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北海道地方環境事務所

報道発表資料

2026年06月25日
  • 報道発表

日高山脈襟裳十勝国立公園における平取町、浦河町、様似町、えりも町のゼロカーボンパークの登録について

環境省では、国立公園の脱炭素化を推進するため、令和3年3月から「ゼロカーボンパーク」の取組を開始しています。
この度、日高山脈襟裳十勝国立公園において、公園指定から2周年となる令和8年6月25日付けで、平取町、浦河町、様似町及びえりも町の4町が、同時期に全国で23~26番目のゼロカーボンパークとして登録されましたのでお知らせします。
4町は、ゼロカーボンパークとして、自然環境に配慮した脱炭素の取組や、エリア全体の脱炭素化の推進、サステナブルな観光地づくり、国立公園利用者への普及啓発等に取り組むこととしています。
北海道地方環境事務所では、これらの取組が着実に推進されるよう支援して参ります。

概要

日高山脈襟裳十勝国立公園は、南北約140kmに及ぶ脊梁山脈であり、氷河地形、高山植生及び我が国最大の原生流域を擁する日高山脈から、裾野の森林地域を通じて、切り立った海食崖や海成段丘が特徴的な海岸地域までつながる我が国陸域最大の国立公園として、令和6年6月25日に指定されました。
平取町、浦河町、様似町及びえりも町は、それぞれゼロカーボンシティを宣言し、環境保全と脱炭素化に取り組んできました。今般、国立公園の指定を契機として、これらの取組を一層連携・強化するため、公園指定から2周年となる令和8年6月25日付けでゼロカーボンパークとして登録されたものです。
4町が実施する主な取組の概要は以下のとおりです。

1.平取町

地域の特長

  • 平取町は、豊かな自然とアイヌ文化の拠点の1つとして広く知られている。
  • 日高山脈の最高峰「幌尻(ポロシㇼ)岳」を含む原生的な森林が残されており、沙流川流域の二風谷コタンとイオル(伝統的生活空間)の森は、アイヌ文化を学び、体験する継承の場となっている。
  • 平取町は、令和7年12月にゼロカーボンシティを表明。

主な取組

  1. 登山における環境負荷の軽減
    • 幌尻岳は本国立公園の最高峰であり、難易度は非常に高いものの、日本百名山に含まれており、山頂からは日高山脈の山並みを一望できる人気の高い山である。
    • 登山口に至る林道では、登山シーズンに多くの車両が通行することによる環境負荷の軽減を図るため、一般車両の乗り入れを規制し、町がシャトルバスを運行している。登山者に対しては、ゴミの持ち帰りの徹底や携帯トイレの使用を呼びかけるとともに、携帯トイレブースと使用済み携帯トイレの廃棄場所を設置している。
    • 拠点となる幌尻山荘では、水力発電とソーラー発電により電力を確保し、バイオトイレを稼働させている。
  2. アイヌ文化伝承の森
    • 平取町、北海道森林管理局及び平取アイヌ協会の三者で協定を締結。アイヌ文化の総合的な伝承と生活基盤を構築するイオル(伝統的生活空間)を再生し、アイヌ文化の象徴としてのコタンコㇿカムイ(シマフクロウ)の生息と、オヒョウなどアイヌ文化における有用自然素材の継続的な確保を可能とするため、階層構造の複雑な森林となるよう育成を行っている。
    • 伐採時には、切る木を厳選し、1本ずつ丁寧に伐採するとともに、倒した木は山の土壌を荒らすことなく運び出すことができる「馬搬」を用いるなど、森を傷つけない手法を取り入れている。
  3. 再生可能エネルギーの活用
    • 平取町は平成27年に「平取町バイオマス産業都市構想」を作成し、「バイオマス産業都市」に選定されている。公共施設への率先導入計画の一環として「平取町木質バイオマスセンター」を設置し、電力と熱供給が行われている。

2.浦河町

地域の特長

  • 浦河町は、江戸時代から交易地として栄え、明治以降も日高の行政・経済・文化の中心地として発展してきた。
  • 町の大部分が「神威岳」「楽古岳」などを含む日高山脈とその前山が占めている。海洋性気候の影響から夏は涼しく、冬は温暖であり、豊かで住みよい自然環境に恵まれている。
  • 浦河町は、令和4年9月にゼロカーボンシティを表明。 

主な取組

  1. 自然資源の活用
    • 木質バイオマスエネルギーセンターを設置。センター方式によるバイオマスボイラーを導入し、公共施設への効率的な熱供給を行うとともに、化石燃料から木質チップへの転換によってCO2発生量の大幅な抑制が実現している。木質チップは地元森林組合が生産する森林整備由来の未利用材を使用している。
    • 日高南部の山々でも風格のある神威岳(1,601m)、山頂から360度を見渡せる楽古岳(1,472m)は、日高山脈の魅力を味わうことができる人気の登山コースとなっている。拠点となる神威山荘や楽古山荘では、暖房として薪ストーブを採用している。
  2. J-クレジット制度の活用
    • 環境省、経済産業省、農林水産省による認証を受け、森林によるCO2 吸収量を「浦河町オフセット・クレジット」として制度化。販売収益を豊かな自然環境を守り育むために行う、適切な森林管理に活用している。
  3. DXによるゼロカーボンの推進
    • 令和7年1月に東日本電信電話(株)北海道南支店と社会問題解決に向けた連携協定を締結。CO2排出量抑制のため、PPAによる太陽光発電設備導入、再生エネルギー技術の活用などゼロカーボンの推進に向けて協議を進めている。
  4. CO2を排出しない自然体験プログラムの推進
    • 馬産地としての特性を活かし、乗馬など自動車を使用しないアクティビティを提供。ワーケーションやテレワークによる滞在を推進している。

