アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]
環境省アクティブレンジャー写真展~北の自然の舞台裏~
2023年06月01日大雪山国立公園
上士幌管理官事務所 アクティブ・レンジャー 上村 哲也
秋深まるトムラウシの朝
南沼野営指定地にて 9月
トムラウシ山は大雪山系が十勝岳連峰に接する場所にあり、両山域を縦走する登山者にとって山頂直下にある南沼野営指定地は要の場所です。
当所(上士幌管理官事務所)調べでは、2023年6月末から9月下旬までの90日間に、422張りのテント利用がありました。同じ期間中に、トムラウシ山登山の主要拠点である新得町側登山口に設置された入林簿に「南沼泊」と記入した登山者は、121組206人。新得町から入山したパーティが1組当たりテント1張りとは限りませんが121張りより少ないということはないでしょう。また、1人1張りであったとして206張りより多いこともありません。すると、少なくとも216張り(422-206=216)、最大301張り(422-121=301)は、新得町側登山口からのピストンではなく、縦走登山者のテントであったと考えられます。南沼野営指定地利用者の半数以上が縦走登山者であるとは驚きです。
ウペペサンケの懐に苔むした滝
菅野温泉東コースにて 7月
以前は、鹿追町側にも、菅野温泉を拠点にウペペサンケ山にアクセスする「菅野温泉東コース」と「菅野温泉西コース」があり、頂稜でつながっていました。度重なる大雨の被害で、登山口につながる林道は通行止めとなり、「菅野温泉東コース」では然別峡野営場近くから登山口まで、8kmの林道を歩かなければなりません。途中、道が流されているところもあります。登山道は沢筋を進み、所々に流木の積み重なったところがあります。登山者が訪れることはまれなことでしょう。
苔むした滝は、「菅野温泉東コース」の中腹に在ります。林道は荒れ遠い道のりになりましたが、滝は健在です。柔らかな苔が滝を覆い、ツツジが彩りを添えていました。