあります。その一方でアイヌ語からは来ていないと断言する方もいたりと、語源は謎のままのようです。

ホッチャレはお世辞にもいい匂いとは言えないほどの臭いがします。それはもう、鼻をつまみたくなるほどの。川を通るたびにかなりの臭いが風に乗って香ってくるので毎度息を止めながら通るものです。

身体が白くなったものの、まだ泳ぎ続けているサケマスは卵床をパトロールしている可能性があります。

自分が力尽きるその直前まで、周囲を警戒し、卵を食べられたり掘り返されないよう守っているのです。

ですので時鮭とは対照的に、脂は使い果たされ身はぽそぽそになってしまいます。

死を迎えたサケマスたちは、やがて多くの動物たちの骨肉となり、冬を越すための大きなエネルギーの一つとなり、自然に還っていきます。私たちが守っていかなければならない大きな循環です。

直接・間接的に守っていくためにも、ゴミをポイ捨てしない、動物にエサをやらない・近づかない、皆さんに徹底して守って頂きたいです。