3.様似町

地域の特長

  • 様似町は、四季折々に美しい表情を見せる日高山脈の雄大な山容と、奇岩・断崖の続く海岸線が特徴。
  • 「アポイ岳」は世界でも類を見ない新鮮な「かんらん岩」からなる山。特殊な土壌と気候条件から固有の高山植物群落が形成されており、ユネスコ世界ジオパークに認定されている。
  • 様似町は、令和4年9月にゼロカーボンシティを表明。

主な取組

  1. 自然資源・再生可能エネルギーの活用
    • 土地面積の8割以上を森林が占める日高地域の中でも、様似町はとりわけ森林の占める割合が大きい(9割以上)町である。
    • 日高振興局南部地域では、地元森林組合を中心に「日高地域木質バイオマス資源利用推進協議会」を設立し、森林整備で発生する未利用材から木質バイオマス燃料を生産しており、近隣町を含めて発電用燃料・暖房用燃料として活用されている。原料となる未利用材は、可能な限り集荷範囲を近傍の国立公園とその周辺地域からの調達を基本とすることで輸送距離の短縮を図る。必要に応じて効率的な集荷拠点を適切に配置し、エネルギー負荷の低減に配慮した集荷体制を構築する。
  2. CO2を排出しない自然体験プログラムの推進
    • 町立図書館、アポイ岳ジオパークビジターセンター、郷土館が連携して開催する「カン×カン講座」では、フットパスやE-MTBを活用してジオパークを巡る体験プログラムを提案。環境負荷に配慮しながら町の歴史と自然を学ぶ機会を提供している。
    • 町主催のイベント「HIDAKA TRAIL DAYS」では、E-MTBの試乗体験やロングトレイルなど自動車を使わない自然体験の魅力を伝え、普及啓発を行っている。また、入場料の一部をアポイ岳の環境保全活動の支援に活用している。
  3. 寄附金の活用
    • 条例に基づく「みんなのアポイ基金」を活用し、登山道の維持管理や携帯トイレブースの設置などの自然保護活動を官民連携で実施している。

4.えりも町

地域の特長

  • えりも町は、厳しい自然環境は豊かな漁場と景観を創り、「漁業と観光のまち」として発展してきた。
  • 太平洋に突き出た「襟裳岬」は風極の地と呼ばれる日本屈指の強風地帯。ハート型の「豊似湖」、断崖絶壁の海岸が続く「黄金道路」など多くの景勝地を有しており、年間30万人以上の観光客が訪れている。
  • えりも町は、令和6年9月にゼロカーボンシティを表明。

主な取組

  1. 襟裳岬の森林再生
    • 襟裳岬は国指定文化財「名勝ピリカノカ」に含まれる景勝地。かつては広葉樹の原生林で覆われていた。
    • 明治以降の開拓で原生林は切り開かれ、昭和20年代後半には「えりも砂漠」と呼ばれるほど荒廃していた。飛散する赤土は海上10㎞沖合にも達し、沿岸生態系の劣化から漁業に大きな打撃を与えた。
    • 昭和28年から始まった緑化事業は、強風という条件から困難を呈したが、何年もの試行錯誤の結果、蒔いた種を雑海藻で覆うことで飛散を防ぐ「えりも式緑化工法」が生み出された。行政と地域住民が連携した70年に及ぶ取組が実を結び、現在は緑豊かな森林が蘇ってきている。
  2. CO2を排出しない自然体験プログラムの推進
    • ハートの形をした豊似湖、伊能忠敬や松浦武四郎が歩いた猿留山道、穏やかな海岸砂丘が続く百人浜など、景勝地を巡るフットパスコースを設定し、環境負荷に配慮しながら町の歴史と自然を学ぶ体験プログラムを提供している。
  3. 産学官連携によるブルーカーボンの推進
    • えりも漁業協同組合や北海道大学、国土交通省北海道開発局と連携し、天然コンブ漁場を活用したCO2吸収の調査研究を行うとともに、雑海藻の駆除などコンブの育成管理を行っている。
    • 令和4年からは、ジャパンブルーエコノミー技術研究組合のJブルークレジット制度の認証を受け、サステナブルな漁業管理とクレジット収入を活用した藻場保護を推進している。

参考

○ゼロカーボンパークとは
ゼロカーボンパークとは、国立公園における電気自動車等の活用、国立公園に立地する利用施設における再生可能エネルギーの活用、地産地消等の取組を進めることで、国立公園の脱炭素化を目指すとともに、脱プラスチックも含めてサステナブルな観光地づくりを実現していくエリアです。 
国立公園をカーボンニュートラルのショーケースとし、訪れる国内外の人たち脱炭素型の持続可能なライフスタイルを体験していただく場作りを目指しています。
環境省HP:http://www.env.go.jp/nature/post_134.html
○支援の枠組み
環境省では、既存の予算を活用しつつ、北海道地方環境事務所が関係自治体と連携し、取組の推進を支援します。

お問い合わせ先

環境省北海道地方環境事務所
新ひだか自然保護官事務所:草留 大岳
電話番号:0146-49-2172

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